2月の1次調整・3月の2次調整の結果通知を経て、大阪市の平成30年度保育所等一斉入所手続は終了しました。
4月からの入所が決まった方がいる一方、「保留」という結果を受けて認可外保育施設を利用する方・育休延長をする方もいます。また、希望する保育所等に決まらず、転所申請を提出して朗報を待つ方もいます。
まだ大阪市から確定的な数字が公表されていない段階ですが、中間発表や皆様からお寄せ頂いた結果報告等を元に、H30一斉入所の結果・感想をまとめてみます。
※多くの方からコメントを頂きましたが、まだ個別のお返事を送れていない方が殆どです。遅くなりましたが、少しずつお返事をお送りする予定です。
新設保育所は効果大
1次調整でお寄せ頂いた結果を見た第一印象は「昨年よりも内定コメントが多い、200点での保留コメントが少ない、200点未満でも多くの方が決まっている」というものでした。
ウェブサイトに結果を書いて下さるのは、良い結果があった方が多いというバイアスが働いているでしょう。しかし、それを差し引いても「昨年より多くの方が決まっているのではないか?」という感想を抱きました。
最大の要因は「保育所の新設」でしょう。
典型的なのは天王寺区です。頂いたコメントは全て「入所内定」でした。特に例年では内定する可能性が決して高くない、1歳児・200点で内定した方もいました。
同区はほっぺるランド天王寺上本町・聖和かいせい保育園が4月に開所します。同区の分析記事によると、両園は合わせて160人(各80人)を募集したところ、148人の児童が第1希望として入所を申し込みました。
新設保育所による効果が大きいのは、主に「200-205点の0-1歳児」です。同一点数上に多くの児童が並び、家庭の状況・世帯年収等で判定されています。
こうした点数の方は、入所しやすい新設保育所を第1希望とするケースが多いでしょう。既設保育所であれば加点が必須である場合が多かったのに対し、新設保育所は加点無しでも入所できるケースが多かったと推測されます。
また、反射的影響により、既設保育所であっても例年よりやや入所しやすくなったでしょう。特に影響が大きかったのは、第1希望とする方がやや少なかった保育所です。
第1希望とする方が多い保育所(いわゆる人気園)は、近隣等に保育所が新設されても第1希望数を維持しています。保育方針に共鳴した、父兄等が卒園した等の理由が考えられます。
一方、そうではない保育所は、第1希望数が落ち込んでいる施設が少なくありません。第1希望が新設園にシフトしたと見込んでいます。
天王寺区以外では、この様な現象が西区・北区・阿倍野区等でも生じたと見ています。いずれも数多くの新設保育所が開所する地域です。
これ以外の地域であっても、過去の保育所新設で保育需要を概ね満たした地域も入所しやすくなっています。
驚いたのは中央区の0歳児です。申込数が募集数を大幅に下回りました。結果、例年は非常に厳しい点数であっても、第1希望の保育所へ入所できたケースがありました。嬉しい知らせに「えっ」と声を出してしまいました。
非常に厳しかったのは淀川区?
反面、再開発等によってファミリー世帯が流入しているにも関わらず、保育所が新設されなかった地域は非常に厳しい結果となりました。代表的なのは淀川区です。
同区の分析記事によると、H29とH30で申込数・募集数等に大きな変化はありませんでした。しかし、保育所毎の数字を見ていくと、区北部・北東部にある保育所の入所倍率の上昇が目立ちます。再開発地域と一致します。
同区への転入者が近隣にある既設保育所を第1希望として申し込んだ結果、1歳児クラスでは入所倍率が3倍を超えた施設が少なくありません。
近くに新設保育所がなく、希望変更をしづらいです。小規模保育等も立地に偏りがあります。結果、1次調整で多くの保留者が生じてしまったと感じています。
状況に危機感を持ったのか、淀川区は平成30年度中に4か所の保育所を公募する予定です(詳細はこちら)。西区(5か所)に次いで市内2位の規模です。
保育所の希望順位は慎重に
1次調整発表後、多くの方から「保留となってしまった、どうしよう」といった旨のメールを頂きました。それに対し、必ず「1次調整で希望した保育所・点数」を訊きました。そこから幾つかの事例が浮かび上がってきました。
最も多かったのは、「点数や倍率を気にせず、入所したい保育所等を順番に書いた」と思われるケースです。こうした書き方でも決まるのが理想的ですが、残念ながら大阪市では厳しい結果になる場合が少なくありません。
たまたま第1希望で決まる方もいます。しかし、第1希望で決まらない場合、同じ様な点数で第1希望として記入した方が多い第2希望以下の保育所は、全く決まらないという状況が生じています。
また、「この点数でこの保育所は極めて厳しい」という方もいました。たとえば募集予定数1-2人・倍率3倍以上の1歳児クラスであれば、200点があっても入所は困難です。
こうした場合は他の保育所への希望度合いを比較しながら、第2希望以下を柔軟に繰り上げると良い結果に繋がった方が少なくありません。「中間発表時に相談があれば」と感じました。
第1希望として記入する保育所等は、本当に入所したい施設を記入すべきです。しかし、募集予定数や点数によっては第1希望を変えたり、第2希望以下で高確率で入所できる保育所等を記入すべきでしょう。
2次調整で入所内定した方も多い
1次調整で決まらなかった方の多くは、引き続いて2次調整へ応募されたでしょう。主に1次調整で定員を満たさなかった施設を対象とする2次調整ですが、(良い意味で)予想外に多くの方が内定しました。
実は2次調整での募集において、「1次調整での未充足施設」は一部に過ぎません。
2次調整で最も多くの園児を募集するのは、「1次調整への申込後に開所が決まった小規模保育」です。本来は1次調整で募集すべきですが、公平性や施設建設の進捗等の観点から、2次調整で一斉に募集が行われています。
「1次調整入所決定者の辞退分」も少なくありません。1次調整で入所が決まっても、様々な事情で入所を辞退する方がいます。転居・企業主導型保育等への入所・遠すぎて通えない・不承諾通知を得る予定だったが何故か内定してしまった、というケースがあります。
また「1次調整での入所者決定後に年度末での退所が判明した」という事例もあります。
1次調整での入所者は、とある資料に12月下旬(連携施設・保育士優先枠)から1月に掛けて決定すると記載されていました。しかし、これ以降に転勤等が判明し、年度末で退所する児童は少なくありません。こうした数字は1次調整へ反映されません。
区役所が退所を把握した時期によっては、2次調整での募集予定数にも反映されません。募集予定が無かったのに、2次調整で入所内定したという事例が発生しています。
募集予定がない施設を2次調整で希望するかは悩ましいです。点数が高い方(概ね200点以上)・どうしてもその保育所等へ入所したい・保留となっても差し支えない方は積極的に、点数が低い方・保育所等に強い希望が無い方・どうしても保育所等へ入所したい方は消極的に選択するのが基本的な考えではないでしょうか。