大阪府内の新型コロナウイルス感染者数は一向に減少しません。昨日1月19日には火曜日最多となる525人の陽性が確認されました。

以前から大阪市内における子供の感染を注意深く観察していたのですが、11月に個票が廃止されて以来、詳しい数字が全く分からなくなっていました。

どこかに具体的な数字が無いかと探していたところ、大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部会議の配付資料に掲載されていると教えて頂きました。

大阪市新型コロナウイルス感染症対策本部会議(1月13日開催)

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/chonaikaigi2/kikikanrishitsu/0000524923.html

児童生徒等は353人感染

2021年1月12日までに、大阪市の学校園(市立小学校・中学校・高等学校・幼稚園)の関係者の内、353人の児童生徒等と61人の教職員が新型コロナウイルスに感染していました。

また、これによって計63学校園が臨時休業を行っています。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/chonaikaigi2/cmsfiles/contents/0000524/524923/kaigishiryou.pdf

このグラフによると、第1波(3月~5月)に発生した感染者は18名に抑えられていました。

学校園が臨時休業し、繁華街等へ外出する人も激減し、感染してしまう機会が極めて少なかった為でしょう。

一方、第2波(7月~10月)は状況が異なりました。計102人の児童生徒・教職員が感染しました。

学校園は通常通りに授業等を行い、繁華街等にも人が戻りました。それに加えてGoToトラベルが開始され、自粛疲れの反動による開放感が感じられた時期でした。

状況が急激に深刻化したのは第3波(11月~)です。毎月100人以上の関係者の感染が確認され、臨時休業を行う学校園も相次ぎました。

また、この図表から改めて気づかされたのは「陽性者数と臨時休業した学校園数の乖離」です。

通算で414人の関係者が感染した反面、臨時休業したのは63学校園に留まっています。これには二つの可能性が考えられます。

一つは臨時休業した学校園あたりの感染者が多く、クラスターが多発した可能性です。しかしながら、大阪市内の学校でクラスターが発生したと大阪府が認定したのは、大淀中学校の1件のみです。

【コロナ】大阪市立大淀中学校(北区)でクラスター発生、教職員7~8人が感染

もう一つは感染者が生じても臨時休業を行わなかった可能性です。こちらはコメント欄から教えて頂いた実例があります。

先日、大阪市内の小学校で児童1名が陽性になりましたが、給食を食べてから下校、翌日から通常通り授業をしています。
(臨時休校なしのためどこにも掲載されていません)
児童はマスクを着用していたので濃厚接触者はなし、他の児童のPCR検査も一切なしでした。

「学校でマスクを着用していたから、濃厚接触者はいないと判断した」という話は各地で聞きます。

ただ、給食や体育の時間にはマスクを外す事もあり、授業中・休み時間・登下校中にマスクを外して至近距離で会話をする児童生徒もいるそうです(先生が見つけ次第注意しているそうですが)。

いくら子供は感染しにくいと言われても、子供の行動特性を踏まえると、こうした機械的な判断には「本当に大丈夫だろうか」という不安は募ります。

先に紹介した図表を注意深く見ると、陽性者と臨時休業した学校園の数は8月を境に均衡しなくなっています。

本件と関係があるかは確証が持てませんが、8月6日に文部科学省が「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を改訂しました。

「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル ~「学校の新しい生活様式」~」の改訂について

https://www.mext.go.jp/content/20200806-mxt_kouhou01-000004520_2.pdf

これと同時に発せられた「小学校、中学校及び高等学校等にかかる感染事例等を踏まえて 今後求められる対策等について(通知)」には、臨時休業に関する新しい考え方が掲載されています。

なお、地域の感染状況等を踏まえ、警戒度を上げなければならない場合であっても、臨時休業のみならず、分散登校及びオンライン学習等の可能性を積極的に検討し、学びの継続に取り組んでください。

臨時休業の考え方

学校内で感染者が出た場合であっても、臨時休業は、濃厚接触者の範囲の特定や検査に必要な日数・範囲で行います(濃厚接触者の特定に時間を要しない場合や、濃厚接触者がいない等の場合には、必ずしも臨時休業の必要はありません)。学校全体に感染が広がっている可能性が高いような場合等でなければ、これを超えての臨時休業は基本的に不要であり、できる限り児童生徒の学びの機会を保障することが重要です。 現在は、感染者が発生した後、1~3日の臨時休業を実施してから、学校を再開する例が一般的です。

https://www.mext.go.jp/content/20200806-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

