2017年に発覚した社会福祉法人夢工房を遙かに上回る、巨額の横領事件です。社会福祉法人母子育成会の深瀬前理事長が10億円以上の私的流用を行った疑惑が浮上しています。
前理事長が8億円横領か…使途は女性に高級プレゼント、私的な旅行 川崎市の社会福祉法人が告訴状
川崎市川崎区の社会福祉法人「母子育成会」は30日、深瀬亮一前理事長(67)が20年以上にわたり、計8億4690万円を私的流用していたことを認めたと発表した。法人は4月末、業務上横領容疑で深瀬前理事長に対する告訴状を神奈川県警川崎署に提出した。
この日会見した千葉新也新理事長によると、昨年3月に法人の常務理事に就任した千葉氏は不明朗な会計処理に疑問を抱き、法人による自主調査を実施。深瀬前理事長による不正流用を確認した。2002年以降、法人の口座から雑費支出として引き出したり、出張旅費として経費に計上したりした金を、私的な旅行や知人女性への高級品のプレゼントなどに充てていたといい、「かっこつけたかった」と話しているという。
法人は今年3月末の理事会・評議員会で深瀬前理事長を解任した。千葉氏は会見で「政治家への政治献金や競走馬の購入などもしており、不正流用の総額は少なくとも10億円をくだらないとみている」と述べた。
川崎市も法人からの相談を受けて、昨年10~12月に法人への監査を実施。深瀬前理事長の不正が疑われる会計処理があったとして、今年3月に法人に対し、会計の適正な処理などを求める文書指導を行った。
深瀬前理事長の父は元川崎市助役の故深瀬幹男氏。法人は川崎市や横浜市などで二つの特別養護老人ホームと五つの認可保育所を運営している。
社会福祉法人母子育成会は川崎市川崎区に本部があります。特別養護老人ホームしゃんぐりら・特別養護老人ホームしおん・川崎乳児保育所・白楽あいいく保育園・川崎あいいく保育園・ゆめいく日進町保育園・あすいく保育園を運営しています。
千葉新也新理事長は、直近まで理事長に次ぐ常務理事を務めていました。会見で新理事長は「タワーマンションを2箇所借りた」「車や腕時計を購入した」「自宅のリフォーム代に充てた」「2億円を超える職員の厚生年金の未納や、給与の遅配もあった」と述べています。
財務諸表等はWAMNET法人詳細情報に掲載されています。
「深瀬亮一 馬主」で検索した所、少なくとも競走馬5頭の馬主だったと確認できました。
https://pogdb.o0o0.jp/db22/hs.cgi?&index=%90%5B%90%A3%97%BA%88%EA%8E%81
社会福祉法人の理事長が競走馬の馬主をしている時点で極めて不自然です。どう考えても繋がりません。それだけの報酬を得られる仕事でもありません。
新理事長は「明らかに粉飾決算で、周りの理事も分かっていたのに指摘していなかった」と主張しています。
同法人の理事・監事・評議員には数多くの川崎市関係者の名前が連なっています。2022年度の役員名簿には元川崎市人事委員会員・川崎市社会福祉事業団理事長・元民生児童委員協議会会長・元多摩区長・元民生局長に加え、元参議院議員も確認できました。
上記東京新聞が指摘している通り、深瀬前理事長の父は元川崎市助役の故深瀬幹男氏でした。川崎市との関係が異常なまでに深い法人です。新理事長が就任した後、理事や評議員は全員が交代しました。
その為か、毎年行っている川崎市の一般監査にも甘さがありました。長年に渡って書類不備等を見逃していました。
市健康福祉局も同日、会見した。市側も同法人の経営状況の悪さを把握し、18年度からコロナ禍の20、21年度を除き毎年度、同法人への一般監査を実施してきたが、書類などがそろわず、運営状況や会計処理が十分に確認ができない状況が続いていたという。同局の担当者は「深瀬前理事長に『次はやる、信じてください』と言われ、自主的な改善に期待するしかなかった。市に捜査権限はなく、監査に限界があった」と述べた。
「川崎市の捜査権限は無く、監査に限界があった。」と弁解していますが、ただの言い訳です。立入調査や改善勧告等は可能でした。
新理事長からの相談等を受けて行った監査の結果は、川崎市ウェブサイトに掲載されています。
高齢者や幼児の福祉の為に利用される筈だった資金を横領した罪は重大です。今後はより具体的な手口や使途が明らかになるでしょう。