本日2023年3月10日は令和5年度大阪府公立高校一般入試が行われています。
3月10日、大阪府では府立高校の一般入試が行われていて、約2万人が受験しています。
緊張した面持ちの受験生たち。大阪府立夕陽丘高校では280人の定員に対して約330人が志願。試験は、午前中に国語・数学・英語、午後に理科・社会が行われます。去年に引き続き新型コロナウイルスの感染対策として会場は窓が開けられ、常に換気が行われている中で実施されていますが、今年から試験中のマスクの着用については強制しないということです。
10日は約2万人が受験していて、合格発表は3月20日に行われるということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6200e4f9aea242545a089e3f3db7a277a5565e2c
我が家の子供も数年後に受験する予定です。少しずつ情報を集め始めています。現在の大阪府立高校入試は、親世代が受験した数十年前(私は他都道府県ですが)とは全く状況が異なっています。
私立高校へ進学する割合は年々上昇しています。この10年間で10%も上昇し、今後も上昇する見通しです。令和4年度は高校生の38.4%が私立高校へ通っていました。
理由の一つには「私立高校無償化」と呼ばれる制度があります。しかし落とし穴があります。無償化対象となるのは授業料のみ、しかも厳しい所得制限が設定されています。
本投稿では公立高校一般入試に的を絞ります。
中1の内申点も点数換算
一般入試は原則として入試当日の点数(450点満点)と内申点(450点満点)の合計点(900点満点)で合否が判定されます。
入試は英語・数学・国語・理科・社会の5教科です。各教科90点満点、合計450点満点となります。
内申点は中学1年生~3年生までの数値が反映されます。具体的には中1の内申点(45点満点)x2 + 中2の内申点x2 + 中3の内申点(45点満点)x6 = 450点満点となります。
ただ、入試の点数か内申点のどちらを重視するかは、高校によって異なります。各高校の裁量で判定比率を「7:3」(入試の点数を重視)から「3:7」(内申点を重視)まで変更する事が出来ます。
親世代の頃と大きく違うのは、内申点の付け方です。以前は各評定の割合が定められていました(相対評価)が、現在は生徒毎の点数に応じた評定が付けられます(絶対評価)。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6221/00426197/R04rifuretto_3nen.pdf
内申点は絶対評価、「5」が取りやすい
親世代の頃に「5」を取るのは難しかったのですが、今の中学生は一定以上の成績があれば比較的容易に「5」が取れるそうです。ざっくりとした感覚となりますが、親世代の「4」程度の点数があれば、今は「5」が取れるそうです。
その為か、文理学科や進学校を受験する生徒はオール5やそれに近い内申点を有している生徒が少なくないそうです。そうした高校を受験する生徒の間では、内申点による差が付きにくくなっています(オール5に近いのが前提となる)。
重要なのは入試当日の点数です。
国数英の問題は3段階
一般的に高い学力を有する学生が受験する高校は入試の点数を重視しています。
また、国語・数学・英語は高校によって受験問題が異なります(理科・社会は全校統一)。基礎的な問題を扱うA問題、標準的な問題を扱うB問題、発展的な問題を扱うC問題があります。基礎学力の定着の有無を判断したい高校はA問題、高度な授業に付いてこれる能力を見定めたい高校はC問題を出題する傾向があります。
A問題は簡単です。B問題は親世代がイメージする公立高校の入試問題です。そしてC問題は大学入試センター試験を思い起こさせる様な難題です。時間内に解くには相当のトレーニングが必要です。C問題は進学指導に重きを置く文理学科や地域の進学校で主に出題されています。
入試点数と内申点の割合、及び出題される問題の種類は下記リンクに詳しく掲載されています。
学力検査問題の種類並びに学力検査の成績及び調査書の評定にかける倍率のタイプ
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6221/00434538/30_R5_syuruitobairitsu.pdf
学習塾頼りのC問題
公立中学校でC問題に対応した指導を行うのは難しいとの指摘もあります。
