大阪市の待機児童対策が続々と打ち出されています。1年半後の2018年4月を目標として、市役所・全区役所内に保育所を設置する計画を打ち出しました。

大阪市 全24区役所に保育所 18年4月の開設目標

大阪市の吉村洋文市長は19日、保育所待機児童の解消を目的として、市役所と全24区役所に保育所の設置を目指す方針を明らかにした。2018年4月の開設が目標で、役所内のスペースを民間事業者に貸し付けることを想定。来年秋までに事業者の選定を終えたい考えだ。政令市の全区役所に保育所を設ける取り組みは、極めて異例という。

19日あった待機児童対策の会議で公表された。市こども青少年局によると、0~5歳向けの認可保育所か、0~2歳が対象の小規模保育事業所の開設を検討。各区長に対し、今年度中に施設改修の必要性などを調査するよう求め、来年夏までに事業者の公募に入る。

市内の待機児童数は10月1日現在で508人で、昨年同時期とほぼ同じ。市は保育所に入所を希望する全員が入れるよう、18年4月までに約5万5000人分の入所枠を確保する方針。ただ、参入を検討する事業者にとっては場所の確保が課題で、役所内の活用を考案した。

吉村市長は「待機児童をゼロにするには、ここまでやらないといけない。潜在的なニーズに対応できる整備も必要だ。『なぜ区役所を使うのか』という意見が上がってくるだろうが、トップダウンでやるしかない」と語った。

http://mainichi.jp/articles/20161220/k00/00m/040/082000c

方針が打ち出されたのは、第3回大阪市待機児童解消特別チーム会議です。

高いハードル

市長は「市役所・全区役所で設置したい」としていますが、実現には様々なハードルがありそうです。思いつく点を箇条書きで出してみます。
・庁舎管理との関係
・区役所等へ設置する必要性は(周辺地に保育所を設置できないのか)
・待機児童がほぼ発生していない地域は不要では
・区役所の空きスペースがあるのか(現に手狭な区役所が多い、バッファースペースの重要性)
・幼児用トイレ、沐浴施設、調理設備等、大規模な工事を要する
・区役所に用事がある市民と園児の導線が入り乱れないか
・同一建物内に不特定の第三者が多く存在し、園児の安全に不安が残る(オフィスビルは特定の第三者)
・区役所は市街地中心部にあり、園庭代わりとなる公園が少なく遠い(例外は北区役所/扇町公園)
・静かにお昼寝できる環境を整備できるのか(防音・防振性)

実現不可能とまでは言い切れませんが、実現には相当高いハードルが待ち構えているでしょう。「区役所の余裕スペースは市役所職員の勤務環境改善や市民応対等に利用し、保育所等は別の場所に設置すべきでは」というのが率直な感想です。

保育所等の設置を促進する効果があるでしょう。しかし、調整や運営に掛かる労力・実現可能性を鑑みると、残念ながら筋が良くない計画だと感じました。

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(12/20追記)
MBSが今福保育園長(城東区)取材し、打ち出した対策に対する見解を聞き出しています。

保育の現場で聞く“有効な待機児童対策”は?
http://www.mbs.jp/news/kansai/20161220/00000074.shtml

給与アップ(国方針?)を歓迎する一方、区役所への保育所設置や送迎バスには否定的な見解を示しています。
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