広島市南区に住む3歳男児が母親と祖父から粘着テープで全身をぐるぐる巻きにされて段ボール箱に監禁された等、虐待を受けていました。男児は意識不明の重体です。

 3歳の長男の口や両手足に粘着テープを巻き付けて段ボール箱に入れたとして、母親と祖父が逮捕された事件で、母親が「言うことを聞かなかったのでやった」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。

 広島県警が暴行容疑で逮捕したのは、同居の母親の熊谷瞳容疑者(26)と祖父の和弘容疑者(52)=広島市南区宇品海岸3丁目。2人は昨年9月5日午前3時半ごろ、自宅で男児の両腕と両足、口に粘着テープを巻き付け、段ボール箱に入れた疑いがある。

 捜査関係者によると、この様子を映した画像が、瞳容疑者のスマホから祖父に送信されていたという。

 男児はきょうだい2人を含む5人暮らし。母子4人は昨年夏、市外から祖父宅に転居してきた。瞳容疑者は「男児は手がかかる子で、食事を食べさせても食べないことがあった」との趣旨の供述もしているという。

 男児は今月20日、意識もうろうの状態で2人に病院に運ばれ、直後に意識不明の重体となった。(以下略)

https://digital.asahi.com/articles/AST1Q4H4DT1QOXIE01GM.html

言うことを聞かない子供への制裁として、粘着テープや紐等で全身をぐるぐる巻きにする行為が稀に行われています。しかし、こうした行為は虐待であるばかりでなく、死亡事例が頻発している極めて危険な行為です。

当ウェブサイトで「ぐるぐる」と検索したところ、複数の死亡事件が確認できました。

2歳のわが子ぐるぐる巻き 「泣くので」31歳母親を逮捕
https://yodokikaku.net/?p=35523

娘を虐待死 母・内縁の夫を逮捕 岡山市(時系列まとめ)
https://yodokikaku.net/?p=49679

認可外保育施設「トイズ」(栃木県宇都宮市)で日常的に紐で縛る等の虐待が行われていた疑い
https://yodokikaku.net/?p=5952

子供に対する「躾」は徐々にエスカレートしがちです。初めは丁寧な口調で諭していても、徐々に口調が厳しくなり、激しく怒鳴りつけ、ほっぺたをつねり、手が出て、物で叩き、足が出て、食事を抜いて、屋外に放り出し、部屋に監禁し、動けないようにテープで固定する等、反抗する子供の態度に応じてより強い措置を行ってしまう傾向は否めません。

こうした順序に照らすと粘着テープで全身を縛り、段ボール箱に監禁するのは最終段階です。それまでに長年に渡って虐待等が行われ続けていたと考えるのが自然です。ぐるぐる巻きにしたのも一度や二度ではないでしょう。

とある近隣住民は、一家の異変に気付いていました。

2人と同じマンションに住む住民に話を聞くと…。

【2人を知る人は(再現)】
「熊谷さんは5人家族で長男のほかに2人の子どもがいたが、いつも長男を除く4人で出かけていた」
「男の子が一人で寂しそうに泣く声を聞いたことがある」

https://news.yahoo.co.jp/articles/54324f3531b2af171c169e7fa51b5e83867c7486

しかしながら、児童相談所や子育て支援を管轄している広島市は気付いていませんでした。

 市こども青少年支援部によると、市は乳幼児健診を生後4カ月、1歳半、3歳の3回実施しており、男児については3歳児健診の通知を送ったが未受診という。過去の健診については「個人情報のため、市内に住んでいたかどうかを含めて答えられない」とした。また、南区役所地域支えあい課は「男児が危険な状態だという兆候は把握していなかった」としている。

https://digital.asahi.com/articles/AST1Q4H4DT1QOXIE01GM.html

広島市へ転居したのは昨年夏だったので、広島市が生後4か月健診や1歳半健診に関する情報を有していないのはやむを得ません。しかし、3歳児健診の通知を送ったが未受診だったとの情報は有していました。

仮に健診を受けていたら、男児の異変に即座に気付けました。驚くことに、3歳児の体重は約10キロしかありませんでした。1歳児並みの平均体重です。

広島県警などによると、2人が意識もうろうとなった男児を連れて南区の医療機関を受診したのは20日。男児は10キロ程度と平均体重に満たず、不審に思った医療機関が市児童相談所(東区)に虐待の疑いがあると連絡した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3d91924c41c9abef06788b73241d7afddc1a0acb

3歳0か月男児の平均体重は13.7kgです。個人差があったとしても、平均体重の約70%しかないのは誰が見ても異常です。子育て等に詳しくない人が見ても、「同じ様な背丈の子供と比べて余りに痩せている」と感じられる水準です。専門家たる保健師が見たら、即座に病気や虐待等を疑ったでしょう。

健診を欠席したとしても保育所等を利用していたら、毎月の体重測定等にて保育士等が気付きます。給食をしっかり食べさせるので、生死を彷徨う様な体重減少は避けられたかもしれません。

「健診未受診」は虐待を窺わせる兆候の一つです。ここでもっと踏み込んだ対応ができなかったのかと、今後は問われるでしょう。

男の子は今月20日に意識朦朧の状態となりました。母親や祖父に病院へ搬送されましたが、意識不明の重体に陥っています。極度の栄養失調か虐待によるものかは、現段階では特定できていません。しかしながら、祖父や母親が男の子を死の淵へ追いやったのは疑いありません。