(事故が起きたと思われる登園バス、同園ウェブサイトより)
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(10/3追記)
園が1カ月ぶりに再開しました。
3歳の女児が送迎バスに取り残されて死亡した静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」が3日、保育を再開した。約1カ月の休園の間、送迎バスでの繰り返しの確認を定めた新しいマニュアルを作成したほか、2度の登園確認に加えて点呼をするなど再発防止のためのルールを決めた。安全確認のため、当面は送迎バスを運行しない方針という。
この日は午前8時すぎ、保護者らに手を引かれた園児が次々に登園した。「おはようございます」「久しぶりだねー」などと、園の職員らとあいさつを交わしていた。園児たちの一部は休園の間、近隣のほかの施設に預けられていた。
転園を希望する保護者もおり、市によると9月29日時点で、園児167人のうち1割の17人が手続きをしているという。
事故直後の記者会見で理事長・園長(当時)は「廃園手続を行う」旨を述べていました。しかし、この発言を反故にした形となりました。
亡くなった女児の遺族が廃園を求める気持ちは痛いほど理解できます。園を信用できず、他園へ転園する家庭の考えも同様です。
一方、園に馴染み、お友達や先生方に恵まれた園児が存在するのも事実です。仮に園が廃園となってしまうと、そうした関係が断ち切られてしまいます。保育先を探すのが難しい家庭もあるでしょう。
園を再開する上で必要不可欠な前提があります。安全確保と遺族への説明です。
当面は送迎バスの運行を中止する予定ですが、バス以外の様々な場面で事故等の危険性があったでしょう。「バスだけが危なかった。他は大丈夫。」という筈がありません。全ての安全対策が杜撰だったと捉えるのが自然です。
自治体は既に特別監査に着手しています。正式な報告書や勧告等は公表されていませんが、水面下で様々な指導等を行っている筈です。これらを踏まえ、万全の安全対策が講じられている必要があります。当たり前の事です。
また、遺族への説明も重要です。以前の発言を事実上取り消したわけです。こうした結論に至った経緯等を、遺族に何度でも説明する必要があります。
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残念な事件です。思わず「またか」と溜息が出てしまいました。
9月5日午後、静岡県牧之原市のこども園の通園バスの中で、意識不明の園児の女の子が見つかりました。女の子は病院で死亡が確認されていて、警察は置き去りにされた園児が熱中症で死亡した疑いもあるとみて、調べを進めています。
5日午後2時13分ごろ、牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で「バスの中で園児が意識がなく、呼吸もしていない」と園の職員から消防に通報がありました。
救急隊が駆け付けた際には、園児は心肺停止状態で運ばれた病院で死亡が確認されました。
死亡したのは、この園に通う女の子(3)です。警察によりますと、園児の女の子は5日午前9時ごろ、登園のためにバスに乗りました。
バスは園に着いた際に園児を降ろして、屋外の駐車場に止められていたということです。警察は女の子が登園の際にバスから降ろされず、置き去りにされたとみていて、女の子は発見までの5時間、バスの中にいたことになります。
5日は静岡県内各地で気温が上がっていて、こども園のある牧之原市(静岡空港)では最高気温が30.5℃を記録していました。
女の子の体に目立った外傷などはなく、警察はバスの中に置き去りにされた女の子が熱中症で死亡した疑いがあるとみて調べを進めています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4322aac7996bedf6ca0e0ff9e722b4232ef0966a
静岡市消防局によると、牧之原市で、バスの中で3歳の女の子が取り残され、倒れているのが見つかり、死亡した。
5日午後2時15分ごろ、牧之原市にある私立幼稚園で、送迎バスが帰りの出発の準備をしていたところ、バスの中で園児が倒れているのが見つかった。
倒れていたのは3歳の女の子で、救急車で病院に運ばれ、およそ1時間後に死亡が確認された。
原因は、熱中症とみられている。
事故が発生した学校法人榛原学園(理事長増田立義)認定こども園川崎幼稚園(増田立義園長)は静岡県牧之原市静波1398−2にあります。
