再び痛ましい事件が起きました。
母親が3日間遊び歩いて帰宅したところ、自宅で放置された2歳女児が死亡しているのが発見されました。
「3日間帰らず放置」 2歳娘を死なせた疑い、母親逮捕
2歳11カ月の長女を自宅に放置して死なせたとして、宮城県警は1日、母親の飲食店従業員、土屋りさ容疑者(25)=仙台市青葉区台原3丁目=を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕し、発表した。「子育てに疲れて、一人になりたかった。3日間ぐらい家に帰っていない」と話し、容疑を認めているという。
仙台北署によると、土屋容疑者は6月末ごろ、自宅マンションの居間に長女の陽璃(ひなた)ちゃんを数日間置き去りにし、低体温症で死なせた疑いがある。
土屋容疑者は陽璃ちゃんと2人暮らし。30日午前11時ごろ帰宅し、「娘が息をしていない」と119番通報し、駆けつけた救急隊員がその場で死亡を確認した。土屋容疑者は「6月27日午前0時ごろに家を出た。知り合いの男性の家や仕事に行っていた」と話しているという。
発見時、陽璃ちゃんは全裸で居間に倒れており、目立った外傷はなかったという。体重は8・6キロと平均体重の3分の2程度で、胃の中は空っぽだった。土屋容疑者は未婚で、仙台市中心部の飲食店に勤めていたが、陽璃ちゃんを保育園に預けていなかった。室内に飲食物は見当たらなかったという。
仙台市児童相談所の一條明所長は「報道で事件を知って記録を確認したが、母親や近隣住民からの相談や情報提供はこれまでなかった」と話した。
事件に至る経緯
2016年7月 陽璃(ひなた)ちゃんが生まれる
19年5月ごろ 母親の土屋りさ容疑者が仙台市泉区から青葉区のマンションに引っ越す
6月27日午前0時ごろ 土屋容疑者が外出
30日 土屋容疑者が帰宅し、午前11時ごろに「娘が息をしていない」と119番通報。司法解剖の結果、死因は低体温症と判明
7月1日 土屋容疑者を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕
※宮城県警への取材から
2歳11カ月女児の平均体重は13.0kgです(身長DATAバンク)。
陽璃ちゃんの体重は8.6kgしかありませんでした。日頃から十分な食事を与えられず、栄養失調状態に陥っていた可能性が濃厚です。
しかも発見時は全裸でした。食事どころか、衣類すら購入していなかったのでしょうか。
夏場とは言え、夜間は冷え込みます。衣類と栄養が足りず、適切な体温を維持できなかったのでしょう。
報道によると、土屋容疑者はひなたちゃんと2人暮らしでした。シングルマザーです。保育園を利用していた記録はありません。
飲食店で働いている間は、自宅でひなたちゃんを1人で放置していたのでしょう。先日も同じ様に放置し、悲劇が起きました。
近隣住民等からの通報が本当に無かったのかは不明です。
ただ、1-2歳の乳幼児は泣き叫ぶ事も多いです。何度も繰り返されれば、近隣に聞こえる筈です。
それでも通報が無かったとしたら、殆ど人気が無いワンルームマンション、もしくは泣き叫ぶほどの元気すら無かったのかもしれません。
徐々にですが、シングルマザー向けの支援施策は広がっています。しかし、当事者が救いの手を求めなければ、行政等は手を差し伸べないのが実態です。
気掛かりなのは、区役所等で行う1歳6カ月診断の記録です。
受診したのであれば、何らかの異変が見つかっているはずです。未受診であれば、それこそが危険な兆候です。
また、区役所(保健福祉センター)は土井容疑者がシングルマザーである事は把握していたでしょう。
健康診断における異変(もしくは未受診)とシングルマザー、この二つが重なるのは大きなリスクです。
育児に問題を抱えている当事者は、どうすれば良いのかすら分からない親もいます。区役所等に相談する事すら思いつきません(相談しても軽くあしらわれる事もありますが)。
土屋りさ容疑者は「育児に疲れた」と供述しているそうです。一時預かりの利用等、手助けする方法はありました。
手遅れになる前に、行政が先手をうって支援(介入)すべきかもしれません。
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(追記)
土屋容疑者はのり巻き1本を置いて、3日間も帰宅しなかったそうです。「2歳児にのり巻き」に絶句です(うちの子も好きですが、小分けにして食べさせます)。
陽璃ちゃんと2人暮らしで、27日午前0時ごろ、寝ている陽璃ちゃんを置いて外出。知人男性宅に泊まり、勤め先に行ったと説明している。30日午前11時ごろに帰宅し、裸で横たわっている陽璃ちゃんの異変に気づいたという。司法解剖の結果、胃の中は空だった。土屋容疑者は「のり巻きを1本置いていった。服は着せていた。3日も家を空けたのは初めて」と話しているという。体重は8・6キロで平均体重の3分の2ほどだった。
市によると、陽璃ちゃんは8~9カ月児の健康診断から受けておらず、当時住んでいた同市泉区の担当者は、土屋容疑者と連絡がつかなかったため、通院先の医療機関から状況を把握。6月下旬には青葉区の医療機関から「虐待などの痕跡はない。年齢相応の発育で特段の問題はない」と報告を受けていたという。市児相は「母親や近隣住民から相談や情報提供はなかった」としている。
市子供家庭支援課の渡辺信一課長は「SOSの手を挙げてくれない保護者にどう支援を届けるか、悩ましい」と話した。
やはりひなたちゃんは健康診断を受診していませんでした。
乳幼児健康診断を受診していない子供や家庭は、自動的にハイリスクに分類して積極的な支援・介入を行うべきでしょう(既にその様な対応を行っている自治体もあるでしょう)。
「未受診=無言のSOS」です。