大阪市教委が「読解力強化」に特化した授業を導入しようとしています。
大阪市、読解力育てる授業を23年度に試験導入へ 小3~中3対象
大阪市教育委員会は、小学3年~中学3年を対象に、読解力を育む授業を2023年度から試験的に導入する。週1回程度を想定し、24年度にも全ての市立小中学校での実施を目指す。今年の全国学力調査の結果で、同市は全科目で全国平均を下回っており、基礎学力の土台となる読解力の向上を目指すという。
22年度からの4年間に取り組む教育政策を示す「市教育振興基本計画」に盛り込む。市教委によると、自治体ぐるみで読解力を育てる授業に取り組む例は全国でも珍しいという。
授業は週1時間、年間35時間程度を想定。内容は、新聞や雑誌、広報誌などの実用的な文章のほか図表・グラフを読み解くことを検討している。社会問題や科学技術をテーマにディベート形式で議論するなど、対話を重視した内容にする。(以下省略)
確かに読解力は重要です。基礎学力の土台となります。教科学習はもとより、日常生活でも「読解力」は欠かせません。
しかしながら、これを小中学校でわざわざ週1時間の授業時間を確保して授業を行うのが理解し難いです。
現在の小学校の先生方は以前から忙しかったのに加え、新しい学習指導要領に基づく外国語・プログラミング・GIGAスクール構想・コロナ対応に追われています。
子供も同様です。うちの子は英語に拒否反応を示しています。話を聞くと、どうも会話ばかりで授業を進めるスタイルに合っていないのではないかと感じています。
教員も児童生徒も多忙な学校現場から、更に週1時間の読解力授業時間を捻出するのは極めて難しいでしょう。他科目の授業内容等を減らすことも出来ず、宿題や自主勉強という形で家庭へ丸投げするケースも相次ぎます。
ではどうして大阪市の子供は読解力がないと指摘されているのでしょうか。思い当たるのは「文章を読む量が決定的に欠けている」という点です。
今の親世代が子供だった当時に比べ、今は活字以外の様々なメディアが溢れています。活字を読まなくても様々な情報や娯楽が得られます。
これに加えて、大阪市は家庭毎の環境の違いが非常に大きいのが実情です。親が子供へ積極的に活字を読ませようとする家庭もあれば(子供が読むかは別問題)、放置気味という家庭もあります。
授業で取り扱おうとしている題材にキナ臭さも感じます。「新聞や雑誌、広報誌などの実用的な文章」は、果たして週1回の授業の題材として取りるべきものでしょうか。基礎学力のどだい作りではなく、労働者としての基礎訓練にも見えてしまいます。
そもそも学校教育には、国語の授業や図書館の利用等を通じて読解力を育む仕組み作りが設けられています。ここを強化するのが本筋ではないでしょうか。
大阪市の教育が何を目指しているのか、ますます分からなくなります。