夏場の保育園生活、大変なのは「オムツの持ち帰り」です。あの臭い、嫌になります。
おむつ処分 予算がない?
保育所に通う子どもたちの使用済み紙おむつを、どう処分するか。再利用する布おむつが主流だった時代からの流れで、保護者に持ち帰りを求める施設は多いが、最近は衛生面などを考慮して、保育所側が処分する動きが広がりつつある。
●「持ち帰りは異常」
「自転車にうんちを載せるのって異常では……」。東京都新宿区の女性会社員(39)は、どうにも疑問がぬぐえない。2歳の長女が通う認可保育所から使用済みおむつを持ち帰る日々だが、0歳児の時に通わせていた別の保育所では園側が処分していたため、転園時は驚いた。園の説明は「限られた予算を子どものために使いたい」。理解はできる。だが、帰り道に疲れてファミリーレストランへ寄った時などは落ち着かず、特に暑い季節は臭いが気になる。
仕事用のパソコンに加え、汚れた服やタオル類、週1度持ち帰るシーツや布団など、ただでさえ荷物は多い。複数の子を預ける他の親はさらに大変そうだ。便に問題があれば保育士が教えてくれるので、帰宅後は中を確認せず捨てる。「成長しておむつが取れたら解決すると思って我慢してしまうけれど、持ち帰らずに済むならその方がいい」というのが正直な思いだ。
●「健康管理」が目的
隣接する文京区は今年度から、区立保育所のごみ処理の予算を増やし、おむつは保護者に持たせず事業者が毎日収集する方法に改めた。「健康管理のため持ち帰ってもらっていたが、紙おむつが主流となり、保護者から捨ててほしいという要望があったため」と幼児保育課の担当者。便に問題がある時は、ビニール袋に入れたおむつを原則持ち帰りにすることで「健康管理」の目的は維持できるという。
室内の大きなごみ箱に回収→昼寝の時間などに取り出して名前を確認し園児別のバケツに入れ替え→保護者に引き渡し。同区立向丘保育園では3月まで、保育士がこんな手間をかけていた。新年度からは気を使う作業が減ったし、保管も外に置いたごみ箱二つで収まる。寺尾章子園長は「持ち帰りたいという保護者はいない。園で処分する代わりに、子どもの成長が表れるおむつ交換の回数などを、意識して保護者に伝えるようにしている」と話す。
豊島区も同様に、今年度から区立・私立の認可保育所や地域型保育事業など計103施設に原則週3回、委託業者が巡回しておむつを回収することにした。必要な予算は約1300万円。練馬区は、2歳までは区立保育園が処分する方針に変更した。練馬区の2016年調査では、私立保育所は既に約8割の施設が園側で処分していたという。0歳児のみ業者に処分を委託している世田谷区も、保護者有志の嘆願を受け、対象を1歳以上に広げることを検討中だ。
汚物をなるべく動かさずにその場で廃棄することは、衛生面でも手間の面でも、保育所と保護者の双方が助かる。それでも方針転換していない自治体や施設は、処分費用などの問題を挙げる。
江東区が配布している「入園のしおり」。各保育所の概要をまとめた一覧で、おむつの持ち帰りと貸しおむつの有無について記載している●保管スペースなく
「持ち帰り」を原則とする江東区は「各園で処分すれば新たな費用がかかる。衛生的に保管できるかどうかは園の規模などで異なり、統一できない」と説明する。ただ、公設民営の保育所で見ると、14園中12園が施設か保護者どちらかの負担で園側が処分しているという。北区は保護者に健康管理してもらう必要性や予算の問題に加え、待機児童対策で多めに園児を受け入れている施設では業者の回収まで保管できるスペースが十分にないことも課題に挙げる。
全国でも対応はまちまちだ。大阪市は公立の全保育所が「保護者持ち帰り」。福岡市は「布おむつの使用をお願いしている」といい、紙おむつも含めて持ち帰り。一方、横浜市は昨年度から要望のある公立保育所は運営費を使って処分できる制度に改め、4月時点で77園中48園で導入した。札幌市の公立保育所では遅くても数年以上前から、園側が処分しているという。
国はどんな指導をしているのか。実は、保育所の感染症対策の指針には、使用済みおむつに関して「ビニール袋に密閉した後にふたつき容器等に保管」とあるだけで、処分方法が書かれていない。厚生労働省の担当者は「地域の実情に応じて、自治体や事業者の判断で取り組んでほしい」と現場に任せる姿勢を取る。(以下略)
お世話になっている保育園は、布オムツと紙オムツを併用しています。
持ち帰った布オムツの処理は本当に大変です。便や汚れ等は、保育士が大まかに取り除いています(この作業も重労働でしょう)。
