2021年8月2日から大阪府にも緊急事態宣言が発出されました。これで何回目か分からなくなってきました(恐らく4回目)。

今回の緊急事態宣言は大阪府にとっては寝耳に水でした。吉村知事が「病床使用率が50%に到達したら要請する」と発言した直後に、国(専門家?)から「大阪府にも発出を検討」という報道がありました。

その後、政府・専門家と大阪府の間で何度もやり取りが交わされたのでしょう。最終的には吉村知事は「国の権限」として宣言を受け入れましたが、不満の色がありありと現れていました。

ただ、結果論となりますが、この後に大阪府の感染者数が急増し、今週末にも50%に到達するのは避けられない情勢となっています。遅くとも今週末には宣言が決定されていました。

そうした微妙な行き違いが反映されたのか、大阪府教委は「修学旅行・府県を跨ぐ教育活動・府内の校外学習・部活動は自粛・中止を求めない(但し感染防止策等を徹底する」という方針を打ち出しました。

https://www.pref.osaka.lg.jp/kikaku_keikaku/sarscov2/56kaigi.html

これを受け、大阪市教育委員会からも各校に対して同趣旨の連絡があったそうです。

更に大阪市の松井市長は「中学生の修学旅行はPCR検査を行って実施する」と表明しています。ただ、小学生の修学旅行や林間学習でもPCR検査を行うとは発言していません。

「アストラゼネカを使いたい、修学旅行も実施」大阪市の松井市長

こうした方針に対し、大阪市立学校や関連団体の対応は割れています。一つずつ見ていきます。

真っ先に中止が決定されたのは大阪市児童水泳記録会(8/5予定)とスポーツ交流大会陸上競技(8/19予定)です。


http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e591242

これらは複数の学校から多くの児童生徒が集まります。感染防止策を徹底するのが難しく、クラスターが発生すると複数校に影響を及ぼすと判断されたのでしょう。

学生が関係するクラスターで最も数が多いのは、部活動やスポーツ大会に関係する物です。残念ですが、中止決定は適切です。

林間学習は多くの学校で予定通りに実施する予定としていますが、一部には中止する学校があります。兵庫県や滋賀県へ出掛ける学校が多いです。

依羅小学校は5年生の林間学習を中止しました。出発予定は明日8月3日でした。これは苦渋の決断です。


http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e731663

九条南小学校は8月4日からの林間学習を一旦は中止としましたが、これを撤回して実施する事にしました。


http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e561152

生江小学校は8月4日から実施します。


http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e681515

北島小学校は一旦は7月30日にバス等をキャンセルしましたが、再調整した結果、予定通り8月2日(今日!)から出発しています。


http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/index.php?id=e721639&type=1&column_id=1680592&category_id=4333

どちらの判断も非常に難しいです。林間学習を予定通りに楽しんで欲しいという気持ち、集団生活によるクラスターの発生を何としても避けたいという考え、どちらも合理的なものです。

ただ、大阪府教委や大阪市教委の方針と矛盾するのは、全国知事会の「都道府県境をまたぐ旅行・帰省等は原則中止・延期を!」という提言です。

林間学習は「都道府県境をまたぐ旅行」です。知事会の提言は学校旅行を除外していません。それどころか、少人数ではなく大人数での移動です。大阪府も加わっている知事会の提言に反するイベントを学校で実施するのは社会的に許容されるのでしょうか。

以前にお世話になっている学校の先生に話を伺った際には、「学校行事は極力予定通りに行いたい。昨年に修学旅行・運動会がなくなった6年生の様子を見ている。でも、万が一にもコロナ感染を拡大させるわけにはいかない。」と悩んでいました。

本来は市教委からの連絡通りに感染防止策を行った上で実施するものですが、一部は来年に先送りできる5年生の林間学校を中止しました。

あくまで推測となりますが、国の一方的な判断に後ろ向きな大阪府と同様、市教委からの一方的な指示が現場に合わないと感じている学校が少なくないのではないでしょうか。

4月に唐突に行われたオンライン授業では、一部の学校が通常通りの登校や授業を実施しました。

出来もしないオンライン授業、感染防止と相反する給食、登下校時間がばらける事による交通事故への危険、授業の遅れ等、先生からは辛辣な意見も聞きました。

市教委による学校へのグリップが少しずつ効かなくなっている、そんな思いを感じました。

それ以上に末端で振り回されるのは子育て家庭ですね。声がなかなか政治に届きません。少子化が進むのも当然です。

大阪府の感染状況は日に日に悪化しています。数日後に「校外活動は全て中止に」と言われても何ら不思議ではありません。一寸先は闇です。