1カ月ほど前ですが、この様なツイートが話題になりました。
「世帯年収・両親の学歴と子供の学力」に関する図表です。定期的に盛り上がっていますね。
塾でえげつない参考資料見せられたので、「えげつないですね」つった。
世帯年収と学力の関係。知ってル pic.twitter.com/W30tWptVMJ— こゆるぎ岬 (@o_thiassos) July 20, 2020
似た感じというか、そのものですねw
直感的に、父親の最終学歴よりも母親の最終学歴の方が効いてくるのでは?と思っていましたけれど、データがみれて満足しました。 pic.twitter.com/YFcSHuYWqh— Takashi Okumura (@tweeting_drtaka) July 21, 2020
ネタ元は一般にも公表されてます。
平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究
https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_factorial_experiment.pdf
世帯年収はこの様に掲載されています。
図表2-1-65からは、概ね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られるが、その関係は必ずしも直線的ではなく、中学の国語A、数学A、Bについては、1500万円以上の世帯よりも1200~1500万円の世帯の方が生徒の学力が高い。
https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_factorial_experiment.pdf#page=43
両親の学歴部分はこちらです。
保護者の最終学歴については、学歴が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られる。父学歴と比較すると、母学歴のほうがより強く子どもの学力に関係している。例えば、数学Bについてみると、父親の最終学歴が「高等学校」だと正答率が37.6%、「大学」になると51.4%となる。それに対し、母親の最終学歴が「高等学校」だと正答率が36.6%、「大学」になると58.1%であり、その差は父学歴による差よりも大きい。
世帯年収が1500万円を超える中学生の学力が低いしているのは、この世帯年収層が私立中学校へ抜ける影響が大きいでしょう(調査対象は公立校)。
母親の学歴の方がより強く関係しているのは、父親より子供の勉強や生活習慣等を指導する時間が長い為でしょう。
子供の学年が進むにつれて、学校の学習内容は難しくなっていきます。教えられる家庭とそうでない家庭の差は非常に大きいです。
大阪市等の都市部の小学校では、教員より児童の両親の方が入試難易度が高い大学を卒業しているケースも少なくないでしょう。
世帯年収や両親の学歴はSES()という合成変数で表されます。
SESが高いほど子どもの学力は高い。Highest SESとLowest SESとの間には最大で正答率23.9ポイントの差(数学B)がある。
こうした話は、以前にも当ウェブサイトで取り上げた事があります。
コロナ休校による学力差の拡大
こうした社会経済的背景の違いが、コロナ禍によって学校が休校となった児童生徒へ非常に強く影響している恐れが生じています。
学校という均一化された空間であれば、先生が子供達の学力等に応じて平等かつ細かく指導されています。
しかし、各家庭という閉ざされた空間では、家庭環境が子供達の学力へストレートに反映されてしまいます。
休校明け以降、お世話になっている学校では学力別の授業を行う機会が増えたそうです。同じ教室で授業を行うのが難しいほどに学力の差が生じてしまったそうです。
休校期間中に子供にしっかりと学習させた家庭や自分から進んで学習する子供もいる一方、テレビやゲームにのめり込んで寝食を忘れた子供もいるそうです。
学力上位層は維持した反面、学力中位層・下位層は維持できなかったのでは無いかと危惧しています。
生じてしまった学力の差を追いつくのは容易ではありません。勉強慣れしている先行組以上の学習が必要です。
大阪市に限らず、SES等による学力の差が更に大きくなっている可能性が高いでしょう。来年に行われる全国学力テストの結果は恐ろしい事になりそうです。
- 投稿タグ
- 学校