(保育士が一斉退職する千羽すぴか保育園

全国各地の保育所等で「保育士の一斉退職」が続いています。多くは管理職の言動等に不満を抱えています。新たに千羽すぴか保育園(静岡県掛川市)でも大半の保育士が年度末に一斉に退職します。

同保育所の運営法人の理事長は、2022年9月に送迎バス内に園児を置き去りにした「川崎幼稚園」の理事長も務めています。事故当時の理事長は退任しましたが、現在は息子が理事長です。

【ニュース・10/3追記】川崎幼稚園(静岡県牧之原市)で3歳園児が死亡 園バス内放置で熱中症か

 掛川市千羽の千羽すぴか保育園で、保育士の大半が3月末で一斉退職する見通しになったことが19日、関係者への取材で分かった。正規と非正規の保育士ら19人のうち15人が退職する意向を示しているとみられ、同園は新規採用で運営を継続する見込み。市は「安全で安心な保育環境が提供できているかどうかを注視していく」としている。

 関係者によると、園の運営方針が現場の理解を得られなかったことや、管理職との意見の隔たりなどが理由。市は2月末に10人超の保育士が辞意を固めている状況を把握し、3月12日に指導監査を実施した。市幹部は「採用予定者が決まっていて、4月以降の態勢も基準を満たしていることを確認した。現段階で問題はない」との認識を示した。

 市は園に保護者と園児の不安解消を促し、園は15日に保護者に対して状況を通知した。市や園には不安を抱く保護者から問い合わせがあり、市が19日までに受け付けた転園希望者は6人という。市は4月以降も定期的に指導主事を訪問させるなどして運営状況を確認していくとしている。

 園は社会福祉法人ゆにわ会が市の補助を受けて2022年4月、開園した。定員120人。ゆにわ会の増田多朗理事長は、22年9月に送迎バス園児置き去り事件が発生した認定こども園「川崎幼稚園」(牧之原市静波)を運営する学校法人「榛原学園」の理事長を務めている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/db6bfb34a6998f040a2efc20b64670ae161e363d

千羽すぴか保育園は、掛川市中心部からやや離れた中山間地に設置されています。周囲には数多くの工場があります。市中心部へも自動車で20分足らずで通勤できる地域です。

園の敷地は国内最大級の広さです。13000平方メートルもあります。一般的な大阪市立小学校より広い敷地です。羨ましい限りです。

実は同園は2022年4月に開所したばかりです。

社会福祉法人ゆにわ会(増田多朗理事長)が千羽地内に建設を進めていた千羽すぴか保育園が完成し、3月28日に現地で落成式が行われました。法人役員のほか市関係者など約80人が集まり、新たな園舎の完成を祝いました。

 保育定員は120人で、総事業費は5億5千万円。木造平屋建てで延べ床面積約830平方メートルの園舎は、天井が高く開放的な遊戯室を中央に配置し、そこを囲むように保育室が配置されています。

園庭や裏山などを含めると敷地面積は約1万3000平方メートル。国内最大級の広さを生かして、土いじりや水遊び、農業体験などができます。増田理事長は「ここで保育できることに喜びを感じている。地域のみなさんの幸せを願いながら保育を行っていく」と思いを語りました。

https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/gyosei/docs/226304.html

が、開所したから僅か2年(されど2年)の間に、多くの保育士が退職せざるを得ないほどに強い不満を抱えてしまいました。

退職した理由からは、管理職と職員との間に意見の大きな相違があったとうかがえます。管理職と一般職との意見が異なるのはありふれた話ですが、殆どの職員が退職するのはありふれた話ではありません。

保育士の一斉退職が行われやすい理由としては、「他の保育所等への転職が容易(保育士不足)」「主たる生計維持者では無い事が多い(無職になっても家族の生活は維持できる)」「人間関係が濃厚」といったものが考えられます。

一方、本件はよくある「一斉退職」では済まされないものです。

実は同園を運営している社会福祉法人ゆにわ会の増田多朗理事長は、2022年9月に送迎バス園児置き去り死亡事故が発生した認定こども園「川崎幼稚園」を運営する学校法人「榛原学園」の理事長も務めています。

事故当時は父親が学校法人理事長を務め、事故後に増田多朗が新理事長に就任しました。

沿革等によると、社会福祉法人ゆにわ会は学校法人榛原学園から分離した形式となっています。事実上の姉妹法人・姉妹園です。

https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/fs/3/8/5/1/8/8/_/supika.pdf

ただ、若干の疑問もわきます。少なくとも2022年3月から社会福祉法人ゆにわ会理事長を務めつつ、同時に学校法人榛原学園事務長も務めていました。両者は兼任できるものなのでしょうか。

事故後の9月7日に榛原学園から事故等に関する報告が無いことから、当時の事務長である増田多朗氏に連絡を取り、事故に係る記者会見で事故原因の一つに経営規模拡大による人手不足を掲げた真意及び静波・細江保育園等の今後の運営についての聞取りを行いました。

牧之原市長2023年1月6日定例記者懇談会

奇しくも増田事務長は記者会見にて「事故原因の一つは経営規模拡大による人手不足」と主張していました。同一人物が理事長を兼務している千羽すぴか保育園も経営規模拡大の一つであり、そして人手不足が起きようとしています。

4月以降は必要な保育士を新規採用して運営を継続する見通しです。安全な保育を行うにたる保育士を採用し、園運営を安定して継続できるのでしょうか。注意深く見守っていく必要があります。