レイモンド淡海保育園(大津市)に通う保育園児が散歩中に交通事故に巻き込まれました。園児2人が死亡、園児1名が重体、多数の園児や保育士が重軽傷を負いました。大惨事です。

【ニュース・5/7追記】散歩中の保育園児の列に車、レイモンド淡海保育園(大津市)の2歳児2人が死亡、2人が意識不明

子育て世帯・保育所・学校はこの話題で持ちきりです。

園児2人死亡、1人重体、8人重傷、2人と保育士3人軽傷

被害者の名前や状況が詳しく報じられています。

警察によりますと、この事故では2歳から3歳の園児13人と引率の保育士3人の合わせて16人全員が病院に運ばれ、このうち伊藤雅宮くん(2)と原田優衣ちゃん(2)が死亡しました。

また、時瑾潤くん(2)が意識不明の重体となっています。

骨を折るなどの大けがをしたのは、桐畑瑠奈ちゃん(3)、伊藤正修くん(2)、宮本煌生くん(2)、土井鈴菜ちゃん(3)、鈴木杏ちゃん(2)、西脇優毅くん(2)、山下心椛ちゃん(2)、草野希心ちゃん(2)の8人です。

土肥花波ちゃん(2)と、山口椿ちゃん(2)の2人は軽いけがを負いました。

園児を引率していた保育士の永田千尋さん(27)と、近藤絢子さん(33)、それに山口千夏さん(47)の3人も軽いけがをして病院で手当てを受けました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190508/k10011908651000.html

大津市の伊藤雅宮(がく)ちゃん(2)、原田優衣ちゃん(2)が死亡した。雅宮ちゃんは頭や腹を強く打ち、優衣ちゃんは心破裂の状態だった。

時瑾潤(じきんじゅん)ちゃん(2)が脳出血などで意識不明で、一時意識不明となった女児(3)が頭蓋骨骨折などの重傷。ほか7人の園児も腕の骨折や肺挫傷などの重傷で、園児2人、引率の27~47歳の女性保育士3人が軽傷を負った。

https://www.nikkansports.com/general/news/201905080001196.html

心からお悔やみ申し上げます。

亡くなった園児2人は即死に近い状況だったのでしょう。

事故現場でトリアージが行われ、生存可能性が著しく低いことを表す「黒タグ」が取り付けられました。

治療優先度低い黒タグ2人「悔しい」 園児死亡事故でトリアージ

事故の救助活動にあたった大津市消防局が京都新聞の取材に応じ、緊迫した当時の現場状況を説明した。

「車が突っ込んで、多数の人が倒れている」。通行人の男性から最初の119番があったのは午前10時16分。9分後、現場に到着した救急隊員が目にしたのは突っ込んだ車の近くで泣きわめいたり、うずくまったりする園児や保育士の姿だった。

負傷者が多数いたため、隊員は医師とともに、治療の優先度を判定する「トリアージ」に取り掛かった。同50分、医師が1回目の結果を出した。けがの状況から、助かる可能性が極めて低いことを示す黒いタグを付けた園児が既に2人いた。その後、2回判定したが、黒いタグの数は変わらなかった。

正田正道消防総務課長は「黒を付けるのは悔しい判断だったと思う。できる限りを尽くしたが…小さな命を救えなかったのは残念だ」と話した。

https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190509000032

園児の被害が深刻なのは、車道側に立っていた保育士を迂回する形で軽自動車が突っ込んできた為だと考えられます。

事故原因は右折車両に?

昨晩遅く、南下直進した軽自動車の運転手が釈放されました。一方、北上右折した普通車の運転手は依然として身柄を拘束されています。

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(6/14追記)
釈放された直進車の運転手は、不起訴処分となりました。右折車の運転手は起訴されています。

 地検は捜査の結果、女性が運転する直進車について「突然右折してきた車に衝突されて事故に至った」と判断。女性は法定速度以下で走行し、前方不注視もなく、青色信号で交差点を直進しようとしていたとし、「刑事責任を問える過失は認めがたい」とした。

 事故では、右折車の運転手、新立(しんたて)文子被告(52)が5月17日、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪で起訴されている。(

https://www.asahi.com/articles/ASM6G5QCJM6GPTIL01S.html

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県警は、車を運転していた無職の新立(しんたて)文子容疑者(52)=同市一里山3丁目=と無職の下山真子(みちこ)さん(62)=同市=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕。下山さんについては、8日夜に釈放された。

