大阪府が令和7年度公立高等学校入学状況概要を公表しました。同年度の入試結果について詳細に記されています。
この資料には公立高校入試にて民間英語資格を利用した受験者数も記されています。英検2級等を有していると、公立高校入試にて一定の点数が保障されます。
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/9152/r07nyugakujokyogaiyo.pdf
文理学科に代表される進学校や英語科・国際科等で多く用いられている英語C問題は、全国屈指の難易度を誇ります。令和7年度入試で英語C問題を受験した合格者の平均得点率は65.7%でした。
英検2級を取得していると、たとえ白紙で提出しても80%が保障されます。英語C問題より英検2級を取得するのが受験対策として有効となっている、本末転倒な現象が生じています。
令和7年度入試にて英語民間資格を提出した受験生は4,209人、当日点が最低保障点数に達したのは1,185人だけでした。率は28.2%です。提出者の内85%もの受験生が英語資格に救われた令和6年度入試より上向きましたが、それでも7割以上の受験生が英語資格に救われました。
学校・学科別の数字
先に記した通り、特に英語資格提出者が多く、かつ有効なのは進学校や英語科等です。令和7年度入試にて提出率が10%を越えた学校・学科を抽出しました。
| 学校・学科名 | R7 | R6 | R5 | R4 | |
| 合格者比 | 出願者比 | ||||
| 府立 東 英語 | 27.8% | 21.7% | 9.0% | 8.9% | 6.7% |
| 府立 池田 普通 | 24.4% | 20.5% | 18.5% | 17.5% | 15.4% |
| 府立 箕面 グローバル | 46.6% | 24.6% | 19.8% | 15.1% | 12.8% |
| 府立 春日丘 普通 | 71.6% | 49.0% | 46.4% | 40.2% | 33.1% |
| 府立 三島 普通 | 13.3% | 11.1% | 11.0% | 12.0% | 9.1% |
| 府立 いちりつ 英語 | 10.5% | 10.5% | 12.5% | 1.4% | 2.4% |
| 府立 八尾 普通 | 12.6% | 12.6% | 9.9% | 10.9% | 4.6% |
| 府立 泉陽 普通 | 35.6% | 27.0% | 23.2% | 21.2% | 16.7% |
| 府立 和泉 グローバル | 19.2% | 17.0% | 14.1% | 13.3% | 5.7% |
| 府立 住吉 国際文化 | 36.4% | 27.6% | 23.8% | 27.8% | 19.0% |
| 府立 千里 総合科学 | 37.4% | 25.3% | 25.3% | 24.4% | 13.0% |
| 府立 千里 国際文化 | 61.8% | 41.6% | 47.3% | 33.5% | 33.5% |
| 府立 北野 文理学 | 123.1% | 96.8% | 95.1% | 95.4% | 94.4% |
| 府立 大手前 文理学 | 84.2% | 70.5% | 65.8% | 63.5% | 56.2% |
| 府立 高津 文理学 | 76.9% | 59.7% | 54.9% | 45.1% | 40.5% |
| 府立 天王寺 文理学 | 106.1% | 87.4% | 83.5% | 84.8% | 79.9% |
| 府立 豊中 文理学 | 103.3% | 69.1% | 69.7% | 61.6% | 59.2% |
| 府立 茨木 文理学 | 119.4% | 88.1% | 85.4% | 83.2% | 78.4% |
| 府立 四條畷 文理学 | 70.3% | 48.7% | 50.0% | 44.7% | 37.8% |
| 府立 生野 文理学 | 44.2% | 34.9% | 36.5% | 29.5% | 23.3% |
| 府立 三国丘 文理学 | 108.1% | 82.6% | 78.1% | 75.9% | 64.6% |
| 府立 岸和田 文理学 | 32.8% | 27.9% | 30.1% | 20.0% | 14.9% |
出願者に対する英語資格の提出者は年々増加しています。特に北野高校は96.8%もの受験者が英語資格を提出しています。驚く事に47人が読み替え率100%となる英検準1級等を提出しました。白紙答案でも満点が保障されます。
一方で千里高校(国際文化学科)・豊中高校・四條畷高校・生野高校・岸和田高校では提出率が前年より低下しました。
これらの高校を受験する中学3年生にとって、英検2級の取得は必ずしも容易ではありません。合格に必要な5教科学力や内申点を勘案すると、頭打ちとなっているでしょう。また、令和6年度入試に於いては1月に受験した英検の結果が高校入試に間に合ったという特異事情もありました。
合格者ベースでは北野高校・天王寺高校・豊中高校・茨木高校・三国丘高校が100%を越えました。英検2級等を取得していても、合格できなかった学生が確実に発生しました。
これらの高校を受験するには「英検2級は持っているのが当然」と言えるでしょう。我が家がお世話になっていた学習塾では、上記5校+一部の文理校に対して「英検2級を持っていなければ、受験は慎重に判断して欲しい。」と強調していました。
現行の読み替え率が維持されるのは、現在の中学2年生が受験する令和9年度入試までです。令和10年度入試からは読み替え率が引き下げられます。
中学校の指導方針は未だ明らかになっていませんが、学習塾では「現在の中学1年生に対しても、これまでと同様に英検2級の取得を強く促す。」との旨を聞きました。
たとえ勉強が出来る中学生であっても、英検2級の取得は大変です。中学3年生で毎月の様に英検を受験し、受験料が10万円近くになったとの話はチラホラと聞きます。
ただ、入試本番とは異なり、英検等は何度でも受験できます。家庭の経済力によって受験回数に差が生じてしまい、いわゆる「経済力による教育格差」を助長します。
また、英検等を取得してしまうと、英語学習に手を抜いてしまう中学生もいます。大阪府の担当者は「「英語資格取得後に学習量低下、学習を継続して欲しい。」と指摘しています。
高校入学後に英語に四苦八苦している子供の様子を見て、私自身も英語の勉強を再開したいと考えています。まずは受験生だった頃の学力を目標にします。
- 投稿タグ
- 高校入試


