令和7年度(2025年度)大阪府立高校入試の募集数が発表されました。私立高校授業料実質無償化によって受験者数が激減した影響を考慮したのか、募集数は前年から1,530人も減少します。「急減」です。

府教委は11日、2025年度の公立高校募集人員を発表した。全日制と多部制単位制Ⅰ・Ⅱ部などを合わせた「昼間の高校」の募集人員は3万6525人(前年同期比1530人減)。府内の公立中学の卒業予定者数(推計)は6万5710人(前年同期比1130人減)だった。(以下省略)

https://mainichi.jp/articles/20241112/ddl/k27/100/287000c

各校毎の数字は令和7年度公立高等学校入学者選抜に掲載されています。

令和6年度入試と比べて大きく減少しているのは普通科(843人減)や工業に関する学科(490人減)です。後者は工業系高校の再編によるものです。

募集数を削減する普通科高校(及び総合科学科)は下記の通りです。減少数・減少学級数・令和6年度入試の最終志願倍率を記載しています。

高校名募集減学級減R6倍率
東淀川-40-11.06
桜宮-40-10.8
汎愛-40-10.96
豊島-40-11.09
吹田東-40-11.09
高槻北-40-10.94
摂津-40-10.95
いちりつ-40-10.95
野崎-40-10.59
花園-40-11.05
八尾翠翔-40-10.75
懐風館-40-10.63
登美丘-40-10.96
金岡-40-11
福泉-80-20.6
高石-40-11.02
久米田-40-11.06
佐野-40-11.05
-40-10.97
泉北(総合科学)-40-11.01

令和6年度の最終志願倍率が1.1倍未満だった高校を対象とし、周辺他校や地域の児童・生徒数の状況を考慮の上、多くの普通科高校の定員を減らす事にしたと考えられます。

これらの高校を来春に受験する予定だった中学3年生にとっては寝耳に水だったかもしれません。「今春は倍率1倍でほぼ全入、受験勉強はしなくても大丈夫。」と高をくくっている受験生もいるでしょう。学校や塾の先生からは「油断するな」という指摘があった筈です。

奇しくも先日の日曜日には、大阪府内で最も多くの中学3年生が受験する第6回五ツ木模試が行われたばかりです(馬渕教室の通塾生が強制受験する)。上記各校や周辺他校の合否判定にも何らかの影響が生じる可能性があります。

高校受験に関して他の保護者や学校の先生等と話す機会がままあるのですが、直近の情報を把握出来ていない方が意外に多いのが驚きでした。

「私立高校実質無償なら制服代も修学旅行代も掛からないよね?(私費負担です)」「文理学科は各高校2クラスぐらいしか無いんだよね?(全クラスが文理学科になった)」「府立高校の合格発表は現地へ観に行く必要があるよね(オンライン発表へ移行する)」「A高校って初めて聞いた(B高校が校名変更した)」「C高校はガラが悪くて怖い(コース変更等で雰囲気が一新した)」「D高校はどうだろう(統合再編されE高校になった)」「今から英検を取らせる(もう間に合わないと思います)」など、これらは実際にあった話です。

学校の先生すら十分に理解できていない情報が多く、学校からの情報提供は頼りになりません(遅すぎる)。これを待っていたら受験では致命的です。大阪の中学生の通塾率が異様に高いのにも納得しました。

(追記)
より詳細な資料が令和6年11月大阪府教育委員会会議(傍聴用ページ)に掲載されています。


(学校・学科別募集人員増減)

同時に大正白稜高校・福泉高校の募集停止、及び春日丘高校・狭山高校の学科改編も決議されました。

10年前には大正区内に3校あった高校が全廃されます。地域から不満等が噴出するのも無理はありません。大正区の4中学校へ通う中学生は計1,278人(2023年5月時点)です。高校1校を上回る中学生が区内に居住しています。大正区外の高校へ通う生徒が多いのに加え、区外から通学する生徒が少ないものと考えられます。

地理的条件にもハンディがあります。鉄道駅はJR大正駅のみであり、公共交通機関で通学しにくい地域性です。区は木津川や大阪湾に囲まれており、近隣他区から自転車で登校するのも容易ではありません。

ただ、こうした地域にこそ、地域に根ざし、区外の高校等へ通いにくい生徒の為の高校が必要とも言えます。志願者が集まりにくいのは高校の努力不足等ではなく、努力では如何ともしがたい為です。