(12/21追記)
新たに京都府から京都西山高校(向日市)、兵庫県から百合学院高校(尼崎市)と武庫川女子大学附属高校(西宮市)にの2校が参加します。

 21日にはこれに加えて、新たに兵庫県の私立高校「百合学院高校」と「武庫川女子大学附属高校」のあわせて2校と、京都府の「京都西山高校」が加入する意向であることが分かりました。

 兵庫県には全日制高校が合計51校ありますが、残る49校のうち29校は制度に参加しない見通しで、20校は「検討中」と回答しています。

 兵庫県の私立中学高等学校連合会は「51校のほとんどが参画しない意向を表明したことは、大阪府の制度を、歴史や風土が異なる府外の学校に一律に適用するには多くの課題があることを、各校が理解した結果」とコメントしています。

 一方、京都府からは全日制高校39校中、参加の方針は1校だけで、残りは36校が参加せず、2校のみ「検討中」としています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1b002e53fe94015a251e620cccec7a3b3a2902a4

3校はいずれも大阪府に近く、在学者の一定割合を占めていると考えられます。無償化制度に加入しなかった場合、大阪府からの受験者や進学者が大幅に減少する事態を危惧したのでしょう。

詳しい状況は令和6年度 私立高校生等就学支援推進校の指定状況についてに掲載されています。

注目すべきは未だ「検討中」の学校です。

京都府
京都光華高等学校、京都聖母学院高等学校

兵庫県
報徳学園高等学校、六甲学院高等学校
神戸山手女子高等学校、小林聖心女子学院高等学校、松蔭高等学校、園田学園高等学校
芦屋学園高等学校、市川高等学校、関西学院高等部、近畿大学附属豊岡高等学校、神戸学院大学附属高等学校、神戸星城高等学校、神戸第一高等学校、神戸野田高等学校、三田松聖高等学校、夙川高等学校、神港学園高等学校、須磨学園高等学校、東洋大学附属姫路高等学校、雲雀丘学園高等学校
AIE国際高等学校、第一学院高等学校養父校
育成調理師専門学校、大岡学園高等専修学校、神戸動植物環境専門学校、神戸理容美容専門学校、専門学校アートカレッジ神戸、姫路理容美容専門学校、平田調理専門学校

https://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shigakumushouka/mushoka_r6_suishin.html

最寄駅が京阪本線藤森駅である京都聖母学院高等学校は、枚方市や寝屋川市からの通学者が少なくないでしょう。

また、兵庫県は20校がまた検討しています。地理的に大阪府に近い高校が多く、学校法人の本部や系列校が大阪府内にある高校もあります。20校が全て不参加となるのではなく、判断が分かれる気がします。

とは言え、中学3年生は私立高校受験校を最終的に決定する時期です。こうした学校の受験や進学を検討している大阪府の中学3年生にとっては、落ち着かない年越しとなりそうです。

なお、大阪府の令和6年度高校入試希望調査において、私立学校への進学を希望する中学3年生が昨年より増加したとの報道を聞きました。詳しい人数等は把握していませんが、高校無償化拡大が中学3年生の進路に影響を及ぼしたと考えられます。

(12/12追記)
滋賀県は全校が不参加となる見通しです。授業料が年間63万円を超える学校が多いのに加え、大阪府から通学している生徒が255人と限られている為です。

 滋賀県の私学関係者によりますと、各学校の参加意向のとりまとめたところ、立命館守山高校、光泉カトリック高校、比叡山高校、近江高校、近江兄弟社高校など11校すべてが新制度には不参加の方針で、参加する学校は1校もないということです。

2022年度の大阪府教育委員会の調査によると、滋賀県で授業料が年間63万円を超える全日制高校は11校中7校で、学校側の負担が発生する学校が多く存在する一方で、大阪からの生徒数が255人と少ない状況でした。こうしたことから、滋賀県の私立高校が大阪府の新制度に参加するメリットは少なかったとみられます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f177fd3e6b433cd1e34568b0b1207ca87ec8112f

残すは京都府と兵庫県です。大阪府から通学しやすい近い地域にあり、授業料が63万円を下回っている高校は難しい判断を迫られます。特に京都女子高校(最寄は京阪本線・七条駅)と雲雀丘学園(阪急宝塚線・雲雀丘花屋敷駅)の動向が焦点です。

(12/8追記)
奈良県から2校が参加する見通しです。

 奈良県の私学関係者によりますと、大阪府の“完全無償化”制度に参加する方針を固めたのは、募集停止する1校を除き15校ある全日制の私立高校のうち、智弁学園高校と、智弁学園奈良カレッジ高等部の2校です。

一方で、東大寺学園高校、西大和学園高校、帝塚山高校、天理高校など残りの13校は、不参加の方針を示しているということです。7日のうちに私学団体から奈良県に報告し、15日には、大阪府から正式発表されるとみられます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3de02390e4b4814321bcf7a40b499b7cfbdd9bac

和歌山県にある智弁和歌山高校が大阪府制度に参加する事から、系列校で足並みを揃えました。

奈良県の私立高校の入試日程は大阪・京都・兵庫とは異なる事から、京阪神1校・奈良1校という受験が可能です。が、奈良の大多数の私立高校が大阪府制度に参加しないとなると、大阪府からの受験者・入学者が減少するのは避けられないでしょう。

また、大阪府民としても「何としても大阪府やその他無償化対象校、もしくは公立高校に進学して欲しい」という意識が強まります。受験者に対する歩留率が高くなりそうです。

(12/4追記)
和歌山県から計11校が参加すると発表されました。


https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/attach/hodo-49719_4.pdf

