ふと大阪市報道発表資料(2025年1月)を眺めていたところ、「○○区役所における児童手当の支給決定誤りについて」という標題が頻発しているのに気付きました。

住之江区役所における児童手当の支給決定誤りについて(1月9日)
港区役所における児童手当の支給決定誤りについて(1月14日)
都島区役所における児童手当の支給決定誤りについて(1月14日)
浪速区役所における児童手当の支給決定誤りについて(1月16日)
中央区役所における児童手当の支給決定誤りについて(1月21日)

内容はほぼ同一です。令和6年10月分や11月分児童手当が支給されていませんでした。金額はいずれも1月につき1万円(2か月分だと2万円)です。

1 概要
 令和7年1月9日(木曜日)から10日(金曜日)にかけて、港区役所保健福祉課(福祉)の担当職員が総合福祉システム(以下「システム」という。)で、児童手当の令和6年10月以降の認定請求分を確認していたところ、ある区民(以下「A氏」という。)からの認定請求分について令和6年10月分から支給すべきところ、11月分からの支給となっていることが判明しました。このため、本来12月5日(木曜日)に支給する10月分の児童手当が未支給となっていました。

2 影響額
10,000円(令和6年10月分支給額)(中略)

4 原因
 今回、令和6年10月からの児童手当制度改正に伴う処理では支給開始月を10月に遡るべきところ、システム入力時に請求事由において「制度改正」を選択していなかったため、申請月の翌月である11月を支給開始月として支給決定をしていました。

港区役所における児童手当の支給決定誤りについて

令和6年10月は児童手当制度が大幅に拡充された月です。所得制限の撤廃、第3子以降の支給額の増加、高校生への支給拡大等が実施されました。先に紹介した原因にも「制度改正」とある事から、児童手当制度の改正に伴う事務処理ミスが原因だったと考えられます。

児童手当制度の拡充について(大阪市)によると、制度改正に伴って新たに月額1万円の児童手当が支給されたのは「所得制限の適用を受けていた第1子・第2子や中学生」「高校生」です。

この内、新たな請求手続(認定請求)が必要なのは「所得制限の適用によって児童手当が不支給だった」「高校生以上の子供しかいない」というケースです。すなわち、制度改正までは児童手当が支給されていなかった世帯です。

こうした世帯は認定請求を行う必要があります。ここに落とし穴がありました。

児童手当が支給されるのは申請した月の翌月分となっています(出生日や転出予定日(異動日)等が月末に近い場合は、異動日の翌日から15日以内の申請であれば申請月から支給する)。

制度改正による認定請求をそのまま当てはめると、10月に申請しても11月分から支給されるものとなります。

しかし、本制度改正によって認定請求が必要な場合は、令和7年3月31日までに申請する事によって令和6年10月分から遡及して支給されます。

「2.制度改正後に児童手当を受給するために新たに申請が必要な方に該当する方」については、児童手当の申請を令和7年3月31日までにしていただいた場合には、令和6年10月分から児童手当が支給されます。

https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/mottoouen

令和6年10月分からの遡及適用を受けるには、システム入力時に「制度改正」という請求事由を選択する必要があります。しかしながら、一部の区役所や担当者は「制度改正」という選択項目を見落としてしまい、児童手当が支給されるのが認定請求翌月分からとなってしまいました。

大阪市の報道発表の時系列を見る限り、住之江区役所でのミスが発覚した後の13日頃に各区役所へ再確認を促す指示が通知されたものだと考えられます。それでも担当者が見落としたり、他の事由等で児童手当が(一部)不支給となっている方がいるかもしれません。

ここでは大阪市の事例を取り上げましたが、他の自治体でも同様のミスが発生している筈です。令和6年10月分から児童手当の支給額が変わると見込まれている方は、想定した通りの支給額が振り込まれているかを改めて確認して下さい。