ようやく宣言か解除されました。
しかしながら感染予防に留意する生活は続きます。そして、来たるべく第6波では第5波の教訓を取り入れなければなりません。
焦点の一つは「登園自粛・家庭保育の協力要請のあり方」です。
市民の声
保育園に乳児を預けている妊婦です。8月の緊急事態宣言に関して、産休育休中の人は原則家庭保育と園から要請を受けました。いつ産まれるかわからないのに保育料も取られ全く預けられないのはおかしいです。
今回大阪府として知事が出した要請に対して、それぞれ大阪府内の保育料減免の措置が市によって異なる事にも納得がいきません。大阪市が一番感染者数が多いので保育料に関しても前回同様日割りの減免措置を行うべきではないですか?
何故今回のみその措置がないのか。遡って日割り減免をするよう一律で要請して下さい。
市の考え方
保育施設の保育料につきましては、内閣府令において、新型コロナウイルス感染症への対応のため市町村の要請により保育施設が臨時休園(一部休園・個別の登園回避要請含む。)となった場合又は市町村から保護者の皆様に登園自粛・家庭保育協力の要請をした場合に限り、登園しない日数に応じて保育料を日割り軽減することとされております。
令和3年8月2日から令和3年8月31日まで緊急事態措置を実施する区域に大阪府が指定されましたが、国の基本的な対処方針では、「保育所や放課後児童クラブ等について、感染防止策の徹底を行いつつ、原則開所することを要請する」こととされており、法に基づいて緊急事態にかかる協力依頼を行うこととなる大阪府からも保育の提供の縮小等の要請はなされておりません。
このようなことを踏まえ、本市としては、前回の緊急事態宣言時とは異なり、現時点では保育の提供の縮小や家庭保育の協力を依頼せず、保育施設に対し通常どおりの保育の提供を依頼しておりますので、登園自粛された場合でも、保育料を軽減しないこととしております。
家庭保育協力期間外で登園しない日について保育料を軽減するのは、1.本市の要請により利用している保育施設が臨時休園となった場合、2.児童が新型コロナウイルス感染症に感染又は濃厚接触者に指定されて登園できない場合又は3.同居家族がPCR検査を受けて結果が判明するまで児童を家庭で保育した場合に限ります。
https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000544512.html
投じられた市民の声には強く共感できます。
投書された方は「産休育休中の人は原則家庭保育と園から要請を受けました」としています。上の子は乳児クラス(0~2歳児)を利用、そして「いつ産まれるか分からない」と言う表現から産休中だとう考えられます。
産休中は当然、そして育児休業中も原則として大阪市内の保育所は継続して利用出来ます(一定の期間制限あり)。
一方、コロナ禍の保育所等は感染対策に気を遣う日々が続いていました。万が一にも感染者が園内に紛れ込んでも感染が拡大しない様にと、可能な限りの対策を行い続けていました。
しかしながら感染が爆発した8月の大阪では限界に到達しました。市中の至る所から感染者が確認されました。8月初めの3週間では、市内の約30%の施設で感染者が確認されました。
密が避けられない園内では感染対策に限界があります。自身の感染や濃厚接触判定等により、出勤できなくなった保育士も少なくありません。
こうした状況下で保育所等の負担を減らすには、登園する園児数を減らすのが効果敵です。密度が少しでも減り、保育士にも若干の余裕ができます。
問題は登園園児数の減らし方です。保育を必要とする家庭が利用していますが、必要とする度合いや代替手段には濃淡があります(これを数値化したのが調整点数ですね)。
頼れる親族等が近所になくて休めない方や出勤を強く要請されている医療従事者等もいれば、近所に住む祖父母に頼れる方や産休育休中や在宅勤務中の方もいます。
この保育園は産休育休中の方に家庭保育を要請しました。一時的でも家庭で保育できると判断したのでしょう。これ自体は合理的な判断です。
ただ、この要請には法的な裏付けや大阪市のバックアップがありませんでした。あくまで園独自の判断でした。一方的なお願いに過ぎません。よくある自粛要請の一つです。
また、ただのお願いなので、保育料の減免措置等が無いのもやむを得ません。
こうした要請を行う背景事情等は理解できます。但し、法的根拠等が無いお願いに過ぎない事から、保護者が要請を拒否しても園が何らかの不利益取扱いを行うのは決して許されません。
この点について「(園が独自に)登園自粛要請をしたので、登園しないで下さい」という噂話を何度も聞きました。おかしな話です。自粛要請が強制力を持ってしまっています。
8月の大阪市内の感染状況は日に日に悪化していきました。府内の感染者が2,000人を超える日が続き、市内の感染者も1,000人を越えた日もありました。
大阪市が重い腰をようやく上げ、「家庭保育の協力要請」を実施したのは9月1日からでした。
あくまで「協力要請」です。が、大阪市の方針であり、「保育料の減免措置」とセットになっています。強制力は有しませんが、保育所等はより強い働きかけを行う事が可能となりました。
こうした措置が最も早くからできなかったのでしょうか。皮肉なことに、大阪市内の感染者がピークたる1,263人に達したのは減免措置初日たる9月1日でした。結果論ですが、遅きに失した判断でした。
大阪市とは異なり、緊急事態宣言の発出と同時に家庭保育の要請&保育料の減免を行った自治体もあります。大阪府内では少なくとも堺市と東大阪市で行いました。
両市より感染状況が悪い大阪市で8月中に協力要請を行わなかったのは痛恨の極みでしょう。家庭保育を行いたくても保育料が勿体ない家庭、要請したくてもしづらい保育所等、双方に強い負担を掛けました。
冬には第6波がやってくると言われています。寒い日は換気が難しく、風邪やインフルエンザ等が同時に流行する可能性もあります。コロナ関係で出勤できない保育士も発生します。
再び宣言が発出されたり子供の間で感染が急拡大した際は、躊躇うことなく「家庭保育の協力要請」を行って欲しいです。
保育を必要とする家庭は継続して利用する、家庭保育が可能な家庭は要請に応じて保育料の減免を受ける、保育所等は当園園児が減少して負担が軽くなる、誰も損をしません(事務処理を行う区役所は大変ですが)。