県警によると、交差点で右折しようとした新立容疑者の乗用車と、直進してきた下山さんの軽乗用車が接触。その後下山さんの車が、散歩中に信号待ちをしていた園児らがいる歩道へ突っ込んだとの目撃証言があるという。

新立容疑者は「前をよく見ていなかった」、下山さんは「右折車をよけようとハンドルを左に切った」との趣旨を供述。2人は、それぞれ別の大型量販店から帰宅する途中だったという。2人にけがはなく、同乗者もいなかった。

https://www.asahi.com/articles/ASM584SD0M58PTIL017.html

双方とも青信号、ブレーキ痕なし…2園児死亡

大津市の52歳の女が運転の乗用車が右折中、対向車線を直進してきた無職の女性(62)運転の軽乗用車と交差点で衝突。軽乗用車は、その弾みで歩道の園児らをはねた。信号は双方とも青で、路面にブレーキ痕はなかったという。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190508-OYT1T50295/

保育園児の列や車両の位置関係は、京都新聞に詳しく掲載されています。

https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190508000146

双方の運転手や目撃者は、いずれも「当時は青信号だった」と証言しています。

これらを総合すると、北上した普通車が青信号にも関わらず交差点を右折しようとし、南下した軽自動車が避けきれずに衝突した可能性が濃厚でしょう。

現場は交通量が多い幹線道路です。南下する車両が見落としたか途切れたと北上する普通車の運転手が誤認し、右折しようとしたと推測されます。

園児が信号待ちしていた場所は?

昨日、園児達は散歩する為に外出していたそうです。ここで交差点を渡り、湖岸沿いを歩く予定だったのでしょう。

では事故当時、園児達は信号が青になるのをどこで待っていたのでしょうか。強く推測する資料がグーグルストリートビューに掲載されています。

現場は歩車分離された交差点の一角です。車道側から遠く離れた場所にて、保育士が車道側に立って園児を守るかのような態勢を採っています。

2歳児クラスは「魔の2歳児」と呼ばれる年齢を受け持ちます。好き勝手な方向へ歩き出す子供も多く、屋外を歩く時は一時も目を離せません。

多くの園児の安全を保つには、車道側からできる限り離れた場所で待機するのは当然でしょう。私は日常生活でも同様に行動しています。

ただ、事故当時はストリートビューと異なった場所で待機していたと推測されます。

下記写真で軽自動車が止まっている場所とフェンスが破損している場所を見て下さい。


https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190508002430.html

横断歩道と歩道が接している場所を経由し、フェンスへ激突した様な位置関係です。ストリートビューで待機していた場所には突っ込んでいません。

また、この交差点は非常に交通量が多いにも関わらず、コーナー部分には縁石があるのみでした。ガードレールが設置されていません。

ただ、縁石部分にガードレールが設置されていたとしても、軽自動車はそれらを避ける角度で走行してきました。

もしもストリートビューと同じ場所で待機していたら、すんでの所で事故を避けられたかもしれません。ガードレールが設置されていたら、その影で待機する方法も考えられたでしょう。

