(6/10追記)
札幌市は怒りを募らせています。設置認可の取消命令も含めて検討しています。現在も多くの園児の転園先が決まっていません。

過去、市内で園児が在籍したまま保育園が突然、休園に至った例はなく、今回、市に対しても事前の相談は一切なかったということで、市の担当者は「前代未聞だ」としています。

影響を受けた園児は5つの保育園であわせて80人余りに上っていて、転園先が決まらず不安を募らせる保護者も少なくありません。

札幌市の秋元市長は今月3日の会見で、「近隣の幼稚園や保育園に受け入れを依頼し、1日でも早く転園できるよう全力を挙げて調整を進めたい。一連の会社の対応はたいへんずさんで無責任だ。今後、事業認可の取り消しも含めて対応を検討したい」と述べました。

「中和興産」をめぐっては市が昨年度、給付した補助金およそ2600万円の返還も求めていますが、期限だった先月下旬までに返還されていないということです。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/sapporo/20240606/7000067516.html

一斉閉園によって80人もの園児が新たな保育の場を探しても、短期間で全てのマッチングを行う乃は至難の業です。

都市部の多くの保育所等ではほぼ定員を充足した状態で運営しており、そもそも空きがありません。札幌市が弾力的な受入を要請したとしても、若干名に留まるでしょう。

空きがあったとしても、年齢・場所・保護者の勤務地・保育時間・きょうだい関係(同時受入)などの条件を満たすのは大変です。

中和興産が運営していた各園の実態が少しずつ明らかになっています。運営会社の指示による保育士不在時の保育が行われ、家賃や電気代も未納でした。給与も支払われていません。

この女性によりますと、保育士の資格がないにもかかわらず、運営会社からの指示で保育士が不在にしている時間帯に預かった子どもの世話をさせられることもあったということです。

また、保育園では家賃や電気代の支払いが滞っていたほか、電気が止められて電子レンジが使えず子どもの食事が作れなくなったこともあったということです。女性は先月になって突然、会社から「来なくていい」と言われて退職を余儀なくされましたが、4月分の給料はいまだに支払われておらず、会社からは対応を拒まれているということです。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/sapporo/20240606/7000067516.html

まるで「夜逃げ」です。保育園の運営の為に用いられる筈だった金銭は、すすきのの夜に消えたという報道もあります。単なる一斉閉園に留まらず、保育園を食い物にした疑いがあります。

(6/3追記)
休園する保育園に唯一含まれていなかった「ちゅうわ発寒保育園」も休園しました。

札幌市の認可保育園4園が2024年6月から相次いで休園し、園児74人が転園先を探している状態だと分かりました。

札幌市によりますと、休園したのは札幌市の認可保育園の「ちゅうわ清田保育園」「ちゅうわ発寒保育園」「ちゅうわ南郷保育園」「ちゅうわ南保育園」の4園です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a63de4cf3f37b8e201ba5ae17c7e5f4a25966a5b

これで中和興産株式会社が運営する認可保育所4園・認可外保育施設1園が、5月末に一斉休園を行った事となりました。保護者へ連絡したのは休園する僅か数日前でした。

引き金となったのは、給与未払や人員不足による保育士の一斉退職でした。しかし、給与が支払われない職場を辞めるのは当然です。保育士に責任はありません。

そもそも認可保育所の運営に必要な人件費等は札幌市から交付されています。同社にはこうした資金を保育士に支払わず、別の使途に流用した疑惑が取り沙汰されています。

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先日、保育士不足のままで保育を行った「ちゅうわ南保育園」(運営法人:中和興産株式会社)に対し、札幌市は10ヶ月間の事業停止命令を出しました。

「ちゅうわ南保育園」に事業停止命令 保育士一斉退職後も保育継続 札幌市

運営法人たる中和興産株式会社は驚くべき対応を行いました。系列園であるちゅうわ南郷保育園ちゅうわ清田保育園(いずれも保育所)とふしみの森めぐみ保育園(認可外保育施設)の3園を本日付で休園するとしました。

6月1日から休園となることがわかったのは札幌市の認可保育園「ちゅうわ清田保育園」と「ちゅうわ南郷保育園」です。30日の朝、運営法人である「中和興産」が、市に2つの園の休園を伝えてきたということです。中和興産側は職員の一斉退職を理由にあげていて、市は「通常では考えられない事態」としています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0ab37b6c56f90472355631e7eff469bf5c1784cf

 休園するのは中和興産が運営する札幌市の認可保育園「ちゅうわ南郷保育園」と「ちゅうわ清田保育園」、認可外保育園の「ふしみの森めぐみ保育園」です。

関係者によりますと、3つの保育園は給料の未払いや人員不足などで職員と経営者が対立したため、5月31日いっぱいで休園することになったということです。

 認可保育園だけでも、あわせて40人近い園児が在籍していて、札幌市は、転園に向けて調整を行うとしています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ea53bd774b639e0fd896605845a9c74f2bf2e05d

【ちゅうわ南郷保育園】

【ちゅうわ清田保育園】

3園には約40人の園児が登園しています。園児3人のみが登園していたちゅうわ南保育園とは異なり、約40人もの転園調整は困難です。土日の間に調整を終えるのは不可能です。多くの家庭にとって保育の場が突然消滅し、月曜日以降は子供の預け先に窮します。

子供への影響も深刻です。慣れ親しんだ保育所・職員・お友達から何の前触れもなく引き離されてしまいます。心情にも大きな影響が生じます。

休園するのであれば、中和興産は早い段階から札幌市と協議を行うべきでした。しかし、それが可能であれば、そもそも保育士の一斉退職という事態は生じなかったでしょう。

一斉退職した保育士に責任はありません。可能な限り安全な保育を行おうとしたものの、万策尽きて退職を余儀なくされたと考えられます。似た様な出来事は全国各地で相次いでいます。

札幌市の責任もあります。保育所で保育士が一斉退職したら、他の系列園でも同様の事態が起こりうると予見できました。同じ経営者・保育方針・経営状態であれば、保育士の反応も同じです。

もしくは既に深刻な保育士不足が発生していたとも考えられます。法定基準を満たした保育士が現に勤務していたかが疑わしいです。

同市は「通常では考えられない事態」としていますが、諸般の事情を踏まえると予見できる事態でした。

同社が今後も運営する保育所等はちゅうわ発寒保育園のみとなりました。同園でも同様の問題等が生じていると考えるのが自然です。