○公立高校の入試問題の難易度が高すぎる。2020年の数学C問題の入試問題など、公立中学の数学教師の大半は5割の得点さえできないような問題と思われ、公立中学に通っているだけではとても解くことができない問題で、塾に通っていないと対応できない。ある意味、入試は「そのレベルの問題を解けることを求める」ということを示すメッセージでもあると考えられるが、公立中学校の授業だけで、それだけのレベルに達している生徒がどれだけいるというのか?塾ありきで考えているのであれば、経済的格差を前提とした制度で、公立高校の制度としておかしい。
https://www.pref.osaka.lg.jp/joho-kensaku/index.php?site=f-koe2&pageId=26146
小学生の間でさえ既に著しい学力差があり、中学校で更に開くのは否めません。一つの中学校でA問題とB問題とC問題の指導を行うのはマンパワーが足りないでしょう。また、C問題を適切に指導・解説できる教員が全ての中学校に配属されているわけではないでしょう。
となると、教育熱心な家庭や進学校への進学を目指す子供達は、高度なノウハウを有する学習塾に頼らざるを得ません。
ここ数年、大阪府内ではとある大型動物をモチーフにしたM塾が急激に拡大しました。「北野高校 合格者 ○○○人」の様に、文理学科や進学校への合格者を強くアピールしています。
北野高校の合格者の内、M塾の教室生が占める割合は約90%にも達しています。他の文理学科設置校でも概ね半数程度がM塾生です。
親世代の頃からも高校入試は学習塾に頼る傾向もありましたが、C問題を出題する高校を受験するには事実上学習塾への通学が不可欠と言えそうです。中には塾無しで文理学科等を受験している生徒もいますが、全体としては極小さな割合でしょう。
英検等による最低保障制度
英語に関しては注意が必要です。取得している英語民間資格(英検等)に応じて、当日の英語の最低点が保障されます。たとえば英検2級を取得していたら、当日点がどれだけ悪くても72点(当日点の80%)が保障されます。
大きな問題がある制度ですが、現時点では廃止する動きは見えません。また、廃止するとしても、既に中学校へ入学している生徒が卒業してからの話になるでしょう(当初は当時の小学6年生が受験する年度から導入すると発表された)。
英語先取り・学習習慣の確立
ここまでは大阪府立高校一般入試に関する諸制度を簡単に記しました。では、これを受け、保護者や小学生がどの様に対応したら良いのでしょうか。
最重視すべきなのは英語でしょう。保護者が小中学生だった頃とは状況は全く違っています。小学校で英語が導入されています。昔は中学1年生の前半で学んでいた基礎的な事項が、小学校に下りています。
小学校の英語で躓くと、中学校で取り戻すのは容易ではありません。他教科の授業速度が上がり、部活動も加わります。英語の学習を追いつきたくても時間が足りません。
時間に余裕がある小学生の内に英語の学習を進め、中学校の授業では余裕を持てるのと楽になるでしょう。入試で80%が保障される英検2級を中学3年生までに取得するとなると、小学生の内に英検4級を取得するのがベターです。中1で3級、中2で準2級、中3で2級という段取りが組めます。
同時に重要なのは学習習慣の確立です。小学校と比べ、中学校の学習量は非常に多いと聞きます。中学校の先生は部活動の顧問や生活指導にも時間を割かれるので、小学校の様に丁寧に学習指導を行うのは難しいそうです。
となると、学校外での学習時間が物を言います。塾に通うか、それとも自宅で学習するかは子供や家庭の選択でしょう。どちらの場合であっても学習に十分な時間を取り、理解するのが難しい箇所は誰か(塾の先生・学校の先生・家庭教師・保護者等)に質問できる体制が必要です。
中学校入学後は新しい環境に慣れるのに時間が掛かります。同時に学習習慣を確立させるのは大変です。小学生の内に机に向かう習慣を身につけておけば、中学校入学後に部活動で疲れて帰宅しても自然と机に向かいます。
中学1年生の内申点から反映される点にも注意が必要です。以前は中学3年生で急激に学力を伸ばし、志望する高校に合格するケースもあったでしょう。しかし現在は中1時の内申点も反映されるので、後から挽回するのが相対的に難しくなっています。スタートダッシュが肝心です。
中学校の各教科の教科書をパラパラと目を通しましたが、親世代の頃より内容が確実に難しくなっています。教科書が分厚く重くなっています。
一方でこうした学習内容についていけない中学生も少なくない筈です。全ての中学生が一つの教室で同じ授業を受けるのは限界があるのかもしれません。