記者会見

昨日18時から社会福祉法人檸檬会・レイモンド淡海保育園(若松ひろみ園長)が記者会見を行いました。

https://www.youtube.com/watch?v=SsIKI6aqkhY

文字起こしを引用します。

レイモンド淡海保育園 会見の記者の質問
NHK「園長先生にお伺いしたい。亡くなったお子さんはどういうお子さんだったのか」
この質問で顔を押さえて号泣する園長に
報道ステーション「園長先生にお伺いしたいんですけど、おさんぽの時の事故だったと言うことですが、どんなコースでどこに行く予定だったのか」
園長先生答えられないので、副理事長が代わりに答える
報ステ男「保育士が3名ついていたと言う事ですが、どういった対応を心がけていたのか」
報ステ男「最後に園長先生にお伺いしたいのですけど、園児たちにどういった声を掛けてあげたいでしょうか」
園長先生はごめんなさいしか言えない状況
京都新聞男「信号待ちをしていた時の隊列はどのようなものであったか」
京都新聞男「園児たちは手を繋いでいたのか。通常はどうなっていたのか」
副理事長が回答
園長先生「(信号で)待っている時にも端っこの方で待っているようにしていた」と小声で説明
京都新聞男「被害に遭われたお子さんたちは何組とかそういうのは」
園長先生「うさぎ組」
京都新聞女「何時に園を出発して、何時に戻る予定だったか。うさぎ組全員が参加していたのでしょうか」
園長先生「今日は2名が欠席でしたので、13名が参加していました」
京都新聞女「時間についてはどうでしたでしょうか」
京都新聞女「散歩のコースを通常どうしてたか教えて下さい」
読売新聞男「もうちょっと散歩について聞きたいのですが、本来なら横断歩道を渡って琵琶湖側の緑地で遊ぶのでしょうか」
読売新聞男「ざっと計ったら1km位歩くのですか。近江大橋の下側あたりが目的地なんですか」
読売新聞男「レイモンドさん自体には園庭がないので、外遊びの時にはそういう琵琶湖の緑地帯の所で遊ぶと言うのがほぼ毎日だったのか」
読売新聞男「今回はうさぎ組だったのだが、他の組もほぼ毎日は一回外遊びに出たのか」
読売新聞男「今回の事故現場は点字ブロックの道路の反対側を歩く、信号待ちの時でも端で待つというすごく意識を徹底しているかのように思えますが、あの場所は危険な場所だと昔から認識されていたのでしょうか。危険ポイントだと言う事でそういう認識されていたのでしょうか」
産経新聞女「園長先生にお伺いしたいのですけど、さんぽに出発する直前の様子はどんなものでしたでしょうか。いつもと変わらずに出て行かれたのでしょうか」
園長先生また号泣で顔を机に伏せて号泣

https://king.mineo.jp/my/26e73576a229a5f4/reports/51788

各社の記者が被害に遭ったクラス、散歩コース、外出時の保育士の安全意識等を訊ねるのは当然でしょう。私だったら、これまでに交差点等で交通事故に遭った経験の有無を訊きます。

ただ、大切な園児を失ってしまった直後の園長先生に訊ねる言葉としては、余りに厳しすぎます。まるで不祥事を起こした企業に対する吊し上げ会見だとも感じました。

保育園が園児を守れなかったのは事実です。しかし、事故の責任の大半は加害者たる車両運転手にあります。相手が違います。

また、号泣した事を責める意見もあります。

同園の定員は70名です。9年前に開設された、規模の小さな保育所です。

この規模だと、全ての保育士は全園児の顔と名前を一致させられるでしょう。園長先生なら尚更です。各園児の日頃の様子まで認識していた筈です。

保育所ウェブサイトに「園長の挨拶」が掲載されています。

 レイモンド淡海保育園は日本一大きい湖琵琶湖のほとりにあります。四季折々に移り替わる美しい自然豊かな場所で、比叡山を背に琵琶湖のさわやかな風を毎日感じ、日ごと変わる美しい夕日を毎日保育室から眺めることのできる素敵な所です。

子育ては心育て
1人前の大人になるためには、1人前の心を持った大人に育って欲しいと願っています。
健康な心と体、自立心、協同性、道徳性、規範意識の芽生え、社会生活との関わり、思考力のの芽生え、自然との関わり、数量・図形・文学等への関心、言葉による伝えあい、豊かな感性と表現など卒園時までに育って欲しい力を育てていきます。

人との繋がり、社会との繋がり、あいさつ、礼儀作法、利他の心、多様なコミュニュケーション、人として大切なこと、一人ひとりに寄り添い、丁寧な保育を心がけ、心の育ちを大切に、相手のことを思いやり、自分がされて嫌なことはしない、してもらって嬉しいことを相手にもしてあげる、人に大切にされることで、自己肯定感を持てる子どもを育てていきます。

https://www.lemonkai.or.jp/school/nursary/leimond-oumi-hoikuen/

記者会見の最中、園長先生の頭の中には元気だった園児達の様子が横切ったのでしょう。我が子の様に接してきた園児を失い、子供と保護者への責任感から涙するのは仕方ありません。

報道では「園児に対する心のケア」を行うと報じられています。しかし、より心配なのは保育士、そして園長先生です。自責の念から誤った行動をしない様に、関係者が注意する様に願います。

詳細情報は法人フェイスブックで公開中

事故に関する情報は、運営法人たる社会福祉法人檸檬会のフェイスブックで詳しく公開されています。


https://www.facebook.com/leimondchildren/

速報の公表方法や記者会見の案内文等、非常に手慣れていると感じました。大手企業の広報出身者が在籍しているのか、それとも慣れた顧問弁護士が仕切っているのでしょうか。

(追記)
最新の情報をこちらに掲載しました。

【大津保育園児交通事故】遺族がコメント公表、右折車両の前方不注意、保育所に不適な場所?