児童相談所に2度に渡って保護されながら、母親と内縁の夫によって7歳の女の子が虐待死しました。
一連の経緯等を時系列でまとめました。
年月日 | 出来事 |
2016年? | 島崎容疑者が元夫(地元の同級生)と結婚した。 |
2017年? | 奈桜さんが生まれた。 |
2018年 | 島崎容疑者が元夫と離婚し、岐阜県本巣市の実家へ戻った。 |
2021年? | 奈桜さんが幼稚園?保育園?へ入園した。 |
2022年9月 | 倉田容疑者に誘われ、犬山市へ転居した。同容疑者の実家近くのアパートで生活し始め、近所の保育園へ入園した。 |
2022年11月 | 自宅の浴槽で溺れて痙攣したとして救急搬送された。 |
2022年12月22日 | 経過観察で訪れた医療機関にて体のアザが増えている事に医療従事者が気づき、児相へ通告した。 |
12月23日 | 愛知県一宮児童相談センターが奈桜さんを一時保護した。 |
倉田容疑者は「暴力をふるった事はない」「入浴中に振り向いたら湯船に沈んでいた」等と虐待を否定した。が、奈桜さんは「パンチされた」「会いたくない」等と主張した。 | |
島崎容疑者はネグレクトと認定され、虐待防止指導プログラムを受けた。奈桜さんが犬山市要保護児童対策協議会で扱う児童とされた。 | |
2023年3月22日 | 母子交流の経過が良好だったので、一時保護を解除して継続指導とした。奈桜さんも「家に帰りたい」と話した。児相は倉田容疑者の住民票上の住所が別にあったので別居と判断(実際は同居)、「奈桜さんに会わない」との条件を付した。 |
4月10日 | 奈桜さんが通っていた保育園が左あごにアザを発見し、児相へ通告した。 |
4月13日 | 児相が再び奈桜さんを一時保護した。 |
4月21日 | 検察・警察・児相が奈桜さんと面接した。奈桜さんは両容疑者からの暴力や虐待等を否定し、「家に帰りたい」「倉田容疑者とは会いたくない」と話した。 |
5月 | 倉田容疑者が児相へ電話し、「児相が自分を危険視しているのは理解している」と説明した。 |
6月9日 | 児相は「ケガは島崎容疑者の意図的な行為ではなく、虐待を全否定している」「これ以上の母子分離は難しい」と判断し、一時保護を解除して継続指導とした。 |
一時保護解除後、島崎容疑者は「たこ焼きパーティー中に鉄板に触ってやけどをした」「転んでキッチンに頭をぶつけて切った」等の報告が何度もあった。児相はけがの予防に関する指導を行うに留まり、虐待や倉田容疑者の関与まで踏み込まなかった。児相は虐待防止よりケガ防止を重視する方針だった。 | |
児相が自宅を訪問したが、倉田容疑者の同居は確認できなかった。倉田容疑者も「奈桜さんとは会っていない」と説明した。 | |
2024年2月 | 児相が自宅を訪問したが、倉田容疑者の同居は確認できなかった。 |
4月 | 小学校へ入学した。欠席は殆どなかったが、2ミリ程度の小さな傷を2度確認した(虐待との関係は不明)。暑い日でも常に長袖・長ズボン姿だった(私服通学)。 |
近隣住民が泣き声に気付き、様子を見に行った。 | |
5月後半 | 同じ小学校の児童が奈桜さんの顔等にあざがあったのを見つけた。 |
5月23日 | 奈桜さんが小学校の玄関で「疲れた」としゃがみ込んでいた。 |
市役所にて児相が島崎容疑者・奈桜さんと面談した。不安な様子はなかったが、倉田容疑者との関わりについて訊かなかった。半袖半ズボン姿だったが、見える範囲に傷はなかった。2人は手を繋いで児相を後にした。 | |
5月24日 | この日も奈桜さんが小学校の玄関で「疲れた」としゃがみ込んでいた。 |
5月24日午後8時40分~25日午前7時40分 | 倉田凱容疑者が犬山市のアパートで奈桜さんに暴行を加えた。 |
奈桜さんが嘔吐(おうと)や腹痛などを訴え、島崎容疑者の実家へ移動した。 | |
5月26日午前8時45分 | 奈桜さんの意識が朦朧となり、島崎容疑者が119番通報した。意識不明・心肺停止の状態で病院に搬送された。 |
5月26日午前10時頃 | 岐阜市内の病院にて十二指腸裂傷による敗血症性ショックで死亡した。 |
病院が「体に複数のあざがある」と警察へ通報した。 | |
5月30日 | 島崎容疑者が学校を訪れ、「亡くなった事を伝えて欲しい」「起床後に急に体調が悪くなった」と伝えた。 |
5月末 | 学校から保護者へ「病気で突然亡くなった」「学校にカウンセラーを配置している」とのプリントが配布された。ある保護者が生前の奈桜さんの顔等にあざがあったのを気にしていた。 |
7月18日 | 傷害致死容疑で倉田凱容疑者が、保護責任者遺棄致死容疑で島崎みなみ容疑者が逮捕された。 |
倉田容疑者の父親は「僕らも亡くなった原因を知りたい。虐待などではないと信じている」と話している。 |
時系列にまとめなおすと、「認識のズレ」が一目瞭然となります。
倉田容疑者は1度目の一時保護から終始一貫して暴行や虐待行為を否定しています。母親の島崎容疑者も同じです。何度も確認されたアザ等は繰り返し「不注意によるケガ」と主張していました。
奈桜ちゃんは1度目の一時保護では「パンチされた」と話していましたが、それ以降は「暴力はない」「早くお家に帰りたい」と強く主張していました。
児童本人に虐待行為を否定されかつ早期に帰宅したいと主張されると、児相が一時保護を継続するのも難しいでしょう。継続指導とし、保育園や学校等に継続的な見守りを以来しました。
ただ、児相は倉田容疑者への警戒心を持ち続けていました。奈桜さんと会わせないとの条件を付しました(明確な条件となっているかは不明)。明確な証拠等はないながらも内心では「倉田容疑者も奈桜さんも否定しているが、倉田容疑者が暴行等を加えている可能性が高い」と感じていたのでしょう。
小学校入学後も学校や児相はアザ等を確認していません。しかし、他の児童や保護者は「アザがあった」と証言しています。奈桜さんは長袖長ズボンで登校した日が多く、アザを隠したかったという意図が拭いきれません。
倉田容疑者は奈桜さんへの関与等を否定しています。が、奈桜さん抜きで島崎容疑者と同棲できるわけがありません。児童は両容疑者が同棲していないかと確認できたいたのでしょうか。
更に倉田容疑者の実家は奈桜さんが住んでいたアパートから僅かな距離しか離れていませんでした。これでは分離として不十分です。
とは言え、児相に同棲を解消させたり分かれさせたりする権限はありません。この2人の関係にまで踏み込むのは越権行為と指摘されかねません。
また、昨年4月には児相と共に検察・警察の担当者が奈桜さんと面接していました。倉田容疑者の存在も把握したでしょう。奈桜さんの住まい(=両容疑者が同棲するアパート)を夜間等に巡回していれば、泣き声等に気づけた可能性があります。現時点では児相と警察との詳しい関係が見えていません。
児相や警察が倉田容疑者の動静を何処まで把握・認識できていたかが焦点の一つとなるでしょう。連れ子にとって内縁の夫は危険な存在となりかねません。