保育施設等における子供の事故は最多となりましたが、死亡事故は最少です。

去年1年間に全国の保育施設などで、子どもが大けがなどをした事故は1744件と、これまでで最も多くなったことが内閣府のまとめで分かりました。このうち6人は死亡し、その多くが睡眠中だったということで内閣府は、うつ伏せに寝かせないことなど、対策の徹底を求めています。

内閣府のまとめによりますと、去年1年間に全国の保育施設や幼稚園、放課後児童クラブなどで、子どもが治療に1か月以上かかる大けがなどを負った事故は、前の年より103件増えて、1744件でした。今の形で統計を取り始めた5年前と比べると2.8倍に上り、これまでで最も多くなっています。

事故が起きた場所を施設別に見ると、認可保育所が最も多く881件、次いで放課後児童クラブが445件、幼保連携型認定こども園が280件でした。

事故の内容は、骨折が全体の8割を占め、死亡した子どもも6人いました。死亡した6人の施設別では、認可外保育施設が3人、認可保育所が2人、一時預かりが1人で、このうち4人は睡眠中だったということです。

内閣府は、事故件数が最も多くなったことについて「事故の報告の義務づけが浸透したほか、共働きの増加を背景に、施設そのものの数が増えていることが要因だ」としています。

そのうえで「睡眠中の死亡事故を防ぐため、うつ伏せに寝かせず、睡眠時の呼吸の確認を徹底してほしい」として保育施設などに対して、対策の徹底を求めています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200627/k10012485671000.html

詳しい資料は内閣府子ども・子育て本部のウェブページに掲載されています。

「令和元年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策について

教育・保育施設等で発生した死亡事故や治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等で、平成31年1 月1 日から令和元年12月31日の期間内に報告のあった事故について、取りまとめましたので公表します。

事故報告集計(概要) ※詳細は別添資料参照
○ 報告件数は1,744件(対前年+103)あった。
○ 負傷等の報告は1,738件(対前年+106)あり、そのうち1,401件〔81%〕(対前年+71)が骨折によるものであった。
○ 死亡の報告は6 件(対前年▲3)あった。
○ 事故の発生場所は施設内が1,564件〔90%〕 (対前年+103)であり、そのうち837件〔54%〕 (対前年+32)は施設内の室外で起きていた。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/r01-jiko_taisaku.pdf

死亡事故は統計開始後最少の6件

残念な事ですが、保育施設で園児が死亡する事故は毎年発生しています。

しかし、平成31年(令和元年)に起きた死亡事故は、統計を取り始めた平成16年以降で最少となる6件へと減少しました。

6件の死亡事故の内訳は下記の通りです。睡眠中の事故が過半数の4件を占めています。

死亡事故は0件になりませんが、減少傾向にあるのは間違いありません。その背景には、認可外保育施設における午睡中の死亡事故にフォーカスを充てた対策が功を奏しています。

平成27 年の「「教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策について」の死亡事故においても、認可外保育施設での死亡事故が多く、特に0~1歳児の午睡中の死亡事故が多いことから、平成28 年 10 月に、ガイドラインの取組の周知徹底と睡眠中の窒息リスクの除去の方法等、重大事故が発生しやすい場面ごとの注意事項を記載した周知啓発資料等により、事故防止の取組を推進している。あわせて、全国担当課長会議、地方自治体説明会や各種研修会においても、ガイドライン等事故防止の取組の周知徹底を行っている。

なお、死亡事故の内、残り2件は大津市での散歩中の交通事故でした。

【ニュース・5/7追記】散歩中の保育園児の列に車、レイモンド淡海保育園(大津市)の2歳児2人が死亡、2人が意識不明

事故総数が増加したのは施設増加以外の要因も?

事故総数は昨年より106件増加して1,738件となりました。8割が骨折です。

担当者は「報告義務の徹底、及び施設総数の増加」としていますが、少なくとも事故の増加率は施設の増加率を上回ってます。

あくまで推測となりますが、「園舎や園庭が狭い施設の増加」が影響しているかもしれません。

私の経験の限りですが、園児の骨折事故はつまづき・園児同士の衝突・遊具等からの落下で発生するケースが多いと感じています。

園舎や園庭等が狭ければ、園児同士の衝突は目に見えて増えるでしょう。「前を見て歩きましょう」と声を掛けても、前を見ずに走る子は少なくありません。

園庭がない保育所等が増加しているのも関係しているでしょう。近所の公園を利用するケースが多いですが、自園と違って安全管理を徹底するのは容易ではありません。

保育所等を利用している限り、一定程度の事故やケガは避けられないと感じています。園がいくら気をつけても、時には骨折してしまう事もあるでしょう。

重要なのは生死や後遺障害等に関わる重大事故を可能な限り防止し、何らかの事故が発生した際には適切な治療等を行う事でしょう。

重大事故の防止と適切な事後対応を

恥ずかしい話ですが、うちの子はお世話になっている保育所や小学校で何度も骨折しました。

ただ、いずれも事故の発生直後に「ケガをして痛がっています。申し訳ありません。職員が病院へ連れて行って構いませんか?」との旨の電話連絡がありました。

当日乃至後日には、事故状況を丁寧に説明して頂きました。

また、事故後の通院にどうしても都合が付かない時は、親に変わって職員が付き添ってくれる事もありました(恐縮です)。

残念ながら、事故の根絶は不可能でしょう。重大事故の防止(特に死亡事故はゼロに)、そして適切な事後対応が大切です。