亡くなった池田詩梨(ことり)ちゃん(母親のツイッターより)

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(9/27追記)
母親の交際相手だった藤原一弥被告は懲役13年が確定しました。

 札幌市で2019年、池田詩梨ちゃん=当時(2)=が衰弱死した事件で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は25日までに、保護責任者遺棄致死と傷害の罪に問われた母親の当時の交際相手、藤原一弥被告(26)側の上告を棄却する決定をした。

 22日付。懲役13年とした一、二審判決が確定する。(以下省略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/30ef131b75cc08b9f54c6b3d40270059157373c5

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(8/4追記)
懲役9年が確定しました。

 札幌市で2019年、池田詩梨ちゃん=当時(2)=が衰弱死した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の莉菜被告(23)について、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は4日までに、被告側の上告を棄却する決定をした。

2日付。懲役9年とした一、二審判決が確定する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7bfd73003db9a62fe407031adae2c46d1bb0435f

こうした事件を無くすには、虐待リスクが高い家庭をスクリーニングする仕組みが不可欠です。保護者を一方的に非難するだけで終わる話ではありません。

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(4/26追記)
母親及び交際相手の控訴は棄却されました。

 札幌市で2019年6月、池田詩梨(ことり)ちゃん(当時2)が衰弱死したとされる事件で、保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親の莉菜被告(22)の控訴審判決が26日、札幌高裁であった。金子武志裁判長は懲役9年とした一審・札幌地裁の裁判員裁判の判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。(中略)

この日は、保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、一審・札幌地裁の裁判員裁判で懲役13年の判決を受けた藤原被告の控訴審判決も札幌高裁であり、金子裁判長は被告側の控訴を棄却した。

https://digital.asahi.com/articles/ASP4V4W7KP4VIIPE00Q.html

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2歳の娘を衰弱死させた母親に対し、札幌地裁は懲役9年の実刑判決を言い渡しました。

【札幌2歳児虐待死】池田莉菜被告へ懲役14年を求刑

2歳詩梨ちゃん衰弱死裁判…懲役9年実刑判決の22歳母親が「控訴」 一審で無罪主張認められず不服か

北海道札幌市で2歳の女の子に十分な食事を与えず死亡させた保護責任者遺棄致死の罪で懲役9年の判決を受けた母親が、判決を不服として札幌高裁に控訴しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/13f13f1bb5b8701926fd2bf3f82cc5f8f8a21342

2歳児衰弱死 母親に懲役9年

去年、札幌市で2歳だった池田詩梨ちゃんが衰弱して死亡した事件で、十分な食事を与えず死亡させた罪に問われ無罪を主張していた母親に、札幌地方裁判所は「食事の世話など親としての責任を果たさず誠に悪質だ」などとして懲役9年を言い渡しました。

札幌市中央区の無職、池田莉菜被告(22)は去年、娘の詩梨ちゃん(当時2歳)に十分な食事を与えず衰弱した状態で放置して死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われました。
これまでの裁判員裁判で、検察が懲役14年を求刑したのに対し、被告は「娘が衰弱していた事実はない」として一貫して無罪を主張していました。
20日の判決で札幌地裁の石田寿一裁判長は「詩梨ちゃんは保育園に預けられなくなった去年4月下旬から亡くなるまでの6週間で体重が1.5キロ減少した。低栄養状態のため多臓器不全に陥った」として、死因は衰弱死だったと認定しました。

その上で「被告は育児支援を受けられる機会があったのに、交際相手との遊興を優先し、あまりに無責任だ。食事の世話などの親としての責任を果たさず誠に悪質で、結果も重大だ」として、莉菜被告に懲役9年を言い渡しました。

この事件では交際相手だった藤原一弥被告(26)も詩梨ちゃんに暴行を加えたうえ衰弱させて死亡させたとして、1審で懲役13年を言い渡されています。
言い渡しの後、被告の弁護士は「全く納得できない判決だ」と述べて、控訴を検討していることを明らかにしました。

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20201120/7000027058.html

主な争点はことりちゃんの死因でした。母親や交際相手の藤原被告が適切な食事等を食べさせなかった事による衰弱死か、それとも食べ物を吐いて喉に詰まらせた窒息死だったのでしょうか。

