出生数や婚姻数の減少が止まりません。人口構造に加え、コロナ禍が暗い影を落としています。

厚生労働省は25日、2021年の出生数(速報値)が84万2897人だったと発表した。20年と比較すると2万9786人(3.4%)減り、6年連続で過去最少を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、婚姻数が減り妊娠を控える動きも強まった。死亡数は大幅に増えて戦後最多だった。

21年の死亡数は20年比6万7745人増の145万2289人。出生から死亡を引いた自然増減は60万9392人減となり、初めて60万人を超えた。

出生数は21年1~2月の落ち込みが目立つ。この時期は20年春に妊娠した人が出産を迎えるタイミングにあたるが、新型コロナの感染拡大初期と重なっており妊娠控えの影響が出た。

21年後半にかけては20年並みの出生数に戻ったものの、コロナ禍前の19年の水準には戻っていない。婚姻の件数は51万4242組で、20年に比べて2万3341組(4.3%)減り、戦後最少だった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA251RA0V20C22A2000000/

詳しい内容は人口動態統計速報(令和3年12月分)に掲載されています。

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なお、速報値には日本に居住する外国人や国外に居住する日本人も含んでいます。来年夏以降に発表される確定値は日本に居住する日本人のみが対象となるので、出生数は更に約3万人ほど減少する見通しです。

20年前には分かっていた事とは言え、坂を転げ落ちるように人口が減少しています。団塊ジュニアが40代後半となり、出生数が上向く事は考えにくいです。そろそろ団塊ジュニアの子供世代が出産適齢期に差し掛かりますが、焼け石に水です。

人口動態統計速報(令和3年12月分)

コロナ禍の影響が明確に現れたのは、月ごとの出生数です。

赤線が2021年、青線が2020年の推移です。

昨年1-2月の出生数は、一昨年を大幅に下回りました。妊娠したと推測される時期は一昨年の4-5月、まさしく緊急事態宣言が発出されていた時期と重なります。眼下の生活に不安を感じた世帯が多かった事を物語っています。

当時は「外出自粛要請によって自宅に籠もり、出生数が増えるのでは無いか」という(無責任な)意見もありました。それどころでは無かったというのが結論です。

その後、出生数は月を追う毎に増加し、下半期には一昨年の出生数に追いつきました。しかし、通年では大幅な出生減となりました。

より深刻だと感じたのは婚姻数です。

2020年より2万3341組も減りました。出生数が3.4%減だったのに対し、婚姻数は4.3%減とより大きくなっています。しかも月を追う毎に婚姻数が明確に減少しています。

一つの大きな要因だと考えられるのは、コロナ禍による出会いの減少です。外出自粛・外食敬遠・マスク生活により、様々な出会いの機会が著しく減少してしまいました。アプリによる出会いが増えていると聞きますが、リアルな出会いの減少をカバーするほどではないでしょう。

結婚情報誌ゼクシィによると、結婚までの平均交際期間は3.3年間でした。

一方で、2018年に行われたゼクシィ結婚トレンド調査によると、結婚までの平均交際期間は、1年から2年未満がもっとも多く約25%。続いて、2年から3年未満が23.5%、そして3年から4年未満で約15%と続きます。つまり、付き合い始めてから結婚をするまでの平均交際期間は3.3年間となりました。

https://www.iprimo.jp/propose/chiebukuro/howto/timing/detail_1945.html

となると、2021年の婚姻数減はコロナ禍の影響が出始めたばかりとなります。2022年以降も婚姻数は大幅に減少すると考えられます。

様々な報道では目先の出生数の減少ばかりが指摘されます。が、未婚者・未婚率が想定を上回る上昇する事により、今後の出生数は想定を更に下回ります。2022年には80万人を割るでしょう。