6月4日時点において、新型コロナウイルスの感染状況が全国で最も深刻なのは沖縄県です。

緊急事態宣言が発出されて10日余りが経過しましたが、日々の感染者は右肩上がりで増加し続けています。

新型コロナ 新たに244人感染確認 前週の同じ曜日上回る

新型コロナウイルスの感染者について、沖縄県は1週間前の木曜日を上回る244人の感染が新たに確認されるとともに、南城市在住の80代の男性が死亡したと発表しました。

県によりますと、新たに感染が確認されたのは10歳未満から90代までの244人です。

木曜日としては1週間前の先月27日の240人を上回り過去最多となっていて、3日ぶりに前の週の同じ曜日を上回りました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20210603/5090014340.html

これを受け、沖縄県は全ての県立学校を6月7日から20日まで一斉休校にすると発表しました。市町村立学校(小中学校等)にも同様の措置を要請します。

第4波において都道府県レベルで一斉休校を行うのは、この沖縄県が初めてです。

県 県立学校の2週間休校措置決定 コロナ感染拡大に歯止めを

沖縄県は、子どもたちの間での新型コロナウイルスの急速な感染拡大に歯止めをかけようと、県立学校を原則来週7日から2週間、休校にすることを決めました。

感染症の専門家などによる沖縄県の会議は2日夜、子どもたちの間で感染が急速に拡大していることを踏まえ、学校の休校も含めた強い措置が必要だという認識で一致しました。

これを踏まえて県は、3日午後5時から対策本部会議を開き、県立学校を原則来週7日から20日までの2週間休校にすることを決めました。

市町村立の小中学校に対しても同様の休校措置を要請することにしていますが、休校に反対している自治体もあるということで、玉城知事は4日、県内の市町村長とオンラインで意見交換会を開き、理解を求めることにしています。

また、現在はことし8月までに開催される九州大会や全国大会の予選を兼ねた県大会などに出場する場合に限り、限定的に認めている部活動についても、県立学校は例外を設けずすべての中止を求めます。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20210603/5090014347.html

これに加え、沖縄県では保育施設等へ家庭保育・登園自粛・臨時休園等の対応を依頼しています。保育施設を利用出来るのは、医療従事者やエッセンシャルワーカーといった限られた職種に限定される見通しです。

https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kohokoryu/koho/documents/0603taisyohoshin.pdf

都道府県レベルで保育施設へこうした強い要請を行うのは、全国で初めてでは無いでしょうか。

こうした判断の背景には、10代以下の感染者が1週間毎に倍増するペースで急増している実態がありました。急拡大する子供の感染に対し、対応が追いついていないのが実情でしょう。

沖縄県内の新型コロナウイルスの10代以下の感染者数は5月、毎週ほぼ倍増が続いた。3~9日の週は47人、10~16日の週は107人、17~23日の週は212人、24~30日の週は368人。5月は学校などで10代以下の6例のクラスター(感染者集団)が発生し、専門家は小中高の休校の必要性を強調する。

 年代を詳しく見ると、10歳未満は5月1日時点で6人、10代は4人。11日までは1日の感染者はともに1桁にとどまっていた。10人以上の感染が目立ち始めたのは10代は12日から、10歳未満は25日からだった。

 県は31日、新型コロナ対策本部内に学校PCR支援チームを設置。感染者が1人でも発生すればクラス全員を検査している。陰性が確認されるまで児童・生徒を休ませる方針で、31日から現在まで県立高校や特別支援学校16校の22クラスが学級閉鎖した。

 県の専門家会議メンバーで県立中部病院の高山義浩医師は「子どもは症状が軽く、(感染した)全員が受診するとは限らない。捕捉率は高くない」と指摘。水面下で感染が広がっている可能性があり、休校が必要だとの考えを示している。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/764721

学校における感染経路で非常に多いのは「部活動」です。それに加え、マスク着用の不徹底・換気不十分・昼食時の不十分な対策等が指摘されています。

発表によると8人のうち5人は同一の部活動に所属し、3人は同じ学寮で生活している。部活動を活動中止とし、濃厚接触者の寮生は自宅待機中という。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1327200.html

 名護市内の中学校で5月24~31日に生徒13人と職員1人が感染。換気が不十分で生徒のマスク着用も徹底されていなかった。

 那覇市内の県立学校でも25~28日に生徒5人、職員1人が感染した。マスク着用が義務付けられていたが、昼食時に外したことで感染したとみられる。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/764722

大阪府の学校における感染は、部活動を全面的に停止すると急速に下火となりました。部活動自体の感染リスクが非常に高かったのに加え、部活停止によるアナウンスメント効果もあったのでしょう。

非常に強い要請を行う事により、子供の感染拡大を急激に抑制する効果はあるでしょう。しかしその反面、副作用も非常に大きくなります。

学校が休校になる事により、学習の遅れが深刻化します。2週間分の休校は、夏期休業を短縮して授業を行うしかないでしょう。

沖縄県はオンライン授業等を活用する要請を行っていますが、そうした準備が整っているとは考えにくいです。

家庭に掛かる負担も深刻です。平日日中も在宅する子供の育児を行うには、親は出勤できなくなります。2週間分の収入がなくなる親も、2週間分の欠員が生じる勤務先も重大な影響を被ります。

休みになるのは学校だけではありません。保育施設も大幅な縮小を余儀なくされます。殆どの子育て世帯は仕事になりません。

中には子供を自宅に残して出勤する家庭もあるでしょう。子供が朝から夕方まで自宅で大人しく過ごせるでしょうか。予期できない事故に巻き込まれたり、子供だけで遊びに出掛けてしまう事もあるでしょう。

大阪府では臨時休校中の高校生が複数人で遊びに出掛け、そこで感染が拡大してしまった事例がありました。

11月28日以降、登校日が無く、学校で感染することは有りません。しかし、臨時休業中に八尾北高校の友人同士で交流し、感染が広まっています。 外出はなるべく控えるよう、お子様にご指導をしていただきますよう重ねてお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症については、まだまだ明らかとなっていないこともあり、現時点での情報をもとに適切に対応することが重要となります。

https://yodokikaku.net/?p=38829

遊びたい盛りの子供に2週間の在宅を強いるのは難しい話です。休校・休園中の過ごし方に付き、県は家庭へ丸投げした構図です。

学校が止まると社会全体が止まります。それでもハイリスクな行動を行って感染を拡大させる事案が続くのであれば、著しい負担を強いられた子供や子育て世帯の不満が爆発します。

また、休校による経済問題が深刻化するのは避けられないでしょう。主要産業たる観光業や飲食業の雇用や収入が急速に縮小します。経済面で経ち行かなく世帯も相次ぎます。

大都市である大阪ですら大きな問題が生じています。経済規模が小さくて脆弱な沖縄では、より重大な問題が生じます。立て直すのには数ヶ月から数年単位が必要でしょう。

今夏の沖縄観光は難しいですね(もともと予定していませんでしたが)。今回の感染拡大はGW中の沖縄観光が引き金となったので、夏場の観光に対しては慎重に対応せざるをえません。