判決では衰弱死と認定しました。

 主な争点は詩梨ちゃんの死因だった。検察側は遺体を解剖した医師の見解に基づき、「低栄養による衰弱死」を主張。一方、莉菜被告は「娘は死亡直前も自分で歩き、食事をしていた」と無罪を訴え、弁護側は別の医師2人の見解をもとに「吐いた食べ物をのどに詰まらせたことによる窒息死」と主張した。

判決は、死亡後の体温変化などから、詩梨ちゃんが低体温症を発症していたとする解剖医の見解を「十分信用できる」と判断し、衰弱死の重要な手がかりと位置づけた。死亡までの約2~3週間で急激に痩せたとする指摘は採用しなかったが、体重約8・2キロだった詩梨ちゃんが4月下旬から約6週間でその約18%が失われるほどの低栄養状態だったと指摘。「明らかに特異で、継続的な低栄養状態が相当強い負荷をかけた」とし、衰弱死を認定した。

https://digital.asahi.com/articles/ASNCN6VJ0NCMIIPE01D.html

2歳7カ月時点で体重が6kgしかなかったのが驚きしかありません。うちの子の生後3カ月頃の体重です。

通常通りかやや軽い体重から急激に痩せたのではなく、以前からずっと栄養不足による低体重が続いていたと考えるのが自然です。

本事件では保育施設からの退園、シングルマザー、実家からの援助が受けられない、交際相手の男との半同棲、夜の街での深夜労働という、ハイリスクな要素が重なっていました。

毎日の仕事や交際が楽しく、徐々に子供の存在が煩わしくなっていったのではないかと想像できます。

もしも私がこうした立場に立たされたとしたら、どうすれば育児と生活を両立させられるかが皆目見当が付かなかったと思います。

追い詰められてしまうと、行政に相談する事すらままならなくなってしまいます。自分から役所へ足を伸ばすには相当の勇気が必要です。

行政はシングルマザー(ひとり親)で子育てしている家庭や、保育所等を利用している家庭は把握できている筈です。

であれば、少なくともシングルマザーで保育所等を利用していない家庭は容易に抽出できます。

生活が行き詰まりやすく、そして保育所等の保育士の目が届かない家庭です。

こうした家庭には十分なマンパワーを割き、定期的な連絡等を行えていたら、こうした悲劇は防げたでしょう。

育児は分からない事だらけです。特に誰にも相談できないシングルマザーでしたら、物事が悪い方向に向かっても誰も止めてくれません。

母親の行動につき、判決は「無責任」だと批難しています。

 さらに、詩梨ちゃんを1人で部屋に残して藤原被告と長時間外出していたと指摘し、「機会があったのに育児支援を受けようとせず、藤原被告との遊興や関係維持を優先させ、あまりに無責任だ」と批判した。

https://digital.asahi.com/articles/ASNCN75TMNCNUTIL011.html

育児支援を受ける機会があったとしても、その機会を活かすには非常に高いハードルがある場合もあります。また、どうにか相談しても、必要な支援を受けられるとは限りません。

私自身も追い詰められた当時に思い切って区役所へ相談に行ったのですが、話を少し聞いただけで追い返されてしまって茫然自失となった事がありました。

この点、日常的に行政との接点があれば、育児支援等へ繋げられる機会も増えそうです。一部の自治体で導入が進んでいる、いわゆる「ネウボラ」が一例ですね。

妊娠、出産や子育てに関して、誰に相談していいのかわからない、どこに相談していいのかわからないという声もある中、その方に必要な支援につながるように、自分の住んでいる地区を担当している保健師がいることを周知し、地区担当保健師との顔の見える関係づくりと家族ぐるみの支援を継続的に実施する取組みを推進し、すべての子育て家族にとって安心して気軽に相談できる場を目指して「大阪市版ネウボラ(注)」を実施している。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000484682.html

子育てを始めた当初は本当に孤独でした。保育所に通い始め、保育士や他の保護者とコミュニケーションが取れ、少しずつ気が楽になった覚えがあります。

「酷い母親だ」と批判するのは簡単です。しかし、こうした家庭があるのは実情です。そして、子供は親を選べません。