なお、滋賀県・京都府・奈良県・兵庫県は全てが「回答待ち(12/1時点)」です。次回は12月15日に公表予定です。

(11/28追記)
和歌山県内からの参加が広がっています。先日より更に3校が参加を表明し、計7校となりました。

 大阪府が2024年度の導入を目指す高校授業料の完全無償化制度に、和歌山県内の複数の私立高校が参加する方針であることが27日、学校側への取材で分かった。制度に参加すると、大阪府から通う生徒の授業料は無償となる。大阪府外の私学の参加方針が明らかになるのは初めて。

取材に対し、参加する意向を示したのは、初芝橋本高(橋本市)、智弁和歌山高(和歌山市)、開智高(同)、和歌山信愛高(同)、近畿大付属和歌山高(同)、近畿大付属新宮高(新宮市)、高野山高(高野町)の計7校。授業料が補助上限の63万円を超過した分は学校負担となるが、7校はいずれも下回っており、負担は生じない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d4046ab911c4d496382e8abeef2600677d1685a8

大阪府からの受験生・入学生が一定数存在するという必要性に加え、授業料が63万円を下回っているので追加負担等が生じないという許容性が大きな基準となっています。

次の焦点は奈良県です。大阪府からの受験生等が比較的多いという地域事情に加え、奈良県が独自に高校無償化制度を行います。特に大阪からの受験者が多い、西大和学園高校の動向がメルクマールとなります。

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大阪府が実施する「私立高校授業料無償化」につき、和歌山県の私立8校が参加する方向で調整しています。初芝橋本高(橋本市)・智弁学園和歌山高(和歌山市)・近畿大学付属和歌山高(同)、近畿大学付属新宮高(新宮市)です。

 大阪府が来年度からの導入に向けて準備を進める高校授業料無償化制度に、和歌山県内の私学4校が参加する方向で調整していることがわかった。府外の私学の方針が明らかになるのは初めて。いずれも年間授業料が補助上限を下回り、学校の負担は生じないという。大阪を除く近畿5府県の私学団体の反発が根強い中、他校に影響を与える可能性がある。

4校は、初芝橋本高(橋本市)と智弁学園和歌山高(和歌山市)、近畿大付属和歌山高(同)、同新宮高(新宮市)。

所得制限をなくす新制度案は、府在住の生徒の授業料が無償となる。授業料の補助上限(1人63万円)を上回る分を学校が全額負担する仕組み。制度参加校に限って適用され、学校の所在地は府内外を問わない。

大阪府民で近隣5府県の私学に通うのは約8300人(2022年度)。府は各校の意向を尋ね、年内に参加校を公表する考えだ。

和歌山県の私学には今月8日、県内全9校に意向調査書を郵送していた。

初芝橋本高は22日、制度に参加する意向をホームページで公表。生徒約420人の半数近くが府内から通う。大阪の系列高が適用される見通しで、「同じ傘下で対応が分かれると説明がつかない」とする。

参加準備を進める近大和歌山高の川合廣征校長は「制度があるのに活用できないと保護者の理解を得られにくい」と話す。

昨年度の私立高平均授業料は大阪府の62・9万円に対し、近隣5府県では和歌山県のみ53・5万円と下回った。同県の私学団体幹部は「適用校に生徒が流れる懸念があり、県内各校の参加の可能性が高い」と語る。

大阪府は24日、京都、滋賀、奈良各府県の私学側に調査書を送付。兵庫県は調整中という。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fdec11864385dce6a64e1af634c359ab46dfed2f

これら4校には一定の共通点があります。(1)大阪府からの受験者や在学生が少なくない(地理要件)、(2)学校法人の本部や系列校が大阪府内にある(法人要件)、(3)授業料が補助上限(63万円)を下回る(授業料要件)の内、(1)(3)もしくは(2)(3)を満たしています。

学校名・所在地授業料地理法人
初芝橋本
智弁学園和歌山×
近畿大学付属和歌山
近畿大学付属新宮×

少なくとも授業料要件を満たし、関連校が大阪府内にあるもしくは大阪府からの受験者等が多いという事情により、大阪府の授業料無償化に加わると判断したのでしょう。

仮に加わらなければ、大阪府からの受験者・進学者が激減するのは火を見るより明らかです。親としては「授業料が必要な大阪府外より、授業料が無償となる大阪府内の私立高校へ進学して欲しい」と強く願います。

では、こうした動きは更に広がるのでしょうか。上記3要件に照らして考えると、うっすらと見えてきます。大阪府からの受験者・進学者が一定割合を占めると考えられる高校をピックアップしました。

学校名・所在地授業料地理法人
開智(和歌山)→参加×
西大和学園(奈良)×
帝塚山(奈良)×
智辯学園(奈良)→参加×
奈良学園登美ヶ丘(奈良)××
立命館(京都)×△(一部学部は大阪にある)
洛南(京都)××
京都女子(京都)×
雲雀丘学園(兵庫)×
灘(兵庫)××

この中から幾つかの高校は大阪府私立高校無償化に参加する可能性があります。授業料要件を満たし、かつ大阪府からの受験者等が多ければ、「参加しない」という経営判断は難しいです。

大阪府で中学生を育てている世帯の目線で考えると、授業料が無償化されない私立高校を受験&進学させるには強い理由が必要となります。3年間授業料(概ね約200万円以上)を上回る理由です。

和歌山県の情報が漏れ出た以上、近日中に他府県の情報も報道されるでしょう。要注目です。