牧之原市役所榛原庁舎に近く、旧榛原町の中心部にある幼稚園です。
園児バスで登園しているのは、3歳以上の希望者です。
希望される方は、満3歳より園児バスで送迎します。それ以外の場合は、保護者の方による送り迎えとなります。
https://www.kawasakiyouchien.ed.jp/info/
昨年7月に福岡県で登園バス内に園児が放置され、熱中症で死亡するという痛ましい事件がありました。
本事件でも同様の事態が起きたと推測できます。すなわちバス乗車時及び降車時の点呼不備、全員降車後のバス内点検の不実施、欠席連絡がなくして登園していない園児の所在確認、どれか一つでも行われていれば園児の不在に気づいた筈です。
バス内で倒れている園児に気付いたのは、午後2時15分頃でした。給食を食べ、降園する時間帯です。
それまで園児の不在に気付かなかったのが言語道断です。最も重要な「園児の所在確認」が為されていませんでした。
登園後にバス内に放置され、誰も気付かなかったのであれば、怒りしかありません。この通りならば、川崎幼稚園が子供を預かる資格はありません。
(追記)
登園バスには運転手(理事長)と派遣職員(70代女性)が乗車していたそうです。
警察によりますと、園児は、牧之原市静波の河本千奈ちゃん(3)で、救急隊が現場に到着した際には意識がない状態で、病院に運ばれましたが、およそ1時間半後に死亡が確認されました。
通園バスは18人乗りの大型のワゴン車で、園の近くの駐車場に止めていて、園児を自宅に送る帰りの送迎の際に職員が気付き、警察に通報したということです。
5日朝の送迎では、70代の理事長が運転していて、千奈ちゃんを含めて6人の園児と70代の女性の派遣職員の合わせて8人が乗っていたということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220905/k10013804521000.html
この日は特異な出来事がありました。普段は別の職員が園バスを運転していますが、この日はたまたま理事長が運転していたそうです。不慣れな理事長が降車時の点検等を怠り、力関係で劣る派遣職員が指摘できなかった可能性が強いです。
そうだとしても、欠席連絡も登園もしていない園児の存在に気づかなかったのが不思議で仕方ありません。園児の所在確認を日常的に怠っていたとしか考えられません。
誰かが適切に業務を行なっていたら、より早いタイミングで園児の不存在に気づく筈でした。気づけなかったのは、誰もが適切に業務を行なっていなかったからです。
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(9/6追記)
保育研究所の村山先生が問題点を端的に指摘しています。バス内の確認不足と出欠確認の不備です。
保育研究所所長 村山 祐一 氏:
通常であればきちっと親から預かってバスに乗せて、ちゃんと降ろして、保育施設に連れて行って、クラスの先生と確認すると。それで初めて園に届いたとなるわけです。
今回も、前回の九州の事故も共通しているのですけれども、まずバスの中のことを確認しなかった。それが、ひとつの大きな問題。
と同時に、必ず「朝の会」で出欠をとりますよね?そこで確認が取れていれば、いなければ電話しようとかなるわけですが、そこがちゃんとされていなかったわけですよね
報道等によると、バス乗車時は児童1人1人をチェックしていましたが、降車時は全員分をまとめてチェックしていたそうです。恐らくはその情報が各クラスへそのまま伝えられ、千奈ちゃんも(書類上は)クラスへ登園したものとされていました。
しかし、当日に園内で千奈ちゃんを見かけた人間は誰もいません。にも関わらず書類上は登園したとされています。書類と園児の食い違いに誰も気付きませんでした。こうした状態が常態化していたのではないかと疑っています。
昨日に様々な「たまたま」が重なってしまって事故が起きたとは考えていません。たまたまが毎日の様に起きており、事故が発生するのは時間の問題だったのではないかと考えています。
今朝からこども園及び理事長宅で家宅捜索が行われています。理事長・同乗職員・担任等が千奈ちゃんの存在・不存在を見落としていたのに加え、安全管理体制が機能していなかった事実を固めるものだと考えられます。
今後、同園は園児の減少が避けられません。昨年に同様の事故が発生した双葉保育園は、園児が半減しました。特に新規入園希望者が二の足を踏むのは当然です。