【H26保育所一斉入所結果分析】(5)基準点が高い保育所とその要因

保育所に入所できるか否かは「入所選考基準点数」によって判断されます。
では、どういった保育所で高い入所基準点が求められるのでしょうか。
基準点が著しく高い保育所（具体的には195点以上）を取り上げ、その原因を考察してみます。

※基準点
保育所毎の新規入所者の上位90％の点数（おおよその入所最低点）が属する点数帯の中心点を基準点としています。
（例：新規入所者20人の園で181点～190点が20人、171点～180点が0人の場合、上位90％（＝18人目）の属する点数帯は181点～190点であり、185点を基準点とみなしています。）
なお、公開されているデータは全年齢が一括集計されており、基準点を超えればいずれの年齢でも入所できた、という結果を表しているわけではありません。

基準点が195点以上であった保育所は41カ所ありました。
いずれも平均点が200点前後であり、入所するにはフルタイム共働きが必要条件だと推定されます。
1歳児・2歳児の入所はより困難であり、フルタイム共働きに加えて何らかの加算点が求められるでしょう。

では入所基準点が高くなる背景にはどの様な要因が隠されているでしょうか。

(1)いわゆる激戦区
待機児童が多く、保育所へ入所するのが容易ではない区にある保育所は、必然的に入所基準点が高い傾向があります。
具体的には入所倍率が著しく高かった中央区・西区・阿倍野区、及び新設保育所によって入所倍率はやや下がったものの既設保育所へ申込みが集中した北区・天王寺区・福島区が該当します。
特に阿倍野区・天王寺区・西区は数多くの保育所の入所基準点が著しく高く、尋常ではない状態と言えるでしょう。

(2)新入所者が少ない
新入所者を受け入れる枠が少なければ、必然的に基準点は高くなってしまいます。
また、こうした保育所は特色ある保育を行っている場合も多く、申込者を更に集めている要因だと推測されます。

(3)夜間保育所・病後児保育所
勤務がシフト制であったり夜間・深夜にも及ぶ場合、夜遅くまで子供を安心して預けられる夜間保育所は命綱となります。
また、病気の回復期で保育所等で預かってもらえなくても預かってもらえる病後児保育所は、いざという時の安心感が全く違います。
特に頼れる祖父母や親族が近所にいない場合、子供が病気に陥った場合は仕事を休まざるを得ず、長期に渡ってしまうと重大な影響が生じかねません。

(4)駅前すぐ（激戦区を除く）
激戦区以外の場合、駅前すぐにある保育所も人気があります。
通勤途中に無理なく立ち寄れるのは、限られた時間で仕事・家事・育児をこなさなければならない保護者にとって大きなメリットです。
人気を集めているのはただの駅前ではなく、「梅田・淀屋橋へ直通できる駅」なのが1つのポイントです。
駅前の保育所へ子供を預け、その足で電車に乗車して乗り換え無しで職場最寄駅へ到着できれば効率的に行動できます。

例外的は中央線コスモスクエア駅前にある「こすも保育園」です。
ポートタウン北部にある認可保育所は同園しかありません。
待機児童問題の解消の為、認定こども園として「すみのえひよこ保育園」が開設されています。
また、同駅前に小規模保育施設の開設を検討していましたが、西住之江に開設される事となり、ポートタウン北部の待機児童問題はまだまだ続く可能性が高いでしょう。

(5)その他
これらに分類されなかったのは、ゆりかご保育園（城東区）とよどっこ保育園（西淀川区）です。
数字に表れない、特色ある保育が多くの方から人気を集めているのかもしれません。

基準点が高い保育所への入所を希望するのであれば、当然ながら高い点数が求められます。
客観的な状況を考慮せずに入所申込を行っても「入所保留」という結果になるだけです。

次回以降は各区毎の状況を検討していきます。