納得できる結果です。国際調査(PISA)にて、日本の15歳の読解力が低下している事が明らかになりました。

PISA調査 日本の15歳、読解力15位 3年前より大幅ダウン 科学・数学的応用力はトップレベル維持

経済協力開発機構(OECD)は3日、世界79カ国・地域の15歳を対象として2018年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は読解力が前回(15年調査)の8位から15位と大きく後退したほか、数学的応用力が前回の5位から6位に、科学的応用力も2位から5位に順位を落とした。文部科学省では、読解力の記述式問題などで課題が浮き彫りになったとみて、学力向上策など検討する。(以下省略)

https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030033-n1.html

調査結果は国立教育政策研究所のウェブサイトに掲載されています。

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html

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問題視されているのは「読解力」です。

フィクション・ノンフィクション・新聞と読解力に相関あり

読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒の方が、読解力の得点が高くなっています。特にフィクション・ノンフィクション・新聞をよく読む生徒の読解力の得点が高い結果となりました。

また、フィクションほどではないものの、コミックをよく読む生徒の読解力も高くなっています。「コミックを読んだらバカになる」とは迷信だそうです(マンガばかりよんで勉強が疎かになったら元も子もありませんが)。

どんな本であっても読書するのが重要でしょう。

社会経済文化的背景と得点に密接な関係

保護者の職業や学歴、家庭の所有物(本の冊数等)から作成されるESCS指標(社会経済文化的背景)が高いほど、生徒の得点(習熟度レベル)も高くなっています。

これは日本国内のみを対象とした別の調査結果とも一致しています。

【ニュース】「子どもを大学へ」親の期待にも収入・学歴(家庭の社会的経済的背景)が影響

当たり前と言えば当たり前です。家庭に活字本が溢れていれば子供が自然と手に取り、活字に慣れやすいでしょう。

学歴が高い保護者は学力もあり、子供の宿題に○×を付けたり学習指導もできるでしょう。高収入の家庭も多く、学習塾等も利用しやすいです。

平日にネット2時間以上で得点低下

1日にインターネットを30分~2時間ほど利用している生徒が平均得点のピークとなっています。更に長い時間を利用している生徒は、徐々に得点が減少しています。

特に1日6時間以上もネットを利用する生徒は、他の生徒より約1割も得点が減少しています。ネットの使いすぎで勉強時間が足らない(勉強していない)のでしょう。

また、日本では学校の授業や家庭での学習等において、デジタル機器を利用する時間や割合が著しく低いのも特徴的です。

教室の授業でデジタル機器を活用している話は殆ど聞きません。

時折先生がレジメを大型テレビに映したり、パソコン教室で動画を再生したという話を聞きます。デジタル機器を学習に活用しているとは思えません。

ただ、とある先生は「活用したいけど、時間も備品も足りない」と嘆いていました。こうした授業には準備に時間が掛かるでしょう。財政難の大阪市では十分な予算を組むのは容易ではないかもしれません。

また、先生方のITリテラシーは決して高くありません。授業参観中にパソコンでトラブルが発生して右往左往している中、とある保護者が手助けして復旧した光景を目撃した事があります。

日本でのデジタル機器の主な用途は「ゲーム」です。インターネット利用時間に対する得点の減少傾向は、他国と比べて早い時間から生じています。

他国ではインターネットを利用して学習する時間や習慣があるので、即座に学力低下へ直結していないのでしょう。

家庭でデジタル機器を利用して学習する習慣を身につけるのは、実は決して難しい話ではありません。タブレットに学習用アプリをインストールし、子供に使わせるのが簡単です。

例えばこの様なアプリがあります。我が家はこうしたアプリをインストールしたiPadを、時間を決めて子供に使わせています。

算数勉強 – 小学1年生 計算ドリル
小学生手書き漢字ドリル1026
Google Earth

同時にゲーム等で遊ばない様にする必要があります。ブラウザ(Safari)等に利用制限を掛け、使えない様にすべきでしょう。

数十年後に恐らく宿題等はパソコンやタブレットで行う時代になるのでしょう。今は過渡期です。

読書が大切、デジタル機器でも学習を、ネット・ゲームは時間制限

調査結果等をざっと読んだ限り、一部の新聞等に掲載されている「スマホで短文ばかりを読んでいるから読解力が落ちた」という結果は読み取れませんでした。

調査では「読書」に「本・ウェブサイト・デジタル機器による読書」も含んでいます。たとえ短文であっても、文章を読む事は重要でしょう。

読解力の低下に直結しているのはゲームです。「スマホでゲームばかりしていて読解力が落ちた」のではないでしょうか。

また、スマホの小さい画面では学習できません。無理に使っても極めて非効率的です。

家庭にてデジタル機器で学習するにはタブレットが最適です(クロームブックという選択肢もありますが、使いこなすのに専門知識が必要)。

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iPadならペンシルやキーボードが使えます。高い買い物ですが、これで読解力や学力が身につけば安い物です。

読書を習慣付けるのは決して容易ではありませんね。学校では図書館の利用を促す活動を行っていますが、すぐに結果が出る物ではないでしょう。

我が家では頻繁に書店へ連れて行っています。気になる本があれば、できる限り購入する様にしています。

どんな本(コミックも含む)でも、読んでいれば身につく物があるでしょう。