(亡くなった田川星華ちゃん

「母親の交際相手による連れ子殺し」「児相は後手後手」という事件を何度目撃すれば良いのでしょうか。今度は奈良県橿原市で発生しました。

交際相手の娘である田川星華ちゃん(4歳)に暴行を加えて死亡させた疑いで、大阪府門真市在住の山下翔也容疑者が逮捕されました。

山下翔也容疑者、フェイスブックより

事件前に医療機関から虐待を疑う通報があった事から、児相が適切に対処すれば防げた可能性がありました。事案を時系列でまとめました。

年月日出来事
2020年9月星華ちゃんと母親(事件当時28歳)が三重県から奈良県柏原市へ転居した
10月虐待を疑う通報があった。虐待は確認されなかったが、児相や橿原市は「要支援児童」と判断し、同市が見守りを担当した。
死亡までの間、医療機関等から虐待を疑う通報が3回あった。
母親と山下容疑者(事件当時27歳)がSNSで出会った。
4月2人が交際を開始した。山下容疑者が週末に2人の自宅を訪れていた。
山下容疑者が母親の目の前で星華ちゃんの顔をつねる等をしていた。
星華ちゃんは「怖い」と訴え、嫌がっていた。
5月4日星華ちゃんに暴行を加えたケガをさせた。
5月12日歯科衛生士が左目の充血や左頬の腫れに気づいた。歯科医に星華ちゃんは「山下容疑者に目を削がれた」、母親は「山下容疑者が突いた」と返答した
5月12日19時頃歯科医が虐待の疑いがあると児童相談所(奈良県高田こども家庭相談センター)へ通告した
当直職員が児童福祉司へ連絡したが、土日明けに対応すると判断した。48時間以内の安否確認ルールに反し、管理職へも報告しなかった。
5月17日児相から報告を受けた橿原市に対し、母親は「山下容疑者が髪を乾かしている時に手が当たった」と答えた。
市は「母親との関係を優先する」「世帯構成員ではない」という理由から、山下容疑者や星華ちゃんから聞き取りしなかった。
児相は「虐待では無い」と判断した。
6月17日夜?母親・その友人2人・星華ちゃんの4人でドライブや買い物をした。
6月18日午前2時頃コンビニエンスストアの防犯カメラに星華ちゃんが映っていた。迎えに来た山下容疑者の車に乗るのを嫌がっていた(この後に暴行?)。
6月18日未明~朝山下容疑者が星華ちゃんの腹部等を圧迫する暴行を加えた。
6月18日朝星華ちゃんが突然嘔吐し、徐々に反応が薄くなった。
6月19日午後母親が星華ちゃんを病院へ連れて行った。
6月19日16時頃死亡が確認された。死因は腹膜炎、十二指腸に穴が開いていた。
星華ちゃんの頬やおでこに不自然な皮下出血の跡があるのに病院が気づき、通報した。
8月5月4日に星華ちゃんの顔にケガをさせた疑いで、山下容疑者が逮捕された。
9月5日傷害の疑いで山下容疑者が起訴された。
9月6日母親の交際相手である山下翔也容疑者を傷害致死容疑で逮捕した。
母親のスマホには顔にアザがある星華ちゃんの写真が複数保存されていた。

一連の経緯からは、橿原市の杜撰な対応が浮き彫りとなります。歯科医から通告を受けた直後に対応していたら、母親だけでなく星華ちゃんや山下容疑者から聞き取りを行っていたら、異なる対応が執られていたでしょう。

「世帯構成員ではない」と言う理由で山下容疑者の聞き取りを行わなかったのは驚きを通り越して呆れ果てました。交際相手による連れ子への暴行等がどれだけ頻発しているか、児相は知らなかった訳がありません。

そもそも世帯構成員が変わるのは黄信号です。構成員の追加が切っ掛けとなり、虐待が発生した事件は無数にあります。神戸市で6歳児が殺害された事件もその一つです。

【神戸6歳虐待死・7/23更新】逮捕歴ある穂坂大地容疑者が穂坂修君への暴行主導か(時系列)

また、滋賀県で兄が妹を死に追いやった事件では、兄の同居を知った大阪市児相が妹を自宅へ戻すのを最後まで渋りました。

この時、大阪市児相は母親に対し「もし兄が同居するなら、実愛ちゃんの引き取りは認められない」と警告した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c524bf2e12c32ca2cd1d10ec33777d9458aceff5?page=2

橿原市や児相が適切に対応していたら、救えた命でした。そして、適切に対応できた事案でした。

また、母親も母親です。橿原市に転居した直後から虐待の疑いが持たれていました。午前2時に4歳児と一緒にコンビニにいるのも異常です(ここで通報されてもおかしくない)。更には虐待によるアザが残っている顔を写真撮影して保存していました。

捜査の進展次第では、母親も立件される可能性があるでしょう。交際相手だけで虐待していたのではなく、2人で星華ちゃんを虐待していた様に見えます。