とは言え、汚れは残っています。帰宅後は風呂場や洗面所で他の洗濯物とは別に下洗いしてから、洗濯機で洗濯しています。ピーク時では毎日10枚ほどの布オムツを下洗い・洗濯していました。洗濯板で洗濯していた昭和初期~中期を思い起こす、重労働です。
布オムツとは言え、紙オムツの処理も大変です。便は保育園で処分されていて、問題があれば保育士から口頭や連絡帳で伝えられます。「便を確認する」という手順はありませんでした。
とは言え、やはり臭いは気になります。大量のオムツを持ち、保育園帰りにスーパーマーケットで買い物するのは何となく憚られました。一旦帰宅し、荷物を下ろし、Eテレを見たがっている子供を無理矢理ベビーカーへ乗せ(泣いて抵抗)、買い物へ出かけました。
重い買い物袋を抱えて再び帰宅する事にはヘロヘロ、特に夏場は体力の減少が深刻です。ここから晩ご飯を作るのは非常に厳しいです。
経験上、紙オムツを持ち帰るメリットは何らありませんでした。荷物の増加・臭い・帰宅中の買い物に支障・ゴミ捨て日までの自宅保管等、デメリットばかりです。
保育士の作業量も増えます。記事では『室内の大きなごみ箱に回収→昼寝の時間などに取り出して名前を確認し園児別のバケツに入れ替え→保護者に引き渡し』という実例が取り上げられています。
また、他の園児の紙オムツが混じっている事もしばしばありました。園に指摘するほどでもないので黙って処分しました。布オムツの時は「えーっ」と思いつつ、同じ様に下洗い→洗濯→保育士に手渡ししていました。
0-2歳児1人あたりの処理費用は月額250円
以前に保育士へ「園側で処分できないのでしょうか」と訊ねたところ、こっそりと「私は園内処分に賛成だけど、廃棄費用がかさむから園長が後ろ向き」と教えてくれました。
処分費用の捻出が困難という理由で園内処分を躊躇っているのであれば、多くの保護者は「自己負担するから園内で処分して欲しい」と主張するのではないでしょうか。
では、処理費用はどれだけ掛かるのでしょうか。今年4月から紙オムツの処理を保育施設から業者へ委託する豊島区の場合、103施設の処理予算は1293万円でした(2018年4月2日 東京新聞)。
1施設あたりの予算は約12万5000円、ざっと1施設あたり月額1万円です。0-2歳児が40人在籍している保育所であれば、1人あたりの月額処理費用は250円です。
月額250円! 1日あたり10-12円! 私だったら喜んで払います。
また、これによって保育士の作業量も軽減されるでしょう。保育園が全額を自己負担しても、作業に要する人件費でペイするのではないでしょうか。
後ろ向きな大阪市
上記の記事では、『大阪市は公立の全保育所が「保護者持ち帰り」』と取り上げられています。
実は今年3月の大阪市会教育こども委員会で、紙オムツの持ち帰りについて質疑が行われています。過去の記事から引用します。
高見亮委員(維新)
○公立保育所における使用済み紙おむつの持ち帰りについて・現状どうなっているか?
→私立保育所で5割が自園処理、政令市では19市中6市、H30からの実施は見送り・オムツ持ち帰りは子供の保育環境、衛生面から重要
使用済みオムツについて保育士が行う作業は?
→蓋付き容器を児童毎に設置、オムツを園児毎に分けて保管し、保護者に持ち帰ってもらう、定期的に消毒・保育士の労働環境改善、保育環境改善に繋がる
・公立保育所で自園処理するのに必要な経費は?
→週3回のゴミ収集で年間約900万円・帰宅してから処分する保護者、保育士の業務負担を踏まえると、十分な効果がある
・オムツを自園処理している施設を保護者が自由に選べる状況か?
→自園処理している施設へ入所できない可能性もある・平成31年度実施へ向けた考えは?
→児童への関心、便の状況から健康状況を把握して欲しいので、使用済みオムツを持ち帰ってもらっている
→意義や効率性について意見が出ている、大半の施設で処理している状況ではなく、公立園での処理に到っていない
→新年度予算では午睡時の事故対策へ重点投資した・健康状態は他の方法で代替可能、子供の便を見ても分からない、口頭で伝わる
・便を見なかったら関心がない?感情的な議論
・前例に囚われず、取り組んで欲しい
子供への関心は有していますが、便への関心はありません。保育園での子供や便の様子は、保育士からしっかりと聞いています。
今年はこれまで以上の暑さです。この猛暑の中、便を包んだ紙オムツを持ち帰らせるのは常軌を逸しています。
学校へのエアコン設置と同じく、政策決定者が有する「これまでの常識」を解体し、子育て世帯が直面している「新しい困難や常識」を元に考え直すべき時期が到来しているのではないでしょうか。
子育て世帯の皆さん、支持政党や投票先はともかく、やっぱり選挙には行きましょう。子供の為に。