大阪市立小中学校は今日から通常授業が再開しました。ようやくです。
新型コロナウイルス緊急事態宣言発令に伴い、原則オンライン学習としてきた大阪市立の小中学校で24日午前、通常の対面授業が再開された。平野区の市立川辺小では朝から児童が登校。約1カ月ぶりに終日、直接顔が見える形での授業となる。
川辺小では朝、オンラインや校内放送を使い、各自の教室で席に着いた全校児童約300人に向けて、兵庫唯史校長(60)が「まだ緊急事態宣言は続いている。マスクや手洗いなどの対策をし、学校生活を頑張りましょう」と呼び掛けた。
大阪市教育委員会は方針転換について、子どもの感染者数が減少傾向にあり、重症化するケースが報告されなかった点を挙げた。
このうち、港区の磯路小学校では、およそ1か月ぶりにすべての児童が一斉に登校し、出迎えた教員に「おはようございます」と元気よくあいさつしていました。
学校では、半数以上の児童がオンライン学習を受けていたものの通信環境などに課題もあったということで、対面での授業再開を喜ぶ子どもたちの声が聞かれました。
5年生の男子児童は、「回線が悪くて音が聞き取りづらいことがあったので、普通の授業に戻ってうれしい。体育の授業が楽しみです」と話していました。
糸井利則 校長は、「普通に授業ができる日常が戻ってきてうれしい。引き続きマスクの着用など感染対策を徹底して通常の授業を継続していけるように取り組みたい」と話していました。
大阪市立小中学校で通常授業再開 「オンライン」から1カ月ぶり
同市西淀川区の市立柏里小学校(児童数284人)では児童が登校した後、津曲純校長が各教室の児童にスピーカーを通して、「感染者数は少し減ったが、感染予防対策をして自分の目標や夢に向かって活動できるようにしてほしい」と呼びかけた。
6年1組の教室では、1時限目に国語の授業を行った。児童たちは先生から与えられたテーマについてそれぞれ意見をまとめ、手元のパソコンに入力してやりとりした。人羅実夕さん(11)は「(再開前にできなかった)理科の実験をしたり、音楽でリコーダーを演奏したりするのが楽しみ」と話した。
市教委は、宣言発令中は部活動を原則休止し、修学旅行などの校外活動は7月21日以降に延期するよう各校に通知している。昨年度は制限されたプールの授業は、感染対策をした上で全学年で原則実施する予定。
1ヶ月間に渡って続けられたオンライン授業とは何だったのでしょうか。子どもをテストで追いつめるな!市民の会のブログには、様々な声が寄せられています。
緊急事態宣言下の大阪市の学校は?!
http://no-testhyouka.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-b6f01b.html
特に気になった点をいくつかご紹介します。
なお、本記事は同会の趣旨や活動に賛同するものではありません。ご留意願います。
給食
・緊急事態やのに給食を食べる意味がわからん。不正会食?じゃないのか。
・テレビでは政治家が会食とかできてるのに、何で子どもは我慢しないといけないのか。
・12時登校になってから、給食の残食が増えています。先日のレーズンパンは、37人クラスで20本残っていました。税金の無駄遣いです。給食は、保護者にとってありがたいですが、午前中対面授業があればおやつを食べることはないですが、家でオンラインや自習では給食までに食べて登校できるので、給食の残量増えますね。これは地域に関わらずあるあるでしょうか?
