酢酸鉛(wikipediaより)

前代未聞です。遊びに来た親戚に酢酸鉛入りの粉ミルクを提供し、親戚の女の子に鉛中毒の傷害を負わせました。

 授乳用の粉ミルクに有毒の「酢酸鉛」を混入して親族の赤ちゃんに飲ませ、鉛中毒などの傷害を負わせた疑いで香川県坂出市の37歳の女が逮捕されました。

 傷害の疑いで逮捕されたのは坂出市に住む無職の三好貴子容疑者(37)です。

 警察によりますと、三好容疑者は、2022年7月ごろから8月下旬ごろまでの間、当時の自宅で保管していた授乳用の粉ミルクに酢酸鉛を混入。親族の女児(当時生後2~3カ月)らが自宅に来た際、母親などを介して飲ませ、約2カ月の治療を要する慢性鉛中毒による貧血や、加療期間不明の鉛中毒の傷害を負わせた疑いです。

 警察の調べに対し、三好容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、「酢酸鉛はネットで調べて自分で作った」と供述しているということです。

 2022年8月下旬、粉ミルクの中に異物があることに赤ちゃんの母親が気づき、製造会社に現物を送って調べたところ、酢酸鉛の混入が判明しました。そして、三好容疑者が「私です」と打ち明けたため、両親が警察に被害届を出したということでです。

 警察が酢酸鉛の製造方法や犯行の動機などを調べています。

https://news.ksb.co.jp/article/14937912

鉛中毒は本当に恐ろしいです。子供が鉛を大量に摂取すると、最終的には痙攣や昏睡に陥ります。知的障害、けいれん性疾患、攻撃的行動異常、発達退行、慢性の腹痛、貧血を引き起こすこともあります。

鉛中毒の典型的な症状としては、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行協調障害、食欲減退、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、骨や関節の痛み、高血圧、 貧血などがあります。腎臓の損傷が、しばしば無症状のうちに発生します。

幼児が鉛にさらされた場合は、ぐずるようになるほか、数週間かけて注意力の持続時間が短くなり遊びの活動が低下していくことがあります。その後、脳症が突然発生して数日にわたり悪化していくことがあり、持続的な激しい嘔吐、協調運動障害と歩行困難、錯乱、眠気がみられ、最終的にはけいれん発作や昏睡が生じます。小児の慢性鉛中毒は、知的障害、けいれん性疾患、攻撃的行動異常、発達退行、慢性の腹痛、貧血を引き起こすことがあります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/25-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E9%89%9B%E4%B8%AD%E6%AF%92

酢酸鉛は非常に水に溶けやすい性質を有しています。20度で水100mlに44.3gも溶けます。粉ミルクを作る水温は80度前後です。酢酸鉛は簡単に溶けてしまいます。まして無色結晶ならば、全く気づけません。

酢酸鉛
劇物:(鉛化合物)
措 置
(性状)無色結晶。75℃で無水物になる。分解点200℃。水に溶けやすい(20℃で水100mlに44.3g溶ける)。グリセリンに可溶。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/55140.pdf

1歳未満の乳児は頻繁に医療機関を受診します。体調不良で受診した医師が異常に気づく、様々な検査を経て、鉛中毒だと判断されたのでしょう。

乳児と母親は容疑者の自宅に遊びに来て、かつ容疑者宅で保管してあった粉ミルクを使用するほどの関係です。近しい親戚関係だと考えられます。

でも、まさか親戚宅で利用した粉ミルクに鉛が混入されていたとは疑えません。どうして疑ったのか、製造メーカーに現物を送ったのかは疑問です。粉ミルクが怪しいと疑うだけの状況証拠等があったのかもしれません。

事件が起きたのは2022年7月~8月です。1年掛けて捜査し、ようやく逮捕にこぎ着けました。

また、記事には「加療期間不明の鉛中毒」とあります。1年経っても加療期間は不明です。今後も治療が続くのでしょうか。心配です。