8月15日早朝に大阪市や周辺地域で大規模な停電が発生しました。原因は地中送電線の不具合でした。

 大阪市と大阪府守口市で15日午前4時頃、大規模な停電が発生した。最大約24万4600軒に上り、午前7時45分頃に復旧したが、京阪電鉄やJRで運休するなどの影響が出た。

 停電が起きたのは、大阪市北区や中央区、城東区などの9区と守口市の一部。関西電力送配電は、大阪市内に埋設している地中送電線に不具合が発生したのが原因と推定した上で、その経緯をさらに調査している。同社は「多くの皆様にご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」とコメントした。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240815-OYT1T50184/

お盆休み明けの保育園では「停電すごかったね」「大丈夫でしたか?」という話が繰り返されました。

停電した家庭もあれば、辛くも免れた家庭や帰省中で実害がなかった家庭もありました。寝苦しい暑さに起こされて停電に気付いた方もいれば、停電から復旧した後にゆっくりと起きた方もいました。

停電したのは長くても4時間弱でした。健康被害や冷凍庫の中身が溶け出す等の実害が生じたという話は聞きませんでした(コンビニ等では牛乳やその他冷蔵品を処分したと聞きました)。

大きな被害等が生じなかったのは、停電したのがたまたま「お盆の早朝」だったのが一因です。「停電したのがお盆の早朝でなく、通常時の日中だったら大変だった。保育園はどうなっていたんだろう。」と口を揃えていました。

もしも真夏の日中に停電したら、保育園はどうなるのでしょうか。簡単にシミュレートしてみました。

最も大きな影響が生じるのは「冷房」でしょう。最高気温が35度を超える夏場は、全ての保育室でエアコンを使っています。「登園した職員は全ての部屋のエアコンを入れる」という決まりがあるぐらいです。

エアコンが使えない保育室は室温がみるみる急上昇します。保育室は多くの園児が活発に活動しています。1時間も経たない内に保育室で過ごすのが難しい程に熱気が立ちこめてしまうでしょう。扇風機を回しても熱い空気がかき混ぜられるだけです。

IT機器や通信機器も使えなくなります。外部との電話・出欠用タブレット・保護者へのお知らせメールも送信できなくなります。辛うじて使えるのは携帯基地局を通じて通信ができるスマートフォン程度です(停電後も一定時間は携帯基地局は生きている)。保護者等へ連絡する命綱となります。

昼食の提供にも支障が生じます。ガスを利用して調理している保育所等が多いと思いますが、停電によって冷蔵庫や冷凍庫が冷えなくなります。締め切ったままならば冷気は逃げませんが、開け閉めすると途端に温度が上昇します。昼食の提供を諦めるか、食材全滅を覚悟して提供するかの判断となりかねません。

保護者へのお迎え要請も難しいです。そもそも停電によって多くの公共交通機関の運行停止を余儀なくされます。迎えに行きたくても移動できません。お迎えに行って帰宅しても、自宅は蒸し風呂状態です。保育所より厳しい状況に置かれます。

過去に大阪府内で大規模な停電が生じた事例とし、関空沖でタンカーが橋脚に激突した2018年台風21号を思い出しました。

【平成30年台風21号】続く停電・途絶える物流・イベント中止、関西への影響甚大

6年前は2024年ほどの猛暑では無く、暑さのピークを超した9月でした。台風が確実に大阪を直撃するので、当日は朝から保育所や学校等は臨時休業していました。事前に防災グッズ等を買い求めるだけの余裕もありました。こうした事情が相まって、何とか停電を乗り切れました。

しかし、何の前触れも無くして夏場に停電してしまうと、途端に行き詰まってしまいます。特に保育園は無防備です。

同じ社会福祉施設として、たとえば一部の介護施設は自家発電装置を設置しています。聞くところによれば、備蓄している重油等で3日程度は電力を供給できるそうです。

しかし、同様の設備を保育園が準備するのは難しいでしょう。体力がない老人が24時間滞在する施設と、元気な子供が日中だけ過ごす保育園とは違います。

我が家がお世話になっている保育園でも、唐突に停電した場合の対応マニュアル等はないと思います。発電装置等もありません。万事お手上げです。せめて大型のポータブル電源があれば、一定時間は扇風機や通信機器を動かせられるのですが。