大阪市が実施したオンライン授業では、小学校も中学校も学校で給食を食べるとされました。これは松井市長からの強い要請があったと明らかにされています。
理由は定かではありませんが昼食を準備する家庭の負担、また自宅で十分な食事を食べられない児童生徒の健康状態を配慮したのではないかと指摘されています。
しかし、学校で感染リスクが高い活動の一つは給食です。食事をするにはマスクを外さざるを得ません。感染対策の為のオンライン授業なのに、学校で給食を食べるのは矛盾しています。
であればどうして通常授業が出来なかったのでしょうか。この点は何ら説明がありません。
給食の残食が増えているのは気掛かりですね。午前中の活動量が減った、自宅で間食する事が多いのが理由では無いかと指摘されています。
私としては「起床時間が遅くなり、つられて朝食を食べる時間が遅くなり、昼食時にお腹が空いていない子供が多いのはないか?」という疑問も持っています。
助成金
・去年の休業のときは、子どものことで仕事を休んでも補助金?がもらえた。でも今年は2時間やるから?お金がもらえない。でも小学校からは送り迎えしてほしいとか言われる。どうしたらいいかわからない。
学校等が臨時休業を行って保護者が休暇取得を余儀なくされた場合、小学校休業等対応助成金(昨年度)や両立支援等助成金(育児休業等支援コース)(今年度)の支給対象となります。
しかしながら、オンライン授業は「学校は開けている」のが建前です。松井市長は「休校では無い」「学校は開けている、朝から登校しても構わない」と繰り返していました。
「臨時休業等」の定義は両立支援等助成金(育児休業等支援コース)支給要領に記載されています。
これに照らすと、今回は臨時休業に該当するのは難しいでしょう。「中途半端な登校だと出勤するのも難しい、いっそ臨時休業の方が良かった」という声も聞きました。
オンライン授業
・オンラインも、通信テストして以来全く進んでいません。宿題の延長のような課題が続いていて子どもたちも、とりあえずやればいい感じです。
・オンラインが整っていないのであれば、学校の判断で午前授業なり分散登校なり考えてほしいです。
・小学4年生男子の保護者です。オンラインテストではログインすら出来ていない子がたくさんいたように思います。すぐにログイン出来た子は持て余し、ログイン出来ない子は苦戦してるのか諦めモードなのか…とても授業が成り立つには程遠い感じでした。
・ニュースでとりあげられていたH小学校はかなり前から視聴覚の研究をやっており、ICTに関しても2013年から取り組んでいます。一人一台パソコンも昨年の後半には配布され、すでに子どもたちも、慣れていたことが考えられます。
・うちで配布されたのは今年の4月で、子どもたちは、ほとんど触れることなく、緊急事態宣言に入りました。低学年の子どもは、IDとパスワードの入力だけで、たくさんの時間がかかり、操作どころではありませんでした。
・teamsの接続テスト、ネット環境がない生徒への対応、予備の接続テストなどに追われ、教育に充てる時間がない。学校がお客様サポートセンターのようになり、明らかに教員の業務の枠を越えている。もちろん、去年から準備はしていたが、それでもこの状況。(小学校教員)
・一部の推進校のみにICTの予算、道具、人員が偏っていて、その他の学校は絶対に失敗するとわかっていて、カタチだけのオンラインに時間、人、準備、精神的なものを奪われていること。
保護者の不満が集中したのがオンライン授業でした。「出来ない事をやらないで欲しい」に尽きます。
新年度が始まったばかりなので、オンライン授業に必要な端末の設定が間に合っていない学校が少なくなかったでしょう。
学校内での試用も全然出来ていなかったと聞きます。昨年度までに何度も試した学校や学年ならまだしも、入学したばかりの1年生にとっては何も操作できません。2-3年生でも難しかったでしょう。
自宅に持ち帰って接続するのは更にハードルが高くなります。保護者のITスキルや家庭毎の通信環境には大きな差があります。親がサポートして問題なく接続できた児童もいれば、接続するのに手間取って学校がサポートセンター代わりになった児童もいます。
接続後も問題多発です。端末を通じた通信は全て市教委が管理するサーバを経由するそうですが、その通信容量(帯域)が小さく、多くの児童生徒が一斉に通信を行うと輻輳が発生してしまったそうです。
結果、双方向通信によるオンライン授業は週1回のみ、残りはプリント学習や市教委が作成した配信動画等を見る形で学習を行いました。「オンライン授業」とは名ばかりです。
プリント学習
・プリント授業やるならやるで答え合わせなど含めての確認が必要。やりっ放しのプリントに疑問を感じる。
・プリント学習の案内手紙も持ち帰りましたが、こういうのをやるご家庭はもう何かしらやってます。逆にご家庭で十分に見てあげられない保護者さんこそ、このようなお手紙いただいても即ポイな気がします。だから学校が必要なんだって話ですよね!
