(9/14追記)
事故から数日が経過しました。保育園・園児家族、それぞれの行動を検討します。

【保育園側の問題点】
・登園予定だったのに登園していない園児への電話確認を怠った(自宅保育だと思い込んだ)。
・電話確認を行った旨の確認を園長が怠った。
・同様のミスは過去に何度も合った。

【園児家族の問題点】
・祖母が孫を保育所へ預けるのを忘れた。
・夕方まで家族の誰もが園児の所在を気に留めなかった。
・母親は出産間際だったが、土曜保育を利用していた。

【不幸な事象】
・当日は真夏のような炎天下だった。
・土曜日の病院は人の出入りが乏しく、車内に取り残された子供に誰も気付かなかった。

保育所と園児家族、双方に一定の問題点(過失)はあります。ただ、それぞれを比較すると、園児家族に重大な過失があるのは明らかです。

また、本事件に関する報道でまだ明らかになっていないのは、出産間際の母親が土曜日も保育所を利用していた事情です。ここに課題が収斂されているかもしれません。

(追記)
祖母は津山市一方の自宅を出発し、その前後で自宅近所に住む孫を自動車に乗せ、津山市津山口にあるコッコ保育園へ登園する予定でした。自宅から保育園まで直線距離でわずか350mでした。

陽翔ちゃんの自宅から保育園までは、直線距離でわずか350mほど。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad7700062d9a735bc7f4ba6e412320caa2b485fe

祖母と孫が一緒に登園する様になったのは、娘(孫の母親)が出産間近だった為でした。

近所の住民によると、出産を間近に控える娘の子育てに協力するため、陽翔ちゃんの保育園の送迎をしていたという柴田容疑者。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad7700062d9a735bc7f4ba6e412320caa2b485fe

既に産前休業期間に入っていれば、出勤の為に外出する機会もありません。病院へ出勤する祖母に登園を委ねるのは自然です。

保育所は母親が妊娠している事実は確実に把握しています。出産間際だった事も認識していた筈です。土曜日に登園していなくても、「今日は妊娠中の母親と一緒に過ごしている筈だ」と思い込んでも無理はありません。

事故当日に母親が出勤していたという報道はありません。普段は土曜出勤している保護者が出勤していない(もしくは産前休業中)場合に保育を行うかは、保育所等によって判断が分かれるでしょう(我が家がお世話になっている保育所はNGです)。

10日夜に保育所は保護者説明会を開催しました。保育所は登園する筈だった男児がいないのに気づいていました。しかし、保護者への電話確認等を怠っていました。

 この施設は、出席予定の陽翔ちゃんが欠席していたことを把握していましたが、本来必要な保護者への確認をしていませんでした。過去にも数回、確認を怠ったことがあったということです。(中略)

施設は、今後の対策について「欠席の確認の連絡をいつ誰がどのようにしたか記録して上司も確認する」「アプリを使って登園・降園の記録が保護者に分かるようにする」などと話しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c254d3b516bd43712d0f054b4837b91576889cd8

もしも保護者へ電話で確認していたら、男児の命が失われる事態は避けられた可能性が高いです。小さな子供を育てている家庭は保育所からの電話連絡に敏感です。保育所から携帯電話に掛けても繋がらなければ、職場宛に電話が掛かってきます。

課題となるのは「土曜日」です。園児が登園している保育所も、土曜日の人員配置は手薄だった筈です。平日は電話を掛けられる手があっても、土曜日は園児の保育で精一杯という園は少なくありません。

「土曜日だから安否確認を徹底する必要は無い」という言い訳は成り立ちません。平日でも土曜日でも、登園する予定だった園児が登園していないのは異変が起きている証拠です。

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「車内での子供の置き去り死」が悪い意味での夏の風物詩となってしまいました。

岡山県津山市で祖母が2歳の孫を保育所へ連れて行くのを忘れてしまい、車の中に置き去りにしてしまいました。9時間半後に発見された孫はぐったりしており、死亡が確認されました。

 岡山県津山市の屋外駐車場で9日、2歳男児が車内でぐったりした状態で見つかった後、死亡が確認された事件で、岡山県警は10日、自らの車の中に約9時間半置き去りにして死亡させたとして、過失致死の疑いで同市、介護助手の祖母(53)を逮捕した。「孫を保育施設に送るのを忘れてしまっていた」と容疑を認めているという。

逮捕容疑は9日午前8時15分~午後5時40分ごろの間、勤務先の病院の職員駐車場に止めた車の中に男児を置き去りにする過失で何らかの傷害を負わせ、死なせた疑い。熱中症の可能性もあるとみて司法解剖して詳しい死因を調べる。

