先週末に太平洋岸を駆け抜けていった台風15号は、大阪には目立った被害をもたらしませんでした。大雨によって東海道新幹線が長時間に渡って運行が停止され、巻き込まれてしまった子育て世帯は非常に苦しい休日を過ごしたと感じていました。

しかしながら、更なる被害が静岡市(特に清水区)で発生していました。大規模な浸水と上水道取水口の崩壊です。

台風15号の影響で記録的な大雨となった静岡県内では、浸水被害が4000棟余り確認されていて、各地で建物の泥を洗い流すなどの作業が進められています。
静岡市清水区では、大規模な断水が続いていて、市と海上保安庁などが臨時の給水所を設けて対応しています。

静岡県のまとめによりますと、県内各地で浸水の被害が相次ぎ、26日午前6時の時点で、あわせて12の市と町で、床上浸水が1496棟、床下浸水が2534棟のあわせて4030棟に上っています。
静岡市によりますと、取水口に流木が詰まった影響などで静岡市清水区の8割にあたる約63000世帯で断水が起きていて、浸水の被害を受けた地域の復旧にも影響が出ています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220926/3030017596.html

大阪では全国ニュース枠の一部で報じられているだけです。それだけでは、広範囲に渡る深刻な被害が掴めません。ネットでローカル情報を調べると、想像をはるかに上回る被害が生じていました。

特に深刻なのは上水道の停止です。昨年の和歌山市の断水や4年前の大阪での台風等で経験した通り、上水道・電気・ガスが使えないと社会生活が完全に麻痺します。特に夏場の断水は耐えがたいです。

これにより、清水区を中心とした数多くの小中学校や保育所等が臨時休業に追い込まれています。

https://www.youtube.com/watch?v=sQn8zud6I_c

記録的な大雨 静岡市は26日に小中学校など臨時休校

断水や浸水の影響で静岡市は26日、市立の小学校と中学校のうち、全体のおよそ3分の1となるあわせて42校が臨時休校になりました。
また、市立のこども園と待機児童園についても、全体の4割近いあわせて22施設が臨時休園になりました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220925/3030017591.html

 市立小中学校は蒲原・由比地区を除く清水区の計38校(24小学校、14中学校)が休校する。このうち浸水被害を受けた3小学校(清水入江、清水有度二、清水)と3中学校(清水六、清水庵原、清水興津)は断水が解消した場合でも「運営を再開できるかどうか見通せない」(市学校教育課)という。

 このほか、道路被害や停電の影響で、葵区では水見色小と清沢小、梅ケ島小・中学校がそれぞれ休校する。

 市立こども園は蒲原・由比地区を除く清水区の計20園が休園になる。葵区では浸水被害に遭った服織こども園と周辺道路が被災した梅ケ島こども園が休園する。市こども園課は27日以降の対応を26日に決定する方針。

https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1128354.html

断水しているとトイレが使えず、給食調理も出来ません(自校調理の場合)。臨時休業するのは仕方ありません。大阪でも4年前の台風が襲来した直後には停電で、大阪北部地震後には設備損壊やガス供給の停止によって多くの学校等が臨時休業しました。

混乱に拍車を掛けているのは、情報発信の拙さです。

静岡市のウェブサイトを確認したのですが、学校や保育所等の臨時休業に関する案内は見つけられませんでした。各校のウェブサイトや保護者メール等で周知しているでしょうが、それ以外の住民への案内も必要です。学校等が臨時休業ならば保護者も自宅から動けず、様々な企業で欠勤が相次ぎます。学校等の臨時休業は各地域に密着した重要な情報です。

ツイッターも機能していません。静岡市危機管理総室ツイッターは、9月24日夜以降は投稿が途絶えています。静岡市公式ツイッターは、身内アカウントのリツイート・市長コメント・給水ポイントの案内(画像)を投稿したのみです。これでは情報発信が全く足りません。政令市とは思えない程です。

災害発生時に特に必要なのは、日々の生活を成り立たせるのに必要な地域情報です。これらは様々なアカウントが別個に情報発信し、各個人がリツイート等する形で広がっています。

情報感度が高い人はこうした情報をキャッチできますが、一般的な人がキャッチするのは容易ではありません。

そこで求められるのは、多くのフォロワーが存在する市公式アカウントです。こうした情報を行政をリツイートする事により、より多くの人に届けられるのは間違いありません。

静岡市の拙い反応を見る限り、水害対応は長期化するような気がしてなりません。当初は「自然災害」でしたが、徐々に「人災」と言われかねません。

学校等の臨時休業が長引くと、子供やその保護者に大きな影響を及ぼします。とは言え水道が使えなければ、どう考えても運営できません。いち早い水道の供給回復を望みます。