2024年から2025年にかけて、子育て世帯に対する経済的支援が大幅に強化されます。特に大阪市に居住している子育て世帯では、大阪市・大阪府・国による支援拡充を重複して受けられます。代表的な制度を列挙しました。

項目実施主体開始年月
私立高校授業料無償化大阪府・国2024年4月より順次実施
大阪公立大学授業料無償化大阪府2024年4月より順次実施
第2子以降の保育料無償化大阪市2024年9月~
小5~中3への塾代助成の所得制限撤廃(月額1万円まで)大阪市2024年10月~
児童手当を高校生まで支給・第3子以降倍増・所得制限撤廃2024年10月~
多子世帯への大学授業料支援2025年4月より実施予定

当ウェブサイトをご覧頂いている方に関係が深いのは、第2子以降の保育料無償化でしょう。現行制度ではきょうだい同時で在園していると第2子保育料は半額、非同時在園では全額が徴収されていました。しかし、今年9月以降はいずれも無償化されます。

我が家もこの制度によって9月からは保育料が無償化されます。きょうだいの年齢差によって保育料額が大きく変わるのは非合理な制度であり、この制度変更は当然です。

【重要】全ての第2子保育料が無償化 2024/9より実施決定 大阪市

10月からは児童手当が拡充されます。支給対象が中学生から高校生までに延長、第2子以降は月額1.5万円から3万円に増額、所得制限も撤廃されます。これも我が家にとっては朗報です。

子育てに要する費用は小学生より中学生の方が遙かに掛かります。高校生で必要な金額は更に増えるでしょう。高校は実質的に義務教育化されており(中学校の進路説明会でも「中卒就職はほぼ皆無」との談あり)、児童手当を中学校で打ち切るのは実態に反した措置でした。

大阪市では2024年10月から塾代助成事業での所得制限が撤廃されます。本制度は大阪維新の会が主張する「教育バウチャー」の一種です。各家庭に教育バウチャーを交付し、民間事業者が実施する様々な学習塾や習い事の費用に充てられるものです。

当初は中学生のみを対象として開始され、対象が小学5-6年生にも拡大、今回は所得制限が撤廃されます。月額1万円はインパクトが大きい金額です。使わなければ勿体ない反面、中学生の塾代には足りません。

また、民間事業者の利用を促進するよりも大阪市立小中学校の充実に予算を費やすべきです。校舎の老朽化が酷いのですが、先生方は「予算がない。市教委を説得して欲しい。」と嘆いていました。

その他にも様々な子育て支援制度の充実が予定されています。いずれも子育て世帯の経済面を直接支援する制度です。物価高や教育費の高騰で苦しむ家計が多少でも好転するのは間違いありません。

子育て支援策ばかり、少子化対策はお手上げ?

一方、これらの支援策はあくまで「子育て支援策」です。目下の課題として意識されている「少子化対策」ではありません。こうした制度が充実されても、まだ交際や結婚等をしていない若年層にとっては遠い国の話です。

私自身も独身時代の頃は保育園や児童手当に関する基礎的な知識すらありませんでした。保育園と幼稚園の違いが分かっていなかったぐらいです。児童手当の存在すら知りませんでした。ブラック企業で残業代が出ない長時間労働で疲弊しつつ、借りた奨学金を返済するので頭がいっぱいでした。

政府は子育て支援と少子化対策の違いを理解している筈です。にも関わらず、新たな制度は子育て支援ばかりです。「自力で交際や結婚に辿り着けない若年層は支援するに値せず、支援に値するのは自力で出産までこぎ着けた家庭」という思惑が透けて見えます。