臨時休業すべきともしなくてもよいとも捉えられる、曖昧な文章ですね。

ただ、「これを超えての臨時休業は基本的に不要であり、できる限り児童生徒の学びの機会を保障すること」が「重要です」という言葉で締めくくられています。

この通知と前後し、臨時休業を行う大阪市の学校園は相対的に減少していきました。

園児等は138人感染

同会議で配付された資料には、こども青少年局が管轄する施設(保育所等・認可外保育施設・児童養護施設等・いきいき等)で発生した陽性者数及び臨時休業した施設数が掲載されています。

1月11日までに関係者計297人(内児童138人)が感染、発生した施設数は194か所(内臨時休業したのは112施設)でした。

学校園と同じく、第3波たる11月以降に陽性者が急増しています。

一方、学校園と比べ、陽性者数と臨時休業した施設数に大きな開きはありません。

保育所等に通う園児はマスクを着用するのが難しく、濃厚接触者と判定される範囲も広くなるのでしょう。園児や職員の安全を保つ観点から、自主的に臨時休業を行う保育所等も少なくないのではと推測されます。

適切に検査してもらえるのか?

現状で漠然とした不安を感じているのは「お世話になっている施設で陽性者が発生した場合、適切に検査してもらえるのだろうか」という点です。

少なくとも濃厚接触者はPCR検査等が行われると聞いています。

「濃厚接触者」の定義規定は、新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(国立感染症研究所)に掲載されています。

●「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」(「無症状病原体保有者」を含む。以下同じ。)の感染可能期間において当該患者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開始するまでに接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。

・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・適切な感染防護なしに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・その他:手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

※航空機内の場合については、国際線においては患者(確定例)の前後2列以内の列に搭乗していた者、国内線おいては患者(確定例)の周囲2メートル内に搭乗していた者をそれぞれ原則とする。ただし、患者(確定例)が搭乗中に長時間マスクを着用していなかった場合や、発熱・咳嗽等の症状を呈していた場合、当該航空機内で多くの患者(確定例)が確認されている場合等は、これらを超えた範囲に搭乗していた者についても個々の状況から感染リスクを考慮し、必要に応じて濃厚接触者とする。

※上記の濃厚接触者に該当する者の範囲を超えて、更に幅広い対象者に対してスクリーニング検査が行われる場合がある。その場合の濃厚接触者以外でスクリーニング検査が陰性であった者に対しては、厳密な個人の活動の自粛の要請等の対応までは実施しないことが考えられるが、こうした者がその後何らかの症状を自覚した際には、濃厚接触者が発症した際と同様に再度の検査の実施等の対応をすることが重要である。

https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/COVID19-02-210108.pdf

具体的な運用内容等は、京都府が公開している資料に詳しく掲載されています。

Q2.同じクラス・職場で患者が発生しました。この場合、自分は濃厚接触者ですか。

A2.濃厚接触者に該当するかどうかは、保健所が、患者、または家族や会社などから聞き取り調査をし、「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」に記載されている定義を踏まえて、マスク着用の有無、接触時間の長さ、距離の近さ、空間の密閉度や患者の症状などから状況に応じて総合的に判断します。そのため、同じクラス・職場で患者が発生したとしても、一概に濃厚接触者になるとは言えません。

https://www.pref.kyoto.jp/kentai/corona/documents/noukousessyokusya_qa.pdf

濃厚接触者と判定された子供がPCR検査等によって「陰性」という結果が出ても、数日後に「陽性」がある事例もあると聞きます。

また、濃厚接触者と判定されなくても、学校や保育所等のどこかで陽性者と密になって遊んでいる可能性もあります。

どちらの場合であっても強い不安を感じてしまいそうです(まだそうした状況を経験していませんが)。

先の見え無さ、保護者が望む様な対応が行われるか否か、緊急事態宣言の延長、2回目の一斉臨時休業、変異株の流行等、心の中は不安感でいっぱいです。

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