2023年7月に和歌山県田辺市の認可外保育施設「託児所めぐみ」にて生後5か月の乳児が亡くなる事故が発生しました。

認可外保育施設「託児所めぐみ」(和歌山県田辺市)で5カ月女児死亡 保育士1人が4人預かる

事案の概要は下記の通りです(報告書本文より)。

事故の検証を行っていた「和歌山県認可外保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会」が報告書を和歌山県へ提出しました。

生後5か月の女児が認可外保育施設で死亡 検証委が報告「施設長の1人保育が常態化」行政にも「改善状況を確認しなかった可能性」
https://news.yahoo.co.jp/articles/26da835c6565004410a27d1732243b708af4359e

和歌山県ホームページ田辺市ホームページにて本報告書の原文を探したのですが、見つけられませんでした。ようやくわかやま県政ニュースで見つけられました。

【報告書概要】

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下記報告書本文には、同認可外保育施設で長年に渡って杜撰な保育が継続し、かつ権限を委譲されていた田辺市が適切な指導監督等を行っていなかった実態が記されています。

【報告書本文】

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特に気掛かりな点です。
・亡くなった乳児は初めての利用だった。
・家業を優先する非常勤保育士が休暇を取得しており、施設長1人が保育を行う体制が常態化していた。
・事故当時は4人の未就学児(6歳、3歳、1歳、5か月)を預かっていた。
・施設長は5分ごとに呼吸等をチェックしていたが、後日にまとめて記入していた。
・無くなった乳児は他の児童と遊んでいた施設長からは直接確認できない、隣室に寝かされていた。
・平成25年~27年に保育従事者の不足を指摘されていた。
・事故発生時に使用していたプレイヤードや敷布団は弾力性等があり、安全基準等を満たしていなかった。
・施設長1人で事故等に対応出来ず、たまたま迎えに来ていた別児童の保護者の手を借りた。
・令和4年度の職員配置不足日数は101日(開所234日)、令和5年4月~7月は48日(開所日数72日)だった。
・田辺市はヒアリングベースの調査を行い、出勤簿等との照合を行わなかった。

杜撰すぎる保育に唖然としました。本件事故まで何かしらのトラブル等が生じていなかったのが不思議なぐらいです。

致命的なのは保育従事者の不足です。約10年までに何度も不足を指摘されながら、事故発生に至るまで常態化した保育士不足が継続していました。認可外保育施設における事故の多くは、保育従事者が不足している状況下で発生しています。

設備面でも重大な問題がありました。硬い布団を利用する、常に目が届く場所で乳児を寝かせるのは常識です。一般的な家庭でも実践しています。「知らなかった」では通用しません。

しかしながら、こうした情報を利用者が知るのは困難です。指導監督等の結果を公表しているのは一部の自治体に限られています。指導監督等において確認すべき事項を自治体担当者が見落としていたら、打つ手がありません。

本件事故で最も重い責任があるのは認可外保育施設の施設長ですが、それと同等の責任が田辺市にもあります。同市が適切な指導等を行っていたら、本件事故は防げました。