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(2023/1/26追記)
仙台地裁にて懲役7年6か月が言い渡されました。

 宮城県登米市の「豊里こども園」に刃物を持って侵入し、殺人未遂などの罪に問われた大槻渉被告(32)=同市=の裁判員裁判の判決公判が25日、仙台地裁であった。大川隆男裁判長は、被告には完全な刑事責任能力があると認めた上で、「抵抗できない幼児を無差別に狙ったのは身勝手で、強い非難に値する」とし、懲役7年6カ月(求刑懲役8年)を言い渡した。

 判決によると、大槻被告は幼児を殺そうと考え、2021年11月9日午前10時40分ごろ、フェンスを乗り越えて園に侵入。包丁で保育教諭の20代男性の胸元を刺して殺そうとした。

 大川裁判長は、被告が当時、幻聴などの症状が出る「解離性障害」だったとする精神鑑定の結果は信用できるとしつつも、「善悪を判断したり、行動を制御したりする能力が著しく弱ってはいなかった」と認定した。

 さらに、入りやすい場所を選び、包丁を隠し持っていたことなどから計画性があったと指摘。「園の職員の適切で勇気ある対応がなければ、多数の死傷者が出る大惨事になった可能性があった」と付け加えた。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/ASR1V2JHGR1SUNHB00M.html

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間一髪でした。職員が不審者の存在にいち早く気付き、複数の職員で制圧する事が出来ました。

宮城県登米市のこども園に刃物を持って侵入したとして、31歳の男が現行犯逮捕されました。

 建造物侵入の疑いで現行犯逮捕されたのは、登米市豊里町の無職大槻渉容疑者(31)です。

 警察によりますと、大槻容疑者は9日午前10時40分頃、登米市の豊里こども園の敷地内に刃渡り12センチの包丁を持って侵入した疑いが持たれています。

 大槻容疑者は「子どもを殺す目的で侵入した」と話していて、容疑を認めているということです。

 当時、施設の外では園児100人ほどが遊んでいて、男性職員が園の敷地周辺を徘徊している大槻容疑者を見つけ、園児を建物に避難させました。

 男性職員が声をかけたところ、大槻容疑者が無言で柵を乗り越えて敷地内に侵入し、持っていた包丁で切りかかってきたということです。

 その後もみ合いになり、職員数人がかりで押さえつけ、職員からの通報で駆けつけた警察官に現行犯逮捕されました。

https://www.khb-tv.co.jp/news/localNews/202111091636010.html

豊里こども園は登米市豊里町小口前にあります。豊里地域に広がる住宅地と農村地域の接点にあります。

園児に危害が加えられるのを防いだ大きな要因は、男性職員が徘徊している容疑者の存在にいち早く気付いた事でした。

早急に園児を建物内に避難させた後に大槻容疑者へ声を掛け、包丁で斬りかかってきた際に取り押さえました。

恐らくは声を掛ける前に複数の男性職員が刺股等を持って集まり、かつ別の職員は110番通報を行っていたのでしょう。

スムーズな避難行動・不審者への対応・110番通報等、こうしたチームプレーは普段から訓練していなければできせん。見事です。

一歩間違えると、大教大附属池田小学校の様な大惨事になっていました。

皆さんがお世話になっている保育所等では不審者対応の訓練は定期的に行っていますか?

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(追記)
大槻渉容疑者は「小さな子供を殺し、死刑になりたかった」と証言しています。擁護や弁解の余地はありません。

一方、容疑者の職業は「無職」です。社会的な繋がりが乏しく、自暴自棄になったと考えられます。

「死ぬなら1人で死ねばよい」という気持ちと、「孤立や孤独を防ぎ、共に生活していくにはどうすれば良いのか」という考えが併存しています。

社会経済がコロナ禍から回復するに従い、持てる者と持てざる者の格差がより顕在化していきます。私も「タワーマンションを購入できる所得がある家庭は羨ましいなあ」と思う事もあります。

自暴自棄型の犯罪の標的となるのは弱い者です。「誰でもよかった」と言いながら、容疑者より強い存在(屈強な成人男性や警備された有名人等)を狙って襲撃するケースは殆どありません。

子供を守るには、誰もが平穏に暮らせる社会が必要です。安全対策に投じるコストが膨れあがると他の分野にしわ寄せが行きます。

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(11/12追記)

「子供を最低でも2人殺し、死刑になりたかった」が動機でした。

 宮城県登米市の認定こども園「豊里こども園」に刃物を持った男が侵入した事件で、建造物侵入容疑で逮捕された無職の大槻渉容疑者(31)=同市豊里町迫=が「子どもなら簡単に殺せると思った」と供述していることが、県警への取材でわかった。

捜査1課などによると、大槻容疑者は事件前、「自殺はできない。最低2人は殺さないと、死刑にならない」と考えるようになったという。県警は11日朝、建造物侵入と銃刀法違反の容疑で仙台地検に送検した。

https://digital.asahi.com/articles/ASPCD2Q2XPCCUNHB00L.html

容疑者は刃渡り12センチの包丁を所持していました。職員が適切な対応を行えなければ、大惨事となるところでした。

実は同園は今年4月に開所したばかりでした。公立幼稚園等を母体とし、新しく設置されたこども園です。

開所後から事件までの間に2回も不審者対応の訓練を行っていました。これが功を奏しました。

児童には「そろそろ雨が降りそうなので、中に入りましょう」と屋内へ誘導、そして職員には「いかのおすしが届きました」と連絡したそうです。