大阪府における公立高等学校入学状況概要(令和6年度)が公表されました。
公立高等学校入学状況概要について(令和6年度)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/9152/r06nyugakujokyogaiyo.pdf
上記資料で注目したのは「英語民間資格(英検等)の利用者」です。
英語資格(英検2級以上)を保有していると、大阪府立高校入試では英語の点数が8割(英検2級)~10割(英検準1級等)まで保障されます。英検準1級を取得していたら、英語の答案用紙に名前を書くだけで満点がもらえます。
昨年度(令和5年度入試)では3,999人が利用し、2,794人(約70%)が最低保障によって救済されました。学力試験によって最低保障点数を超えたのは、1,205人(約30%)でした。
令和6年度入試では4,261人が利用し、3,622人(約85%)が最低保障によって救済されました。学力試験によって最低保障点数を超えたのは、わずか639人(約15%)でした。英検の有無が合否に極めて大きく影響しました。
入学状況概要には英語民間資格の利用者が各学校毎に掲載されています。文理学科10校及び英語資格利用者が多い4校の利用状況です。①は英検準1級等(100%保障)、③は英検2級等(80%保障)です。
学校名 | 競争率 | 合格者 | 英語資格の活用状況 | ||||||
① | ② | ③ | 計 | 対志願者比 | 令和5年度 | 令和4年度 | |||
北野 | 1.28 | 320 | 40 | 0 | 348 | 388 | 95.1% | 95.4% | 94.4% |
大手前 | 1.21 | 360 | 3 | 0 | 284 | 287 | 65.8% | 63.5% | 56.2% |
高津 | 1.56 | 360 | 6 | 0 | 302 | 308 | 54.9% | 45.1% | 40.5% |
天王寺 | 1.13 | 360 | 12 | 0 | 328 | 340 | 83.5% | 84.8% | 79.9% |
豊中 | 1.57 | 360 | 4 | 0 | 389 | 393 | 69.7% | 61.6% | 59.2% |
茨木 | 1.48 | 360 | 10 | 0 | 446 | 456 | 85.4% | 83.2% | 78.4% |
四條畷 | 1.19 | 360 | 1 | 0 | 213 | 214 | 50.0% | 44.7% | 37.8% |
生野 | 1.38 | 360 | 0 | 0 | 181 | 181 | 36.5% | 29.5% | 23.3% |
三国丘 | 1.47 | 320 | 12 | 1 | 355 | 368 | 78.1% | 75.9% | 64.6% |
岸和田 | 1.23 | 320 | 3 | 0 | 116 | 119 | 30.1% | 20.0% | 14.9% |
春日丘 | 1.44 | 320 | 2 | 1 | 211 | 214 | 46.4% | 40.2% | 33.1% |
泉陽 | 1.39 | 320 | 1 | 0 | 102 | 103 | 23.2% | 21.2% | 16.7% |
住吉 | 1.33 | 155 | 3 | 0 | 67 | 70 | 16.8% | 17.9% | 14.4% |
千里 | 1.36 | 155 | 1 | 0 | 168 | 169 | 39.8% | 33.4% | 27.3% |
その他 | 651 | ||||||||
4,261 |
北野・大手前・天王寺・茨木・三国丘といった文理学科上位校は英語民間資格の利用率が頭打ちになったと考えられる一方、高津・豊中・四條畷・生野・岸和田・春日丘・千里高校は利用率が大きく上昇しました。
様々な進学塾が「文理学科等の受験では英検2級が不可欠」と指導しており、中学校でも同様の話がありました。「英検がなければ文理学科の受験は再考させる」と話す先生もいました。
令和6年度入試は英語C問題が難化しました。
令和6年度一般入学者選抜 学力検査問題及び採点資料等
https://www.pref.osaka.lg.jp/o180040/kotogakko/gakuji-g3/r06_ippan_mondai.html
令和6年度大阪府公立高等学校入学者選抜学力検査(一般入学者選抜全日制の課程)における府立高等学校合格者の学力実態調査によると、英語C問題の合格者得点率は57.0%(令和5年度は67.3%)でした。90点満点に換算するとわずか51.3点です。
平均点が大幅に低下した事により、当日の筆記試験の点数が英語資格による最低保障に到達しなかった受験生が続出しました。最低保障(英検2級で80%/72点)を超えた受験生はわずか15%でした。
最低保障に到達したのは639人のみです。殆どをトップ高+準トップ高合格者が占めていると考えられます。
英語C問題の難易度が易~標準ならば、文理学科等の受験は英検抜きでも当日点勝負に持ち込めるでしょう。が、難易度が「難」だと英検抜きでの受験は合格難易度が跳ね上がります。
現在、大阪府学校教育審議会では入試制度等の見直しを行っています。しかし、入試問題の難易度や英語民間資格による最低保障制度には触れていません。不登校や日本語教育に重きを置いた制度改正が検討されています。来週の会議では入試制度(日程等)が議論される見通しです。
英語民間資格制度は今後も続くと考えられます。中学生や家計への負担は非常に重いです。
英検2級の受験には数千円から1万円弱も掛かります。複数の先生が「受かるまで受けて下さい。SCBTを利用すれば毎月受験できます。」と公言しています。
高校卒業程度とされる英検2級を高校入試での最低保障として利用する制度は何か間違っていませんか?
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