2025年度保育所等一斉入所申込状況分析、第10回は東淀川区です。

※10月28日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。



昨年と比較して、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、入所倍率が2倍を超えた箇所は赤、保育士等優先枠の申込は緑で表示しています。

市内最悪水準の入所難、保育所等が少なすぎる

東淀川区の申込数は前年より97人増の1,003人、募集数は69人減の789人となりました。入所倍率1.27倍は東住吉区について市内ワースト2位です(阿倍野区と同値)。更に入所倍率の増加率(1.06倍→1.27倍)は市内ワーストです。つまり、前年比で最も入所しにくくなったのが東淀川区と言えます。

理由は単純です。申込数の大幅増(市内2位)に加え、少なくない保育所等が募集数を減らした為です。特に1-3歳児にて募集数を若干減らした保育所等が散見されます。

同区は保育所等が明らかに足りていません。絶対的に不足しています。全ての年齢で入所倍率が高く、特に阪急上新庄・下新庄・淡路駅周辺は悲惨な状況です。

象徴的なのが0歳児です。0歳児入所倍率1.03倍は市内ワーストです。1倍を超えたのは東淀川区のみです。

1歳児入所倍率1.45倍も低い数字ではありません。申込数と募集数の差、すなわち少なくとも1歳児140人が入所保留となる見通しです。

より深刻なのが2歳児です。募集数67人に対して申込数は167人もあります。単純に計算すると、2歳児100人が入所保留となる見通しです。2歳児入所倍率2.49倍は圧倒的な市内ワーストです。これほど多くの2歳児募集数が不足している区は他にありません。

若干不思議なのが3歳児です。前年の2歳児保留数+地域型保育事業の卒園児を下回る程度の申込数しかありません。想定される3歳児申込数を下回っています。申込み以前の段階で3歳児入所を諦めている家庭が少なくないのかもしれません。

今となっては大昔とも言える平成28年度(2016年度)・平成31年度(2019年度)一斉入所に合わせて多くの保育所等が新設されましたが、それ以降は完全に停滞しています。コロナ禍の最中は申込数が横ばいでしたが、2024年以降は急増しています。

今後は新大阪駅や淡路駅周辺で大規模な再開発が予定されています。少子化が進んだとしても、保育所等が著しく不足している状態は続くでしょう。少なくとも2026年一斉入所は確実に酷くなります。

ことり保育園のマンション居住者優先入所に申込殺到

より細かく見ていきたいのですが、入所倍率2倍を超える赤部分が多すぎます。

全年齢を通じた入所倍率が3倍を超えたのは、菅原保育園(3.8倍)・風の子保育園(3.55倍)・小松保育園(3.55倍)・ことり保育園(地域型保育、4倍)の4保育所等でした。いずれも阪急上新庄駅・淡路駅・下新庄駅の周辺に位置しています。この地域に子育て世帯が多く、保育所等の不足感が著しい場所と言えます。

気をつけて欲しいことり保育園(地域型保育)です。同園はマンション内(ローレルスクエアOSAKA LINK)に設置されており、居住者が優先的に利用調整を受けられる施設となっています。

大規模マンションにお住まいの方のマンション内保育施設の優先利用について
https://www.city.osaka.lg.jp/chuo/cmsfiles/contents/0000304/304732/annai.pdf

同園を運営しているのは社会福祉法人和修会です。同法人は至近距離にある大阪市立下新庄保育所の運営も受託しています。そして、下新庄保育所はことり保育園の連携施設となっており、「3歳児受入支援」も行っています。

つまり、ことり保育園の卒園児は、優先的に下新庄保育所へ入所できる制度となっています。ことり保育園へのマンション居住者優先入所→下新庄保育所への優先入所という、子育て世帯にとっては羨ましすぎる仕組みです。

ただ、美味しい話ばかりではありません。ことり保育園の総募集数7人に対し、26人が優先利用を申し込んでいます。限られた募集数にマンション居住者が殺到しています。

https://www.city.osaka.lg.jp/higashiyodogawa/cmsfiles/contents/0000607/607280/R7syuukei.pdf

入所倍率4倍ともなると、優先入所制度が「絵に描いた餅」となっています。393戸に対して、ことり保育園の定員が少なすぎたと言えます。

上記した通り、周辺の他保育所等も多くの申込みがあります。ことり保育園から周辺他園に第1希望を変更する家庭もあるでしょう。急激な子育て世帯の増加が、この地域の保育所等の著しい不足を招いています。

この地域を起点として保育所等の不足が放射状に区内全体へ広がっています。比較的余裕があるのが新大阪駅に近い区西部、もしくは摂津市等に近い区東部です。しかし、下新庄駅周辺から毎日送迎するのは難儀する距離です。

繰り返しとなりますが、区全体の保育所等不足が極めて深刻です。コメントの付けようがありません。

(追記)
以前に「東淀川区で保育所等へ入れない」という声を紹介しました。

【大阪市民の声】「東淀川区で保育所等へ入れない」

数字の上で裏付けられるどころか、想像を遙かに上回る深刻な状況が生じています。

今後の予定&運営支援のお願い

今年も各区毎の申込状況等を分析し、様々な情報等を掲載する予定です。次回は鶴見区を予定しています。リクエストを頂きました。

「○○区の情報を早く知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。現在も体調不良が続いています。お時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい。

同時に、皆様に運営支援へのご協力をお願いしています。

必要な育児・生活・事務用品等がありましたら、ウェブサイト上に設置しているAmazonリンク楽天リンクらご購入頂けると幸いです(特にAmazonギフト券を購入し、皆様ご自身で利用して頂けると嬉しいです)。