タワーマンションの建築等によって子どもの数が急増し、保育・教育環境の確保・整備が急務となっているのが大阪市西区堀江地域です。
7月26日に開催された会議において、「大阪市立西高校の校舎跡地に堀江中学校が移転、テニスコート跡地に堀江小学校の地域分校を設置」という方向性がまとまったそうです。
第2回堀江小学校ラウンドテーブルの質疑・取りまとめ
(質問) 堀江中学校が西高校用地へ移転するという話だが、その堀江中学校の跡地に堀江小学校が分離して移転していくのか。
(回答) そうではない。堀江中学校が西高校用地へ移転するのと併せて、堀江小学校も西高校用地に新しい小学校校舎を建てて分離していく計画。(質問) 堀江中学校の跡地は何に使うのか。
(回答) 今は何も決まっていない。どのように使うかは今後の話である。・地域分校案で検討を進める
・次回は、通学区域について意見交換することとし、9月10日の週で日程調整する
このラウンドテーブルの資料にて、私は「地域分校」という言葉を初めて聞きました。
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(9/20追記)
これまでの議論の流れ・地域分校案・より良い案等を別記事にて整理しました。
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地域分校案は地域メリット大、だが学校運営ではデメリット大
分離新設校・学年分校と比較したペーパーが掲載されています。
児童や保護者にとって、地域分校は「堀江小学校の教育方針が維持される」「兄弟姉妹の通学先が同じ」「学年毎の縦割り活動が容易」というメリットがあるそうです。ただ、行事によっては本校・分校間の移動が生じます。
そして地域にとっては「地域として学校を支えやすい」「堀江小学校の愛着・伝統が維持できる」というメリットが大きいそうです。
一方、学校運営にとっては課題が大きい制度です。堀江小学校としての教育方針や地域との協力体制が継続できます。
しかしながら、「離れた校地間での管理運営が煩雑」「本校や分校間での教員・児童の交流が煩雑」「学校全体としては過大のまま」という大きなデメリットが生じます。
議事要旨によると、ラウンドテーブルの出席者の大半は地域住民・保護者です。地域分校案における地域のメリットが一方的に強調されており、強い異論は出ていません。水面下で意見が一致していたと感じました。
現在の堀江小学校の児童数は約1,200人です。大阪市の推計によると2027年に1,782人、2040年になっても1,499人に達する見通しです。
これは小学校2-3校分に匹敵する児童数です。両校地間の距離は約400メートルといえども、間には新なにわ筋があって物理的に遮断されています。本来は分離新設校を設置すべき児童数・位置関係です。
小学校の運営には地域の協力が重要です。しかし、あくまで小学校は「地域の児童を教育する施設」であり、地域の為に存在するわけではありません。
資料に記載されているとおり、地域分校は学校運営上のデメリットが数多く指摘されています。そもそも論として、1,500人~2,000人の児童・教職員が属する小学校は、余りに過大な組織です。
地域分校は分離独立前の一プロセスだった
「地域分校」というキーワードでネット検索したところ、大阪市内の3事例が検索されました。
大阪市立井高野中学校
地域の住宅開発に伴う生徒数増加により、井高野地区を対象とする大阪市立瑞光中学校の地域分校として、1972年に現在地に設置されたことに始まる。分校設置から1年後の1973年に独立校となった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E4%BA%95%E9%AB%98%E9%87%8E%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1大阪市立北粉浜小学校
1961年4月1日 – 地域分校となる。
1965年4月1日 – 大阪市立北粉浜小学校として分離開校。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%8C%97%E7%B2%89%E6%B5%9C%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1大阪市立放出中学校
1954年4月14日 – 分校を開設。大阪市立諏訪小学校区在住の生徒を収容する地域分校とする。
1955年4月1日 – 分校が大阪市立城陽中学校分校と統合の上で、大阪市立城東第五中学校(現在の大阪市立城東中学校)として独立開校。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E6%94%BE%E5%87%BA%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1
いずれも地域分校の設置後、数年内に分離して独立校として開校しています。分離独立への準備として、地域分校というプロセスを経たと推測されます。
議事要旨を読む限り、堀江小学校の地域分校案には過渡的な措置・数年内に分離独立といった表現はありません。地域分校という形態をとり続けると読み取れます。
地域分校案が非常にトリッキーだと感じたのは私だけでしょうか。
堀江小学校の再編案に関する真の当事者は、堀江小学校の学区内にお住まいで就学前の児童がいる方です。次回のラウンドテーブルは9月上旬の開催が予定されています。気になる方は、早めに区役所へお問い合わせ下さい。
堀江中学校区の教育環境整備、本当に難しいです。
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