大阪市の保育所等利用待機児童数について(令和4年4月1日現在・速報値)が公表されました。
大阪市の保育所等利用待機児童数について(令和4年4月1日現在・速報値)
大阪市では、待機児童を含む利用保留児童の解消を最重要施策として位置づけ、待機児童解消特別チームを立ち上げ、この間、従来の手法にとらわれず、あらゆる手法を駆使してその解消に取り組んできました。
これらの結果、保育所等在籍児童数は前年度より189人増加し、55,189人となり、また、令和4年4月1日現在における保育所等利用待機児童数は、ゼロとはならなかったものの、令和3年4月1日時点の14人からさらに減少し、4人となりました。(以下省略)
2022保育所等一斉入所結果分析、第1回は昨年と比較しつつ大阪市全体としての傾向を考察していきます。なお、昨年の分析記事はこちらからご覧下さい。
申込減、決定数・保留児も減少
まずは年度毎の入所申込数・決定数等を見てみます。
1.待機児童数
区分 2022 2021 2020 H31 新規入所申込数 14,052 14,582 15,690 15,093 新規入所児童数 11,628 11,907 12,390 12,318 入所決定率 82.7% 81.7% 79.0% 81.7% 入所保留児童数 2,424 2,675 3,300 2,721 保留率 17.3% 18.3% 21.0% 18.3% 転所希望 336 314 418 426 育休中 929 824 680 374 求職活動休止中等 176 199 347 422 幼稚園預かり保育 15 17 20 7 企業主導型保育 191 251 159 90 無償化対象認可外 – 0 5 一時保育利用 – 特定保育所希望等 773 1,056 1,656 1,369 待機児童数 4 14 20 28 就学前児童数 115,351 118,657 121,516 123,030 保育所等在籍児童数 55,189 55,000 54,302 52,804 在籍率 47.8% 46.4% 44.7% 42.9% 大阪市の保育所入所待機児童数について(令和4年4月1日現在)より作成(以下同じ)
大阪市における、過去4年間の保育所等入所申込数や待機児童をまとめました。
各自治体が発表する「待機児童数」は実態に即していません。保育所等への入所のしやすさは、「入所保留率(決定率)」や「在籍率」を見て下さい。
新規入所申込数は14,052人でした。昨年より500人以上も減少しています。最大の理由は少子化です。申込減はもう止まりません。
一報、入所決定率は82.7%へ上昇しました。保育所等も募集数は増えるばかりなので、当然の結果です。
入所保留児童数は昨年より若干減少し、2,424人となりました(大阪市の資料は転所申込を除外していますが、当サイトでは含んでいます)。
その内訳は大きく変わりました。昨年までは「特定保育所希望等」が最も多かったのですが、今年は「育休中」が最多でした。
申込減によって希望する特定の保育所等へ入りやすくなったのと同時に、育児休業制度が周知拡充(2年育休・父親育休)されて取得者・取得期間が拡大した為でしょう。育休延長に必要となる「入所不承諾通知」を目的とした申込者もあります。
「企業主導型保育」も大幅に減っています。保育所等へより入所しやすくなった為です。数年前に大々的に導入された制度ですが、早くも岐路に立たされようとしています。
保育所等在籍率は過去最高の47.8%に達しました。早ければ2024年度に50%へ到達します。
1歳児申込数減、その他は微減
次に年齢毎の申込数等を見てみます。
保育所等新規入所申込者数の推移(毎年4月)
0歳児 1歳児 2歳児 3~5歳児 合計 H22 2,812 4,421 2,806 3,145 13,184 H23 2,777 4,355 2,646 3,282 13,060 H24 3,026 4,630 2,650 3,265 13,571 H25 3,050 4,944 2,724 2,924 13,642 H26 3,227 5,167 2,724 3,077 14,195 H27 3,288 5,314 2,596 2,716 13,914 H28 3,514 5,596 2,659 2,592 14,361 H29 3,832 6,069 2,688 2,512 15,101 H30 3,838 6,116 2,630 2,356 14,940 H31 3,916 6,329 2,462 2,332 15,039 2020 4,196 6,584 2,486 2,424 15,690 2021 3,723 6,496 2,118 2,245 14,582 2022 3,715 6,139 2,093 2,105 14,052
申込数が急減したのは1歳児です。2021年度一斉入所における0歳児申込数が前年比大幅減となった影響を引き継いでいると感じました。2021年度の0歳児入所を見送り、そのまま1歳児入所も申し込まなかった、という流れです。
それ以外の年齢は前年比若干減に留まっています。今後は就学前児童数の減少と保育所等への入所性向が綱引きをしつつ、申込者は緩やかに減少していくものと見込まれます。
数値を細かく見ていくと、区毎に異なる動きが生じている様子が浮かび上がってきます。次回は区毎の入所申込数・入所数・保留数等を基に、各区や前年度の内容と比較していきます。