大阪市の北隣にある豊中市にて、来月から午前7時に小学校の校門を開けて児童を迎え入れる事業を開始します。「小1の壁」対策の一環です。
小学校の校門、朝7時に開放へ 大阪・豊中市が「小1の壁」対策で
大阪府豊中市は4月から、39ある全ての市立小学校で、午前7時に校門を開けて登校時間まで児童を体育館などで見守る事業を始める。朝早く出勤する共働き家庭などのニーズに合わせた。市は、関連費用として約7千万円を新年度予算案に計上した。
豊中市教育委員会によると、市立小学校の登校時間は午前7時半~午前8時だが、30分以上前から校門の前で待つ児童がいるという。市教委の担当者は「低学年の子どもがいる共働きの家庭では、1人で通学できるか心配で一緒に家を出ているようだ」と話す。
背景には「小1の壁」と呼ばれる問題があるという。共働き家庭の場合、小学校入学前までは延長保育を利用して午前7時から預けられたが、小学校の入学後はそれができなくなる。市教委の担当者は「親が時短勤務に変更したり辞めたりするケースもあり、対応が必要と考えた」と話す。
同様の事業を実施している東京都三鷹市では、昨年11月から市立小学校で校庭開放の時間を午前7時半に早めた。共働き家庭のニーズや、児童の健康づくりが理由。開門や見守りは民間に委託しており、保護者からも好評だという。
2001年の大阪教育大付属池田小(池田市)の児童殺傷事件を受け、文部科学省が策定した学校向けの危機管理マニュアルでは、登下校時以外は校門を施錠するよう求めている。このため、豊中市では4月から、警備員が午前7時に校門を開け、登校してきた児童を見守るために各校に2人ずつ民間スタッフを配置する。教員の勤務開始時間は午前8時半のままという。
背景にあるのは、子どもをもつ保護者が直面する「小1の壁」の問題です。
入学前までは、幼稚園や保育園の延長保育などを利用することで、午前7時から午後7時まで両親の共働きができていたものの、入学と同時に、預けられる時間が短くなり仕事を続けにくくなってしまいます。
早朝の出勤や夕方以降まで勤務していた保護者にとっては、勤務形態の変更を迫られるなどの対応が必要となり、共働きの子育て世帯が働く上で、大きな障害の1つになっています。
豊中市教育委員会の桑田篤志さんは、今回の取り組みについて「小学校に上がると同時に、保護者が勤務のシフトを見直したり、保護者同士や親族に協力を求めたり、泣く泣く子供に『鍵をかけて登校してね』と言って不安をもちながら通勤されたりするケースもある。場合によっては仕事を続けたくても休職するケースも考えられる。そういう方々が安心して子供を預け入れて通勤できるようにすることで、現在住んでいる方だけでなく、大阪府内への転居を考えている方が豊中市に住んでいただけることにつながる」と話します。
3人の子どもをもつ豊中市在住の母親は「小学校という安全な所に子どもを預けられるから助かります」と話すなど、市民からは歓迎する声が上がっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/81d93cd5a2ab448bd66a8c7117c3a6b3631a4630
豊中市は大阪市内への通勤に便利な地域です。市内の主要駅からは概ね30分以内で梅田に辿り付けます。大阪市内の主要なビジネス街への通勤時間は約1時間程度です。
小学校の早朝開門事業は、豊中市が令和6年度に実施する「こども政策の充実・強化」の一つです。
「子育てしやすさNO.1」で掲げた3つの柱にもとづき、取組みを進めてまいります。
柱の1つめ、保護者の皆さんの様々な働き方に対応できるよう「小1の壁」の解消に全力で取り組み ます。小学校では、こども園等の預かり開始と同じ 7時開門と
し、朝の見守り体制を整えるとともに、放課後こどもクラブにおいて、日曜・祝日の預かりを始めます。また、子どもたちが放課後こどもクラブで多様な経験を得ることができるよう、英語やプログラミングなどの習い事機能を順次導入します。(以下省略)https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/zaisei/r6yosankessan.files/r6siseihousinyousi.pdf
いわゆる「小1の壁」と呼ばれているのは、幼稚園・保育所等と小学校との様々な不連続性を示しています。
幼稚園・保育所等と小学校とは、子供との向き合い方や様々な制度や大きく異なっています。例えば保育所等は午前7時から開所している一方、小学校の校門が開くのは8時というのがその一つです。
また、先日はこの3月で保育所等を卒園する保護者から「今月までは時短勤務が出来たけど、来月からはできない。必要に応じて祖父母を頼ろうと思う。」との話をしたばかりです。
共働きしている子育て世帯における大きな時間制約要素は「勤務時間(通勤時間を含む)」と「学校・保育所等・学童保育等の開所時間」の2つです。
保育所等を朝7時から利用している家庭が、小学校進学を機に子供を朝8時まで自宅で待機させるのは容易ではありません。少なくとも小学校に慣れ、少しずつ1人で朝の身支度等が出来る様になるだけの期間が必要です。
むしろ保育所等に在園している当時は利用出来た時短勤務等が利用出来なくなってしまい、小学校進学後は子供が親から離れて過ごす時間が伸びるケースの方が多いでしょう。
ただ、子供には負担が掛かります。保育所等から降園した後はダラダラ過ごす事ができましたが、小学校から帰宅した後は明日の準備や宿題等をしなければなりません。小学校では椅子に座って授業を受け続けるので、身体面でも精神面でも負担が掛かります。
我が家でも小学校に入学した後は子供の疲労に気を遣いました。疲れてくると忘れ物が多くなったり、集中力を欠いたりしがちです。
朝7時に登校するならば、起床は朝6時となります。学童保育等から保護者と一緒に帰宅するのは夜6時や7時となるでしょう。それから夕食を食べ、翌日の準備を市、入浴したら、あっという間に9時や10時になってしまいます。子供にも親にも負担が掛かります。
保護者の働き方は様々です。小学校入学後も時短勤務が可能な勤務先もあれば、保育所等に在園している期間でさえ早朝から深夜まで働きづめという保護者もいます。
小学生が朝8時前後まで自宅でゆっくり過ごせるのが理想的ですが、現実は甘くないのが実情です。であれば、せめて小学生が早朝から安全に過ごせる場所を確保しようとする事業は理解できます。
でも、渦中の子供はどう考えているのでしょうか。早朝から学校で過ごすことを是としているのか、それとも本音では自宅でゆっくる過ごしたいのでしょうか。
我が家の子供達の朝はゆっくりです。7時頃に目が覚め、ニュースや子供向け番組を見ながら朝ご飯を食べ、8時前に学校へ向けて出発するのが日課です。
本当に大変なのは「中1の壁」
個人的に「小1の壁」以上に大変だったのは「中1の壁」でした。保育所等と小学校はまだ連続性や繋がりがありましたが、小学校と中学校は全くの別世界でした。考え方の違いに慣れるまでに長い時間が必要でした。
小学校はまだ保護者の予定等を配慮した上で諸日程を設定していますが、中学校はほぼ無視です。共働きしている子育て世帯への理解や解像度が余りに低く、今も呆気にとられています。特に「弁当持参の多さ」には辟易としています。
小学校入学時よりも中学校入学時やその後の方が親の手数は必要でした。お金も掛かります。