大阪市が使用を検討しているアストラゼネカワクチン

大阪市の松井市長が7月30日に定例会見を行いました。

中学校の修学旅行を実施すると報じられましたが、それ以外に極めて重要な内容が含まれていました。「アストラゼネカワクチンの使用」です。

大阪市・松井市長が定例会見7月30日
https://news.yahoo.co.jp/articles/5823e31f947a670a3932ba664cbfddc9d7c3400b

緊急事態宣言

国が一方的に宣言発出した事に強い不満を感じている様子がふつふつと感じられます。

大阪で緊急事態宣言を発出する基準として吉村知事は「病床使用率50%」を打ち出しましたが、その直後に国が大阪への宣言発出を検討(その後に決定)と報じられたからです。

吉村知事や松井市長にとってはメンツを潰された形です。「首都圏に大阪を加えて強烈なメッセージとしかった」と揶揄しています。つまらないメンツ争いですが、不快感を示す気持ちは理解できます。

しかしながら、大阪府の軽症中等症病症使用率は既に41.8%に達しています。小児・精神患者用病床を除くと約44%です。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00404550/ikkatsu.pdf

2日前に吉村知事が指摘した通り、8月上旬(しかもその早い時期)に50%に到達するのが確実です。宣言を今週に出すか来週に出すか、その違いだけです。

こうしたやりとりの関係の有無は不明ですが、松井市長は大阪への宣言発出を主張した尾身先生や専門家に対して「具体的な行動指針を示して欲しい」と厳しい言葉を投げています。

また、松井市長は不要不急の外出を極めて狭く解釈しています。体育館・スケート場・テーマパーク・プール等への少人数の外出を事実上許容しました。

ただ、「病床使用率が50%を超えたら、吉村知事が施設全体の休業をお願いすると思う」とも述べています。近日中に50%を超えます。果たして松井市長はどの様な説明をするのでしょうか。

修学旅行

松井市長は「8月中の中学校の修学旅行は実施する」と表明しました。「受験があって延長が難しい」「「感染者がいなければオリンピックもやっている」のを理由として挙げています。

但し、これ以外の宿泊を伴う行事(林間学校や小学校の修学旅行)には触れていません。

現段階では出発前日や2日前にPCR検査を実施し、新型コロナウイルス陽性者や濃厚接触者は参加できない方針で検討しています。

限られた時間で濃厚接触者を特定できるのでしょうか。また、身近な友人等から陽性者が確認された直後の精神状態で修学旅行を楽しめるのでしょうか。農国接触判定されなくても感染していた事例は無数にあります。

全員PCR検査は良い考えだと思います。ただ、PCR検査は万能では無く、一定の確率で見落としが発生します。

また、団体旅行としての性格から、陽性者が発生したクラスは旅行を延期する選択肢もあって然るべきです。

仮に子供が陽性者と同じクラスだったら、濃厚接触者と判定されなくても参加するのは躊躇します。怖いです。

行事を決行しても取りやめるにしても、「五輪」が物差しの一つになってしまっていますね。自分の都合の良い様に物差しを使い、科学的な話から離れてしまうのが残念です。

部活動

前回の緊急事態宣言では大幅に自粛を打ち出しましたが、今回はできる限り行う方針です。陽性者や濃厚接触者が部活動にいない限りは実施するそうです。活動時間に制限を設ける考えも無いそうです。

その理由として、「子供が重症化して命を落とした事は1人もいない」と挙げています(4月にも聞いた言葉です)。しかしながら東京都では複数の子供が重症化し、生死の境を彷徨っています。

修学旅行や部活動の実施は本当に難しいですね。お世話になっている学校の先生も「やりたいけど、感染が広がったら全てが台無しになってしまう」と頭を抱えていました。

オンライン授業

ここでも「デルタ株で重篤化した子供は今のところいません。対面授業を止める必要は今のところ考えていない。」と返答しました。結論は肯定しますが、正確な事実認識をお願いしたいです。

子育て支援施設(保育所等)や学童保育

夏休み中も通常通りに利用できる方針で調整しているそうです。保育所への登園自粛を求める考えはなさそうです。ここでも「子供の重症者はいない」と繰り返しています。自主的な登園自粛者には保育料を返金するのでしょうか。

関西では大きく報道されていませんが、関東では幼稚園や保育所等で夥しい数と規模のクラスターが発生しています。

【コロナ第5波】千葉市若葉区の幼稚園でクラスター発生(67人感染)

大阪でも同じ様な事態が発生する懸念があります。通常通りに開所するのは喜ばしいですが、感染規模が拡大した時の対応も考えておいて欲しいです。

アストラゼネカワクチン

「停止している各区の集団接種会場でアストラゼネカを使いたい」と明言しました。この会見で最も驚いた部分です。アストラゼネカの使用を公表した首長は松井市長が全国初ではないでしょうか。

が、私だったら少し時間が掛かってもファイザーやモデルナを選びます。変異株への効果に違いがあるからです。

2回の接種を完了した後のワクチンの発症予防効果は、ファイザー製がアルファ株に対して93.7%、デルタ株に対して88%。アストラゼネカ製は、それぞれ74.5%、67%だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad72781d0f99bc808f725076f4f4acd193807cab

全国民が接種できる分を確保したファイザーやモデルナワクチンはどこへ行ってしまったのでしょうか。輸入が遅れるからアストラゼネカワクチンを使うのであれば、はっきりと説明して欲しいです。

「高齢者・職域接種・39歳以下にはファイザーやモデルナを使うけど、これに該当しない中年には輸出するほど余っているアストラゼネカを使う」と言われている気がしてなりません。いい気はしないですね。

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(8/5追記)
松井市長が「アストラゼネカワクチンの接種を実施する」と断言しました。

 会見で報道陣からアストラゼネカワクチンの接種開始時期についての質問があり、松井市長は「16日の週に国からワクチンが大阪府に供給されるということなので、我々とすれば、いつくるかはっきり決まっていません」と答えた。

だが「すみやかにアストラゼネカワクチンが届けば、23日から接種を実施できるよう、接種態勢を構築しているところです」と続け、集団接種会場で行う予定であることを明かした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2a9df37937f7becc073753d7e2f32945e0732199

アストラゼネカワクチンを40歳以上の住民への接種で用いるのは、大阪市が恐らく初めてとなります。他の自治体では動きがありません。大阪市が突出しています。

大阪市へは週1万5,000回分~2万回分が届くそうです。これを各区の集団接種会場で利用します。全24区の接種会場でフルに利用するには足りない量です。

40歳以上の方はどのワクチンを接種するか、判断に迷われそうですね。苦しい悩みです。