県警によると、祖母は9月に入り近所の長女宅から保育施設まで男児を送り届けていた。9日も長女宅まで車で迎えに行ったが、勤務先に直行したとみられる。車の座席は3列で男児は祖母の背中側でチャイルドシートに座っており、車は施錠されていた。祖母が退勤時に気付き、同僚男性が110番した。

津山市の9日の最高気温は31・7度だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/313d2e9a817540d483523045258fe1c806c70f46

 9日夕方、津山市内の病院で駐車中の車の中で2歳男児がぐったりしているのが見つかり、その後死亡が確認されました。亡くなったのは津山市の目瀬陽翔ちゃん(2)で

警察では祖母で介護助手の柴田節子容疑者(53)が車内で陽翔ちゃんを長時間置き去りにしたものとみて過失致死の疑いで逮捕し経緯などを捜査しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bcdef89ced9bfda8b3fa587830556099722453b8

 発表によると、祖母は9日午前8時15分頃から午後5時40分頃までの間、勤務する同市の病院の職員用駐車場で、孫の男児(2)を所有する乗用車内に誤って放置し、死亡させた疑い。

仕事を終えて帰ろうとした祖母が、置き去りに気づき、同僚男性に110番を依頼。男児は、運転席の後部座席に設置されたチャイルドシート上に、シートベルトをしたままぐったりした状態で見つかり、間もなく死亡が確認された。車の鍵は施錠されており、駐車場には屋根はなかった。

男児は、祖母の自宅近くに住む娘の長男で、娘から男児を保育園に送るよう依頼されたが、男児を車に乗せたまま、出勤したという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b9270e9ab2ee755ce1833566012292ae9c3242e2

お悔やみ申し上げます。

他の同種事案と比べ、本件の特徴は2点です。1点目は孫の送迎をつい最近から頼まれて行っていた、2点目は土曜日です。

祖母が孫の送迎を娘から頼まれたのは、9月に入ってからの事でした。まだ1か月すら経っていません。保育所等へ送り届けたのは未だ数回だけでした。

2歳の子を保育所等へ送り届けるのは大変です。娘から孫と荷物を預かり、ベビーシートに乗せ、保育所等へ移動して下ろし、荷物をロッカー等に入れ、検温し、保育士へ引き渡す作業が必要となります。まだ50代とは言え、不慣れな祖母はぐったりしてしまうでしょう。

それと同時に、まだ頭の中に「出勤前に保育所等へ立ち寄る」というルーチンが出来上がっていません。何かの弾みで「保育所等で孫を預ける」という項目が抜け落ちてしまいやすい時期です。

もう1点は土曜日です。恐らくは重大な結果を招いた、最大の要因です。平日と比べ、土曜日は様々な人間・事業所の作業手順が違ってきます。

まずは保育所等です。平日と比べ、出勤する職員数は必要最低限まで減少します。平日は所定時間までに無連絡で登園しない園児に対して電話等で安否確認を行っていても、土曜日は手が回らない保育所等もあるでしょう。

病院へと出勤した祖母の同じです。病院は平日と土曜日では人の出入りが全く違います。出勤する時間帯や作業内容も異なってくるでしょう。平日との違いに頭がいったいになっていた可能性は否定できません。

2歳の孫は病院の駐車場に置き去りにされていました。平日の病院駐車場は頻繁に出入りがあります。大きな病院ならば警備員が巡回しています。病院に訪れた職員や患者・家族等の誰かが気付いた可能性が高いです。

しかし、土曜日は閑散としています。外来を閉じている病院もあるでしょう。出入りは最低限です。平日と比べて気付かれる可能性は大幅に減少してしまいます。

2歳児は行動や発語が活発になる年齢です。しかし、車内から人に助けを求めるだけの知能はありません。車は3列シートでした。車高もあったでしょう。身振り手振りでアピールしても、車外の人間はなかなか気付きません。ましてや人が少ない土曜日でした。

そして昨日の津山市は暑い1日でした。最高気温は31.7度でしたが、屋外駐車場に止められた車内は高温になっていた筈です。

どうすれば不幸な事故を防げるのか、すぐに妙案が思いつきません。土曜日も保育所等からの安否確認を徹底するのは一つの方法ですが、保育所等へ登園する以外の所用で置き去りにしてしまうケースは抜け落ちてしまいます。

一つの方法は動体検知センサーかもしれません。我が家は一部の部屋の屋内照明に利用しています。

施錠された車内で物体が動いたら、何らかの警報音等を発する物です。強い光が点滅するタイプでも良いでしょう。盗難防止センサーとの共通点が多いので、両者を兼ね備える装置があれば有用です。

短い夏場に全国各地で意図せぬ子供の置き去りが頻発しています。「気を付ければ防げる筈だ」という精神論では無く、技術で防ぐ段階です。