乳幼児の虐待死が続きます。

新潟県長岡市では、生後3カ月の女児が母親によって何度も床に落とされ、殺害されました。

しばしば報じられる虐待死と大きく異なるのは、安定した職場・2人目・祖父母近居という恵まれた子育て環境にあった点です。

https://www.youtube.com/watch?v=khdSbRxb1JE

生後3か月の長女殺害か母親逮捕

新潟県長岡市で、生後3か月の長女に自宅の床に落とす暴行を加え殺害したとして、31歳の母親が12日夜、殺人の疑いで逮捕されました。

捜査関係者によりますと「育児で悩んでいた。子どもを殺したことは間違いない」と供述しているということです。

逮捕されたのは、長岡市末広の長岡市役所職員、伊藤法子容疑者(31)です。

警察の調べによりますと、伊藤容疑者は12日午前11時ごろ、自宅で生後3か月の長女、光ちゃんに床に落とす暴行を加えて殺害したとして、殺人の疑いがもたれています。

警察によりますと、12日昼前、訪れてきた親族が光ちゃんが床に倒れているのを見つけ消防に通報したということで、光ちゃんは搬送先の市内の病院で死亡が確認されました。死因は脳挫傷で、警察はかなり強い衝撃があったとしています。

長岡市によりますと、伊藤容疑者は人権・男女共同参画課の主任を務めていて、出産や育児のため、ことし1月から市役所を休み、現在は育児休業中だということです。
捜査関係者によりますと「育児で悩んでいた。子どもを殺したことは間違いない」と供述しているということです。

伊藤容疑者は夫と長男、それに光ちゃんの4人家族で、事件当時は光ちゃんと2人で自宅にいたということです。

警察によりますと、現時点で日常的な虐待を疑わせる形跡は確認できていないということで、警察は育児の状況や詳しいいきさつを調べています。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190613/0031159.html

「複数回落とした」母供述、新潟 3カ月女児殺害事件

新潟県長岡市で生後3カ月の女児が床に落とされ殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された母親の同市職員伊藤法子容疑者(31)=同市=が「(女児を)複数回落とした」と供述していることが13日、捜査関係者への取材で分かった。

伊藤容疑者の長女光ちゃんは、頭を強く打ったことによる脳挫傷で死亡。日常的な虐待を疑わせるような古い傷はなかったといい、突発的な事件だったとみられる。

逮捕容疑は12日午前11時ごろ、同市の自宅で光ちゃんを床に落とす暴行を加えて殺害した疑い。県警や消防によると、自宅を訪れた光ちゃんの祖母が、血を流し床に倒れている光ちゃんを見つけ、119番した。

https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201906/0012422004.shtml

殺人容疑で逮捕された伊藤法子容疑者、育児環境は非常に恵まれていたと考えられます。

容疑者は長岡市役所に勤めており、今年1月から産前産後休業、その後は育児休業を取得していたそうです。

地方自治体は育児休業等が確実に取得でき、福利厚生等も非常に手厚いと聞きます。出産に際しては、互助会・健康保険組合等からまとまった補助金や祝い金が支給されるケースもあるそうです。

また、殺害された光ちゃんは2人目の子供でした。育児のあれこれは1人目の子育てで概ね把握できていたでしょう。1人目は手探りですが、2人目はノウハウが活きてきます。

光ちゃんを発見したのは、暴行直後に自宅を訪れた祖母(妻方との報道がないので夫方?)でした。平日の日中に訪問できる距離に、夫婦どちらかの実家があるのでしょう。

子育てしていると、独身時代には気にすら掛けなかった実家の存在感の大きさに気づかされます。祖父母の面倒を見る手間も掛かりますが、子育てに協力を求められる存在は代えがたいです。

安定した職場・2人目・祖父母近居、これほど子育てに心強い存在はありません。羨ましいぐらいです。

人権・男女共同参画課に配属

また、同容疑者が配属されていたのは、長岡市役所人権・男女共同参画課でした。

同課の所掌事務の一つとして「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)/女性活躍推進」が取り上げられています。共働きしながら子育てする家庭を支援するメニューが豊富に準備されています。

職務上、同容疑者はこうしたメニューと接する機会が豊富にあったでしょう。子育て等で困っている場合、どこにアクセスすれば良いか判断できた筈です。

しかし、伊藤容疑者は「育児で悩んでいた」と供述しています。

逮捕の母親「夜泣きで眠れず」

新潟県長岡市で31歳の母親が生後3か月の長女に自宅の床に落とす暴行を加え殺害したとして逮捕された事件で、母親は「子どもの夜泣きで眠れなかった」などと供述していることが、捜査関係者への取材でわかりました。

警察は育児に悩んで事件に及んだとみて、さらに詳しい動機を調べています。

12日午前11時ごろ、長岡市末広の住宅で、この家に住む長岡市役所職員の伊藤法子容疑者(31)が生後3か月の光ちゃんに床に落とす暴行を加えて殺害したとして、12日夜、殺人の疑いで逮捕されました。

これまでの調べに対し、伊藤容疑者は「育児で悩んで追い詰められていた」と供述していましたが、その後の調べで「子どもの夜泣きで眠れなかった」などと供述していることが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。

また、光ちゃんを「複数回床に落とした」とも供述していて、警察は13日、遺体を司法解剖した結果、死因は脳挫傷などによる外傷性ショックだったと発表しました。

長岡市によりますと、伊藤容疑者は4月に助産師が自宅を訪問した際にも眠れないと話すなど、育児の悩みをたびたび周囲に打ち明けていました。

警察は、伊藤容疑者が育児に悩んで突発的に事件に及んだとみて、さらに詳しい動機を調べています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190613/1030008054.html

乳幼児の夜泣きは本当に辛いです。親の体力を容赦なく磨り減らしていきます。睡眠不足の状態が1年以上も続き、今でも夜中に目覚めてしまう事が多いです。

悩みを助産師等に打ち明けていたものの、耐えきれないほどの夜泣きだったのでしょう。気持ちは分かります。

どれだけ環境が充実していても、育児ストレスや悩みは尽きません。

殺害に至った理由や経過は、今後の捜査で明らかになっていくでしょう。

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(2/13追記)
初公判が行われ、被告人は起訴内容を認めました。

 新潟県長岡市で昨年6月、生後3カ月の長女を階段から落として殺害したとして、殺人罪に問われた母親の市職員伊藤法子被告(31)の裁判員裁判初公判が13日、新潟地裁(山崎威裁判長)で開かれ、伊藤被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で「長女にミルクをあげても泣きやまず、殺せば泣きやむと考えて階段から落とした」と指摘。産後うつで心神耗弱状態だったが、責任能力はあったと主張した。

 弁護側は「重度の産後うつと診断され、自分なりに周囲にSOSを出していた」として、寛大な判決を求めた。

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020021301001007.html

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(7/9追記)
懲役3年執行猶予5年の判決が確定しています。

後半の詳しい様子が朝日新聞有料版に掲載されています。

夫に育児「甘ったれるな」妻は娘を2階から3回落とした
https://digital.asahi.com/articles/ASN354H4YN2WUOHB013.html