文部科学省が全国の学校園へ通知している「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル ~「学校の新しい生活様式」~」を改訂しました。最新の知見を取り入れた物です。

「感染者出たら原則休校」改めます…小中高、保健所の見解踏まえて判断

 文部科学省は3日、小中高校などに向けた新型コロナウイルス対策の衛生管理マニュアルを改定し、児童生徒に感染者が出た場合、「原則休校する」としていたこれまでの方針を改め、「すぐには休校はしない」とする考えを示した。

 従来は感染が確認された場合、保健所による濃厚接触者の特定や検査に必要な日数を臨時休校するとしていた。改定版では、感染者は欠席させた上で保健所の見解を踏まえ休校の可否を判断する。休校するのは、校内で感染が広がっている可能性が高い場合で、「家庭内感染ではない感染者が複数」「感染者が不特定多数とマスクなく近距離で接触」を例示している。

 8月17日~11月25日に文科省に感染者報告があった学校は1996校で、1552校(78%)は感染者が1人にとどまっている。1106校(55%)は実際に休校しておらず、こうした実情を踏まえて抑制的な対応を求めることにした。

 また、冬が本格化するのに合わせて、換気についても追記した。教室の窓側と廊下側の窓を常時10~20センチ開け、難しい場合は30分に1回以上、少なくとも休み時間ごとに数分間全開にすることや、防寒着の着用も検討するよう求めた。

 文科省はこの日、6月1日~11月25日に、感染が確認された小中高校生は3303人だと発表した。家庭内感染が55%、学校内感染は13%だった。内訳は小学校1252人、中学校782人、高校1224人、特別支援学校45人。前回公表の8月末時点では計1166人だった。

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20201203-OYT1T50172/

冬も常時換気を、学校の感染防止対策マニュアルを改訂

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、文部科学省は、学校での感染防止対策を示したマニュアルを改訂し、寒い冬も可能な限り常に換気を行うよう全国の教育委員会に通知しました。

 文科省は、学校における感染防止対策を示したマニュアルを改訂し、寒い冬の換気方法について、窓側と廊下側の窓をそれぞれ10から20センチ開けるなどして可能な限り常に換気を行うよう全国の教育委員会などに通知しました。寒すぎて難しい場合は、30分に1回以上、数分間程度、窓を全開にするよう求め、暖かい服装を心がけることや、室温が下がりすぎないよう空き教室を活用して行う「二段階換気」の方法などを示しています。

 また、全国的に感染拡大が続いていますが、特に小中学校では家庭内感染が大部分を占めるとして、学びの保障の観点から地域一斉の臨時休校は基本的に避けるべきとしています。

 あわせてこれまでのマニュアルで「感染者が発生したらまず臨時休校を実施する」としていた対応を見直し、臨時休校が必要かどうか保健所と相談し、必要な場合に限って行うよう求めています。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4142127.html

通知及び改訂された衛生管理マニュアルは文部科学省ウェブサイトに掲載されています。

「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル ~「学校の新しい生活様式」~」の改訂について

学校衛生管理マニュアル(Ver.5)の主な改訂箇所について

1.データやその分析の更新 児童生徒や教職員等の感染状況やその分析について、前回集計時点(6月1日~8月31日報告分)に11月25日までの感染状況を追加。同一校の5人以上及び10人以上の感染事例の分析を追加。感染事例の大半が学校内で感染者1人にとどまっていること等について、各学校での感染拡大の防止のための工夫と努力が大きいと考えられ、取組の継続を引き続き依頼。

2.感染拡大地域における学校教育継続の考え方について追記 特に小・中学校は、地域一斉の臨時休業は基本的には避けるべきと明記。また、中高生については、感染の状況に応じて、マスクを着用しないで行う感染リスクの高い活動を一時的に制限する対応を検討することなどを追記。

3.冬季の対策について追記 冬季でも可能な限り常時換気に努め、室温低下により健康被害が生じないよう暖かい服装を心がけることや、室温が下がりすぎないよう空き教室を活用して行う「二段階換気」等について追記。また、換気は地域に応じた方法もあることを紹介。

4.マウスシールドについての注意喚起を追記

5.感染者が発生した場合の臨時休業の考え方を再整理 「感染者が発生したらまず臨時休業する」対応を見直し、臨時休業の要否を保健所と相談の上、真に必要な場合に限って行う旨を明記。

6.その他 ・「新型コロナウイルス“差別・偏見をなくそう”プロジェクト」の活用について追記。 ・体育のマスク着用について追記。 ・給食等の昼食をとる場面の留意事項を追記。 ・健康診断の実施について追記。 ・「学校等欠席者・感染症情報システム」加入のメリットを紹介。 ・幼児のマスク着用について、厚生労働省の見解を踏まえ、追記。

https://www.mext.go.jp/content/20201203-mxt_kouhou01-000004520_03.pdf

学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(2020.12.3 Ver.5)

https://www.mext.go.jp/content/20201203-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf

新聞記事にある通り、児童生徒の感染経路の大半は「家庭内感染」です。大阪市が公表している学校毎の感染状況でも、校内感染が疑われる事例は一部に留まっています。

10人以上が感染したクラスターの多くは高等学校や部活動で発生しています。また、殆どの事例で教職員も感染しています。

幼稚園の感染事例で注目すべきなのは、有症状者の割合ですね。教職員は81%に症状があるのに対し、幼児は36%にしか症状がありません。「子供は発症しにくい」のは数字にも現れています。

感染者が判明した場合における学校休業に関する取り扱いが変更されています。これまでは直ちに臨時休業を行うとしていましたが、今後は保健所と相談して休業の要否を判断するとしています。

大阪市の学校で感染が判明した場合、原則として当日及び翌日は休業(この間に濃厚接触者を特定し、検査等を行う)、翌々日以降に再開(感染者が発生した学級等を除く)とした運用が行われている様子です。

保護者としては濃厚接触者が校内に存在する可能性がある段階での学校再開には怖さを感じます。濃厚接触者の洗い出しが不十分であり、再開後に再び休業した中学校もありました。

本マニュアルの Ver.4(2020.9.3 発出版)までにおいては、感染者が判明した時点で直ちに臨時休業を行う対応について示していましたが、 ・新型コロナウイルス感染症の感染防止対策については、感染が拡大しやすい場面なども分かってきていること ・基本的な感染防止対策が十分にとられている環境下では、感染は大きくは広がりにくいという認識の下、(学校以外の)他の社会経済活動では、感染者の発生により直ちに閉鎖や活動停止までは行わないことも多いこと ・10 代以下では、罹患率が他の年代と比べて低いこと ・感染者が発生しても臨時休業を全く行わない事例が増えてきているが(10 月には 54%)、これまで学校関係者に感染者が発生した事例をみると、学校内では感染が広がらなかった事例が大部分であり(感染者が1人でとどまった事例が大部分であり(約 78%(1,996 件中 1,552 件))、逆に大きく広がった事例は限られていること(5名以上の事例は約2.6%(1,996 件中 52 件))32等の状況を踏まえ、この対応を見直し、臨時休業を直ちに行うのではなく、設置者において、保健所と相談の上、臨時休業の要否を判断することとしました。(必要があれば、いつでも文部科学省にご相談ください。)

地域一斉の臨時休業は「地域の社会経済活動全体を停止する場合を除いては避けるべき」としています。大人や高齢者の活動を止めるより先に学校活動等を止めるのは、筋道が通らない話ですね。これを実行したのが3月以降の一斉休業でした)。

なお、地域で感染経路の不明な感染者が増加しているなど、警戒度を上げなければならない場合であっても、特に小学校及び中学校については、家庭内感染が大部分であることを踏まえれば、地域一斉の臨時休業は、当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に取るべき措置であり、学校のみを休業とすることは、学びの保障や心身への影響の観点から、避けるべきと考えます。 中学生・高校生については、家庭内以外の感染も増えてきていることから、地域の感染拡大状況に応じて、例えばマスクを着用しないで行う感染リスクの高い活動を一時的に制限するなど、生徒の発達段階に合わせた柔軟な対応を検討してください。なお、地域の社会経済活動全体の制限に併せて学校の臨時休業を検討する場合においても、分散登校及びオンライン学習等の可能性を積極的に検討し、学びの継続に取り組んでください。

学校とは異なり、幼稚園には特段の配慮を求めています。保育所にも当てはまりますね。

1.幼児期は身体諸機能が発達していくとともに、依存から自立へと向かう時期であることから、 ・幼児が自ら正しいマスクの着用、適切な手洗いの実施、物品の衛生的な取扱い等の基本的な衛生対策を十分に行うことは難しいため、大人が援助や配慮をするとともに、幼児自身が自分でできるようになっていくために十分な時間を確保すること。なお、幼児については、マスク着用によって息苦しくないかどうかについて、教職員及び保護者は十分に注意すること。なお、本人の調子が悪い場合や、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理して着用させる必要はないこと。・幼児期は教えられて身に付く時期ではないことから、幼児が感染症予防の必要性を理解できるよう説明を工夫すること。 等の配慮等が考えられます。

2.幼稚園は遊びを通しての総合的な指導を行っており、他の幼児との接触や遊具等の共有等が生じやすいことから、 ・幼稚園教育では、幼児の興味や関心に応じた遊びを重視しているが、感染リスクを踏まえ、幼児が遊びたくなる拠点の分散、幼児同士が向かい合わないような遊具等の配置の工夫や教師の援助を行うこと。 ・時間割がなく、幼児が主体的に様々な場所で活動している実態を踏まえ、適時、手洗いや手指の消毒ができるよう配慮すること。 ・幼児が遊びを楽しみつつも、接触等を減らすことができるよう、遊び方を工夫すること。 ・幼児が歌を歌う際にはできる限り一人一人の間隔を空け、人がいる方向に口が向かないようにすること。 等の指導上の工夫・配慮等が考えられます。

3.登降園の送り迎えは、保護者同士が密接とならないように配慮するとともに、教職員と保護者間の連絡事項は掲示板を活用するなどして会話を減らす工夫をします。

記載されている内容は概ね妥当な内容ですね。最も重要なのは「家庭から学校へ持ち込まない為に、大人は日々の行動に注意すべき」でしょう。