令和5年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト2023)の結果が公表されました。

令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料
https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/

最も気になるのは、毎年の様に全国最低水準に留まっている大阪府・大阪市の点数・順位です。

まずは大阪府の小学生です。47都道府県中26位でした。

国語・算数共に平均点に1点足りなかったものの、一昔前を思うと信じられない順位と点数です。

なお、上位は石川県・秋田県・福井県・東京都・京都府です。例年通りの顔ぶれです。

次は大阪府の中学生です。驚くことに47都道府県中22位でした。半分より上に入ったのは史上初かもしれません。

ただ、国語・数学・英語の3科目はいずれも全国平均を下回っています。3科目合計の数字が全国平均を上回ったのは13都府県のみでした。

一部の都府県が平均を大きく超えるのに対し、多くの道府県は平均点未満に沈んでいます。都道府県単位でも二極化が進んでいます。

上位は東京都・石川県・福井県・愛知県・神奈川県でした。小学校と比べると、大都市を抱える都県が上位に増えています。特に東京都・神奈川県・愛知県は高校受験が激しい地域として有名です。高校受験に向けた通塾者が多く、平均点が引き上げられているのでしょう。

3番目は大阪市の小学生です。20政令市中13位でした。

国語・算数共に全国平均を僅かながら下回っていますが、全国最低だった過去を思うと雲泥の差です。僅かながらであっても学力向上という結果が出ているのでしょう。

最後は大阪市の中学生です。残念ながら20政令市中19位でした。都道府県に混ぜると38位です。大阪市教委が最重要ポイントに掲げている「学力向上」が表れていません。

どうしてこれほどまでに小学校と中学校で異なる結果が出ているのでしょうか。第一に小学校と中学校での学習指導の違いがあるでしょう。

学校によって差異はありますが、我が家がお世話になっている小学校では丁寧に指導してくれます。授業中に分からない点を詳しく解説し、毎日の様に宿題を出し、回収した宿題にコメントや丸付け等を付して返却するのが専らです。本当に細やかです。

一方、中学校は大ざっぱです。我が家がお世話になっている中学校では授業は決まったスケジュールで進みます。分からない生徒は分からないまま、簡単な生徒には簡単すぎます。小学校と比べて満足度は非常に低いです。

宿題や課題は中間/期末テスト前後を期限としてまとめて提出させています。細かく目を通してくれる先生もいれば、適当にはんこを押す先生もいます。子供の解答や丸付けが明らかに違っているのに見逃して「よく出来ました」スタンプを押した先生に対しては、教務主任を通じて抗議したぐらいです。

ただ、中学校の先生は余りにも忙しいです。小学校と比べて、特に部活動や生徒指導に掛かる労力が大きすぎます。夏休み中も何度も部活動の顧問の先生から電話がありました。「○○町会から○○での遊び方に対する苦情がありました」というメールも届いています。

また、家庭環境による違いも大きいです。具体的には「通塾」です。小学校の学習内容は塾に通わなくても概ね理解できる児童が多いのですが、中学校は塾通いしないと難しい面もあります。

が、大阪市は生活環境が厳しい子育て世帯が多く、通塾する費用が厳しいのが実情です。塾代助成制度もありますが、成績向上に資する程に通塾できるわけではありません。助成制度を知らない家庭もあります(支援制度が必要な家庭ほど行き届かない)。

そうした家庭の多くでは、家で集中して学習するのが難しいでしょう。現在の中学生が学んでいる内容は意外に難しく、学生時代に相当勉強した親で無ければ教えられません。

学力向上には授業と家庭学習の充実が欠かせません。が、大阪市の中学校では上手く回っていないというのが率直な感想です。