・うちの場合は学習にべったり付き合えるだけマシなほうだと思います。細かいですが、いただいているプリントとプリントの答えが合致してないのがちょこちょこあったり揃ってなかったり子どもだけでの丸付けは無理だと感じます。そしてそのプリントも回収されずに放ったらかし状態でファイルに入ったまま…なんのためにこんなに苦労しているのだろうと思います。
学校でしっかり学習した単元をプリント学習で復習するならまだ理解できます。が、新年度に習った単元は僅かです。昨年度までの復習プリントばかりが配布されました(これも重要ですが)。
自宅でのプリント学習は本当に大変です。何が大変かと言えば、子供を学習に集中させる事です。目を離すとすぐに遊んでしまいます。
何とか終えたプリントも間違いばかり。このまま学校へ持参しても、どうして間違ったのかを理解しないままに丸付けだけされるのでしょう。親がしっかりと目を通し、間違えた所を解説する様にしています。
数十年前に学んだ事を思い出し、子供に解説するのは疲れます。特に新しく出来た教科や単元は全く分かりません。生活科って一体!
他自治体との違い
・大阪市以外は通常授業で疑問です。
・結果的に自治体間、学校間,学校内の格差を自ら拡大することとなった。
小中学校で一斉にオンライン授業へ切り替えた自治体は大阪市だけでした。東京都立高校等は概ねオンライン授業に切り替えたと聞きましたが、他自治体の小中学校では聞きません(コロナ感染者やクラスターの発生による臨時休業を除く)。
今回、どうして大阪市だけが他自治体とは異なる選択を行ったのでしょうか。大阪府の吉村知事は「学校は通常通り」と強く主張していました。
「子供を感染から守る為」という通り一遍の説明では理由になりません。特別の判断を行ったからには、その根拠を具体的に説明して欲しいです。
授業時間の不足
・3時間目から登校して給食を食べて5時間目までの3時間授業です。国語や算数などの授業をしていても時数計算は全て特別活動の時数で計算せよと、わけのわからん指示が教育委員会から出されました。
・大阪市の小学校では約30%の子どもが朝から登校しているようです。学校によっては90%以上のところもあれば、10%ぐらいのところもあるようです。うちも当初、4時間目の通常授業は、特別活動にして、授業を進めないように指示されていると校長が言っていました。しかし、実際は毎日特別活動だけやることは、現実離れしており、教科の授業をしはじめ、校長も容認するようになりました。
当初は「学校の授業は全て特別活動を行い、その時数で計算する」という指示があったそうです。ただ、通常授業を行いたいとの要望が教員・保護者双方からあり、なし崩し的に通常授業を行う様になったと聞きました。
となると、授業時間は相当に不足すると考えられます。オンライン授業が時数算入できたとしても、たかだか2~3時間に過ぎません。
6月以降は特別活動の時間を減らして通常授業を行う学校が増えそうです。市教委は土曜授業の実施・平日授業の延長・行事の縮小で対応したい意向ですが、夏期休業の短縮は果たして避けられるのでしょうか。
教員のメンタルヘルス・コロナ感染対策
・教員は感染しないかのような、この措置はおかしくないか。生徒が登校するなら、教員は出勤しなければならない。オンライン対応で業務も増えている。現に、濃厚接触者になる教員、体調不良の教員もいる。N市では教員もPCRを受ける手筈になっているのに、大阪市は大丈夫なのか。
・教員も理不尽な状況でイライラしている。教員間の口論やトラブルが多い。生徒も当然落ち着かない。色んな意味で限界。休校にした方が安全ではないか。
・70歳を越えるスクールサポーターが出勤しているが…大丈夫なのか。
・病休、退職者が増えそう。
・教員、生徒の著しいモチベーションの低下を招いた、ということになりました。今後、どうこの事態を収拾するんだと思いますが、市長が責任とるわけありませんもんね。
子供や保護者と同じく、オンライン授業で負担が掛かったのは学校でした。慣れない業務に追われ、家庭からの助けやクレームに対応する現場はさぞ悲痛だったと思います。
松井市長は「子供達をコロナから守る」という発言を繰り返しましたが、「教職員をコロナから守る」という発言はありません。
万が一に感染しても無症状や軽症に留まる児童生徒と異なり、教職員が感染したら中等症や重症する可能性があります。
大阪市立学校園では今年4月22日までの間に119人の教職員が感染しています。
教員は多くの児童生徒や他教職員と密に接します。また、教職員を通じて他の教職員や児童生徒が感染する事例も報告されています。
大阪市立大淀中学区や豊中市立新田小学校で発生したクラスターは、いずれも教職員の間で爆発的に広がりました。
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教職員を守る事は、児童生徒を守る事にも繋がります。保育所等で働く保育士も同じです。ワクチン接種を優先的に進めて欲しいです。
コロナ禍はまだまだ続きます。日常的に感染予防に努めていきましょう。