先日、大阪市の松井市長が「PCR検査を行った上での修学旅行を予定通りに実施したい」と強く主張しました。
しかし、残念ながら見通しが甘すぎました。大阪市から出発したいとしても、受入側が続々と難色を示しています。
8月23日から25日に掛けて岐阜県郡上方面への旅行を予定していた大阪市立墨江丘中学校は、「大阪市教育委員会より延期の指示がありました。」として8月実施を断念しました。
修学旅行延期の指示について
猛暑の候、保護者の皆様方におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は本校の教育活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
本日、大阪市教育委員会より延期の指示がありました。
http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=j732665&type=1&column_id=1684381&category_id=5045
また、8月26日から28日かけての修学旅行を予定していた大阪市立梅南中学校は、「訪問先の受入れが難しい」という理由で10月中旬以降の延期する旨を公表しています。
・3年生修学旅行については、訪問先の受入れが難しいとのことなので、【8月26日(木)~28日(土)】の日程での修学旅行については、延期させていただきます。
http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=j762756&type=1&column_id=1684358&category_id=2181
菫中学校はPCR検査を行って実施という予定に変化はありません。
こうした方針は、昨日の会見で松井市長が示唆していました。
松井:変わらず。受入れ先とも協議しているが、受入れ先で「受入れ困難」と言われる場合も出てきている。
やはり相手、修学旅行先の自治体のご協力が必要になってくる。受入れ先で対応困難というところはどうしても延期せざるをえないことになるだろう。
「受入れてあげよう」という所もある。— 沙和 (@katakorinaoshi1) August 10, 2021
大阪市内では過去最多の感染者を記録していますが、依然として大阪市教委は「受け入れ先が拒否しない限りは予定通りに出発する」という方針を堅持しています(そもそも論として、市長に修学旅行の実施を判断する権限はないのですが)。
宿泊を要する行事に関する現時点の方針は「受入先が拒否しなければ、大阪府外の宿泊行事はPCR検査を行って実施」「大阪府内は無検査で実施、PCR検査を要する場合は来年度に延期?」となっている様子です。梅南中学校の記載が詳しいです。
・2年生一泊移住【8月28日(土)~29日(日)】
訪問先が受け入れを拒否していないので、事前に生徒、教員が「PCR検査」を実施し、原則として予定通りに実施。・1年生一泊移住【8月29日(日)~30日(月)】
府内の行事のため「PCR検査」を実施しなくてもよい見込みなので、原則として予定通りに実施。「PCR検査」が必要な場合は、来年度に延期し、今年度は泊を伴わない行事を計画。http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=j762756&type=1&column_id=1684358&category_id=2181
こうした方針は小学校での宿泊行事にも適用されています。大阪市立大隅西小学校は予定していた林間学習を延期しました。
教育委員会より、緊急事態宣言発令中に林間学習を実施する場合は参加者全員にPCR等の検査を実施するようにとの追加の連絡がきました。
本校としてPCR等の検査の準備体制が間に合わず、実施困難な状況と判断し、さらに、新型コロナのウイルスの感染拡大が近々でも想像をはるかに超え、収束する状況にないことから、やむなく再度の一旦中止・延期の判断となり、8月については実施断念となります。http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e651434&type=1&column_id=1684350&category_id=801
「本校としてPCR等の検査の準備体制が間に合わず」とは、まさかPCR検査は市教委がお膳立てするのではなく各校が準備して実施するのでしょうか。感染爆発中の大阪で、手順に慣れていない学校が行うのは無理です。
大阪市立諏訪小学校も同じです。
しかしながら、この度、大阪市教育委員会より、緊急事態宣言期間中に、泊を伴う学校行事(林間学習)を実施する学校においては、参加する児童について保護者の同意確認を得て「PCR検査」を受検するようにとの指示がございました。新型コロナウイルス感染症の急激な拡大の状況と夏休み中に全ての児童に対するPCR検査受検が困難であると判断し、林間学習を次の日程に変更することに致しました。何卒ご理解・ご承知おきの程宜しくお願い致します。
http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e691548&type=1&column_id=1684324&category_id=1046
二転三転する方針変更は酷いですね。感染状況や受入先の負担を顧みない市長や市教委の一方的な方針やその変更に、学校や児童生徒は振り回されています。
オンライン授業と同じく、今回も市長主導で実施を強行しようとしたとの話が漏れ聞こえてきました。
大阪市が半ば無理に出発しようとした矢先に、受入側から難色(事実上の拒否)をされるなんて、恥ずかしい限りです。赤っ恥です。
特に一旦は緊急事態宣言下でも実施すると決定してから舌の根も乾かない内に「延長せざるを得ない」との発言は、子供や親を馬鹿にしています。気持ちを持ち上げてから突き落とす事によるダメージは大きいです。
大阪に緊急事態宣言が発出され、遅くとも各知事が「都道府県境を越える旅行は自粛延期して欲しい」と提言した段階で、修学旅行等は延期すると判断すべきでした。
修学旅行や林間学習は大切な行事です。であれば、なおさら感染が爆発している時期に強行すべきではありません。何も楽しくありません。
大阪市は第5波に対する認識が非常に甘いのが気になっています。
実は大阪市の新型コロナウイルス感染症対策本部会議が最後に開催されたのは4月23日でした。第5波では一度も開催されていません。
大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部会議(4月23日開催)
https://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000496473.html
阪神梅田本店での大クラスター発生に対しても、松井市長は「客から感染した可能性が強い」と強弁しています(保健所は可能性の一つ、との認識)。
仮に客から感染したとしても、客が連日に渡って百数十人の従業員へ感染させられるわけがありません。
大阪市は第5波にどうやって立ち向かうのでしょうか。これまでの甘い方針をドラスティックに転換しても、気持ちが付いていきません。不安が募ります。
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(8/16追記)
PCR検査を実施して林間学校を行う学校もあります。日本橋小中一貫校です。
8月13日付大阪市教育委員会指示により、さらなる安全安心を確保するため、出発前に参加児童対象にPCR検査を実施するよう緊急指示がありました。私としましても“1年待った子どもたち”のことを考えれば考えるほど、「なんとしても林間学習を実現したい」と強く思っています。以下の通り、ご協力をいただきますよう、なにとぞよろしくお願いいたします。
■PCR検査実施日
8/15(日) (1)9:00~ (2)11:00~ (3)13:00~
8/16(月) (4)9:00~ (5)11:00~ (6)13:00~以下省略)http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=j612301&type=1&column_id=1684641&category_id=9235
様々な学校があります。よく言えば実情を把握している学校に判断を委ねる、悪く言えば丸投げです。
ただ、PCR検査を行うのが15日・16日、林間学習に出発するのは22日です。検査日と学習日が空いてしまっています。この間に感染したら、完全にすり抜けてしまいます。