先週末、文部科学省が卒業式でのマスクの取扱いに関する通知を出しました。

 今春の学校の卒業式でのマスク着用をめぐり、文部科学省が10日夕にも全国の教育委員会などに発出する通知の概要が判明した。「児童生徒と教職員は式典全体を通じてマスクを外すことを基本とする」とし、来賓や保護者には引き続きマスク着用を求める。また、新学期からは、マスクの着用を求めないことを基本とするという。

 卒業式について、入退場▽校長の式辞・来賓による祝辞▽卒業証書授与▽送辞・答辞――の各場面では、児童生徒はマスクを外して差し支えないとした。また、壇上では校長・来賓は外して差し支えないとした。

 一方、国歌や校歌の斉唱、複数の児童生徒による「呼びかけ」をする際には、マスク着用を求める。

 ただ、基礎疾患があるなど様々な事情で、マスク着用を希望する児童生徒や、健康上の理由でマスクを着用できない児童生徒もいるとして、マスクの着脱を学校や教職員が強制しないようにすることを要請。児童生徒の間でも着用の有無による差別・偏見が生じないよう適切に指導することも求める。

 また、来賓や保護者については「座席間の距離を確保したうえで、参加人数の制限は不要」としている。

https://digital.asahi.com/articles/ASR2B41M0R2BUTIL00Q.html

通知文は文部科学省ウェブサイトに掲載されています。

卒業式におけるマスクの取扱いに関する基本的な考え方について(通知)(令和5年2月10日)
https://www.mext.go.jp/content/20230210-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

卒業式における取扱いは、上記朝日新聞の記事通りです。一方、この通知には若干の注意を要する文言も記載されています。今年度における卒業式以外での学校教育活動におけるマスクの取扱いです。

併せて、同本部決定においては、学校におけるマスク着用の考え方の見直しについては、令和5年4月1日から適用することとされていますので、令和5年3月 31 日までの年度内における卒業式以外の学校教育活動においては、従来どおり、文部科学省が作成する「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」や関連する事務連絡等を踏まえつつ、メリハリのあるマスクの着用をお願いします。(太字部分は独自に強調)

学校におけるマスク着用は新年度から見直す旨が記載されています。今年度中は学校では従来通りのマスク着用を求められます。卒業式だけ例外扱いとされています。

一方、社会活動全般におけるマスク着用に関しては、3月13日から個人の判断に委ねられます。

新型コロナ対策としてのマスクの着用について、政府は、3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/mask/detail/detail_22.html

今年度の学校や教職員・児童生徒には3つのマスク着用ルールが併存する事となります。(1)社会生活全般におけるマスク着用は3/13から個人判断、(2)例外として学校におけるマスク着用は3/31まで従前の通り(原則としてマスク着用)、(3)再例外として卒業式はマスク不着用が原則、となります。ややこしい!

気掛かりなのは保育所等における着用ルールです。2月10日に定められた新たな基本的対処方針では「2歳以上児についても、マスクの着用は求めない」と明記されています(これは3/13から適用)。

2歳以上児についても、マスクの着用は求めない。あわせて、基礎疾患がある等の様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスクの着用を希望する子供や保護者に対して適切に配慮するとともに、換気の確保等の必要な対策を講じることとする。以上のマスクに関する取扱いについては、令和5年3月 13 日より適用するものとする。

https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_taishou_20230210.pdf

これは既定路線です。先が見えないのは保育士や保護者等のマスク着用です。上記(1)を適用すると、保育所等でも保育士・保護者等のマスク着用は個人判断となりそうです。

しかしながら保育所等はマスクを着用できない多くの子供達が室内で過ごす場所です。以前から感染症が流行りやすい場所でした。我が家がお世話になっている保育所でも現にインフルエンザが大流行しています。先週末は約1割の園児が感染して休んでいました。

また、働く保育士には高齢の方や基礎疾患を有している方もいます。園児が感染症を持ち込むと、保育士の身体をも危険に晒しかねません。

一方で基本的対処方針においては事業者が利用者や従業員にマスク着用を求める事を許容しています。

マスクの着用は個人の判断に委ねられるものであるが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容される。

保育所等も福祉施設です。常識的に考えると、厚労省や業界団体等がガイドラインにて「保育士等や送迎する保護者は園内ではマスク着用を求める」とルール化するのではないでしょうか。

ただ、この「常識」が通じなかったのがコロナ禍です。どの様なガイドラインを定めるか現時点では見えてきません。

厚労省は2月10日に事務連絡を発しています。

なお、今般の見直しを受けた保育所等における子どものマスク着用の取扱や、医療機関や高齢者施設等における対応については、それぞれ当省所管部局より各自治体の所管部局宛に別途連絡することを申し添えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/001056974.pdf

「保育所等における子どものマスク着用の取扱」と記載されています。よく読むと対象は「子ども」とされています。厚労省としては未就学児のマスク着用は不要とする一方、保育士や保護者等のマスク着用には触れない方針なのでしょうか。

保育所等にとって最も重要なのは「園児や職員の健康維持」です。その為にも厳格なルール等を導入しています。それなのに「マスク不着用も可」とするのは矛盾します。「保育士も保護者もマスクは不要です。でも、園児が発熱したりインフルエンザに感染したら、数日は自宅で安静に願います。」と言われても納得できません。

私は自身の身を守りたいですし、何よりも私から園児等へ感染症を広めたくありません。これからは花粉症の季節ともなります。今後も保育所内ではマスク着用を継続します。