大阪では来春の高校入試に向けた模擬試験や進路指導が佳境を迎えています。
学力面では11月に実施される校内実力テストで受験(事前相談)する私立高校が、そして多くの中学3年生が受験するく五ッ木模試(特に11月実施分)と馬渕教室公開テスト(9-1月実施分)で公立高校がおおよそ絞り込まれ、多くは12月に行われる進路懇談にて受験校が決定するのが一般的な流れです。
ここ数ヶ月の間に痛感させられたのは、「中学校の先生や中学生は意外な程に各高校の合格に必要な学力水準や所在地を知らない」という現象でした。一定程度の相場観を有している人からすると、無茶苦茶な話や選択をするのです。本人の学力と比べて懸け離れている高校を持ち出したり、遠くて通うのが難しい高校を持ち出したりと。
ただ、同情せざるを得ない理由もあります。大阪府は2014年度から高校の学区を撤廃し、どの場所にある府立高校も自由に受けられる様になりました。また、それ以前から府内全域や近隣他府県にある私立高校も自由に受験できます。学校名の変更やコースの新設等により、様々な新しい「学びの場」も生まれています。
こうした制度変更等によって受験候補となる高校が爆発的に増加しており、中学校の指導が追いついていないのが実情でしょう。保護者としては「勉強不足」と言いたいぐらいです。
ここで求められるのは家庭での下調べや相場観の設定です。まずは手元に各中学校で実施されている定期テストの結果をご準備下さい。5教科合計点から大まかな校内順位とパーセンテージを算出して下さい。正確な校内順位を記していない学校が多いと思いますが、点数帯毎の人数から推測できます。
校内順位を同一学年の生徒数で割って100を掛ければ、最上位から何%の位置であるかが分かります。この数字から校内偏差値を逆算出来ます。本来は平均点や分散等が必要ですが、概算として進めます。各中学校毎の学力差(実は非常に大きい)は無視します。
偏差値 | 最上位からの割合 | 100人中の順位 |
70 | 0.6% | 3位 |
65 | 6.7% | 7位 |
60 | 15.9% | 16位 |
55 | 30.9% | 31位 |
50 | 50% | 50位 |
45 | 69.2% | 69位 |
40 | 84.1% | 84位 |
35 | 93.3% | 93位 |
校内偏差値(概算)を五ツ木模試が模試受験者を追跡調査した結果である「進学先調査のまとめ」に掲載されている、「出願高校の合否と模擬テスト成績」と照らし合わせます。
「出願高校の合否と模擬テスト成績」には、過去に五ツ木模試を受験した中学生の成績(偏差値)と受験校別合否が記されています。具体的には男子・女子別の合格者平均偏差値(S.S.)と不合格者平均偏差値があります。
たとえば旧第2学区のトップ校である大手前高校の合格者平均偏差値(男子)は67とされています。先の表に照らすと、65と70の間、100人中の順位に戻すと「5位ぐらい」と読み取れます。中学3年生の生徒数が200人の学校の場合、校内順位が10位というのが一つの目安となります。
同じく旧第2学区にある旭高校の格者平均偏差値(女子)は50です。校内順位で上から半分にいるのが目安となります。
私立高校(専願受験)も同様に考えられます。ただ、私立高校への出願や合否については、模試の成績より校内実力テストの結果が強く考慮されるそうです。
本命が公立高校であれば、併願する私立高校も考えなければなりません。学力水準や地理的状況から、大阪では受験する公立高校毎の併願先私立高校に一定の傾向があります。これを明記しているのが「公立出願(受験者)の併願先状況(併願率)」です。
たとえば大手前高校文理学科を受験する中学生の場合、明星・四天王寺・大阪国際・桃山学院・帝塚山・京都女子高校の併願が専らです。女子は合計併願率が100%を越えているので、京阪神私立高校とは別日程で入試が実施される奈良私立高校(ここでは帝塚山高校)を受験する女子生徒が少なくないと考えられます。
同じく旭高校では大阪国際・大阪産業大学付属・常翔学園が記されています。併願率を合計した数字が小さいので、併願先は多くの私立高校に跨がっていると考えられます。
「学力よりも自分に合った高校を」とよく言われます。しかし、学力も重要な要素です。懸け離れた学校へ進学すると、落ちこぼれても浮き上がっても苦しみます。
大阪府内には非常に多くの高校がありますが、学力と所在地で一定程度に絞り込まれます。その中から学校説明会やオープンスクール等に参加したり、様々な模擬試験による判定等により、最終的な本命校を決定するのが合理的です。