(大塚璃愛來ちゃんと日渡駿容疑者、ツイッターより)

鹿児島県で大塚璃愛來(りあら)ちゃん(4歳)が母親の交際相手である日渡駿容疑者によって虐待死しました。

ただ、虐待されているサインは繰り返し発せられており、近隣住民や関係機関等は把握していました。

新聞記事やテレビニュース等を基に、出来事を時系列で集約しました。

日付出来事
2018/12~2019/2璃愛來ちゃんが1人で夜間徘徊しているのを、近隣のスポーツセンター職員が何度も保護した。
2019/3/16児童相談所に「児童虐待されているような動画がある」との通報
3/18薩摩川内市が薩摩川内署へ「虐待の疑いがある」と通報、児相・県警・出水市が自宅訪問
3/19警察官や市職員らが自宅を訪れ、璃愛來ちゃんと母親に面会。璃愛來ちゃんの体に暴行が疑われる傷や発育状態の異常もなかった。動画も確認できず。
3/21-22近隣住民等が「夜間に1人で(ドラッグストアへ?)外出している」との通報。母親が仕事で不在か。薩摩川内署が璃愛來ちゃんを保護(太ももに2cm程度の薄いアザあり?)、同署は「親への指導・一時保護の必要性がある」「育児放棄の疑い」として鹿児島県中央児童相談所へ文書通告。
3/282回目の保護
3/293回目の保護、児相に「一時保護の必要性がある」と文書通告(2回目)。「一時保護を県警に委託して欲しい」と求めた。
4/23か所目の保育所に入園、ただし6月末の退園までに4月の4日、5月の6日、6月の5日の計15日しか登園しなかった。保育園長は「亡くなったのはショック。当時の担任保育士は打ちひしがれている」と話す。
4/24回目の保護。県警は「児相から母親に引き渡して欲しいと言われた」と主張、だが児相は「県警に一時保護を要請した」と反論(後に撤回)。
4/3児相が「再び同様の問題が起これば一時保護する」と母親へ面談して通知(児相最後の面談)。男性の姿は無かった。薩摩川内市は虐待を確認できなかったが、母親に「子どもの面倒をきちんとみるよう」指導した。なお、市居住中に薩摩川内市が計3回面会している。
4/9薩摩川内市・薩摩川内署・児童相談所等による「要保護児童対策地域協議会」にて、家庭訪問や電話による確認を行いながら経過を見守るとした。と会議。同様の事案が起きる等したら璃愛來ちゃんを一時保護する方針を決め、見守りの対象とした。

児相?が自宅を訪問したが、不在だった。

4/10児相が育児放棄と認定
4/11児相が保育所へ見守り等を要請
5/13母親が薩摩川内市保健センターへ母子手帳を取りに来た(市が妊娠を把握)
6/30?大雨の中、璃愛來ちゃんが自宅アパート1階の玄関ドアの前に全裸や下着一枚で立っていた。怯えた様子でドアの方に顔を向けたままだった。
7月頭?出水市へ転居。保育園も退園? 薩摩川内市は出水市へ「交際相手がいる、妊娠中」と引き継いだ。ただ、出水市は交際相手の存在を確認しなかった。(児相は9/4会見で「転居に対する両市の連携が不十分だった」旨を主張)
7/17転居した旨を児相が把握(但し住民票は動いていなかった)
7/22璃愛來ちゃんが自宅の机で頭部を打ったとして、救急外来を受診した。
8/5出水市の病院が顔等に複数の青あざがあるのを確認して同市に連絡、だが同市は警察や児相に連絡せず。
8/7出水署が出水市へ家庭訪問等の有無について照会。出水市はあざを伝えなかった。
8/9出水市は児相へ「転居に伴う個別ケース検討会議を開催する必要がある」と打診したが返事はなかった(児相は打診を否定)。
8/26保健師等が自宅訪問。母親と璃愛來ちゃんに面談したが、虐待を疑わせる外見はなかった。
8/27 19時半~20時自宅で璃愛來ちゃんの頭部を拳で殴った。
8/28午後日渡容疑者が病院へ璃愛來ちゃんを連れていった。
8/28夜璃愛來ちゃんが搬送先の病院で死亡。
8/30病院が警察へ「溺れた女児が死亡した」と通報。璃愛來ちゃんの体には全身に傷があった。
8/31暴行の疑いで日渡駿容疑者を逮捕。同居者の存在を薩摩川内市・出水市・児相が初めて知った。
9/1薩摩川内市が「虐待の情報はあったが確認されず、対応は適切だった」と会見
鹿児島県中央児童相談所の佐多士郎所長が「璃愛來ちゃんが一人で屋外にいても母親と連絡がつき、母親に引き取られることを嫌がらず、虐待も確認できなかった」「一時保護事案に該当しないと判断」と会見。

流れを見ていると、近隣住民や病院は何度も虐待その物や疑わせる行動を何度も目撃していました。

近隣住民から通報を受けて駆けつけた薩摩川内署は、「一時保護の必要性がある」と鹿児島県中央児童相談所へ通告しました。

これに対して児童相談所は「一時保護事案に該当しない」と判断し、薩摩川内市や出水市と連携して見守るとしました。

残念ながら見守りは功を奏しませんでした。

鹿児島県中央児童相談所の佐多士郎所長は「虐待は確認できなかった」と弁明しています。

しかし、近隣住民や病院は何度も確認していました。こうした情報を軽視し、児童相談所が直接得た情報だけで誤った判断を下した疑いが濃厚です。

児童相談所が忙しいのは理解できます。鹿児島県中央児童相談所は、島嶼部・大隅半島を除く広範な地域を担当しているそうです。

児童相談所は,18歳未満の子どもの健やかな成長を図るため,様々な相談に対応する機関であり,鹿児島市には中央児童相談所,大隅地区には大隅児童相談所、大島地区には大島児童相談所があります。

http://www.pref.kagoshima.jp/ae08/kenko-fukushi/kodomo/sodan/04008014.html

人員不足で広い地域を担当せねばならず、人繰りも相当に厳しいのでしょう。

忙しさや人員不足は言い訳になりません。相次ぐ虐待死事件は強く意識していた筈です。

児童相談所や自治体が一歩踏み込んだ対応をしていれば、璃愛來ちゃんの命はきっと救えたでしょう。

いっその事、緊急性や人命保護が求められる一時保護部門は、警察へ移管した方が良いのかもしれません。