(3/26追記)
昨年4月に生後6か月の女児が興教寺保育園にてリンゴを食べて40日後に亡くなった事故につき、姶良市特定教育・保育施設における乳児事故検証委員会が報告書を姶良市長に提出しました。
去年、鹿児島県姶良市の保育園で、生後6か月の女の子がすりおろしたりんごを食べた後に死亡した事故で、市の検証委員会はりんごが窒息の原因となった可能性が高いとしたうえで、再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめ22日、市長に提出しました。
報告書では「女の子が容体急変にいたる直前に摂取したりんごが窒息の原因となった可能性が高い」と指摘し
▽りんごの調理や提供の仕方
▽保育園の職員間の情報共有
に課題があったとしています。そのうえで、再発防止に向けて
▽りんごなど固さや切り方によっては詰まりやすい果物は離乳食が終わる時期までは、加熱し柔らかくしたうえで提供するとした、国のガイドラインを保育現場で順守すること
▽保護者との連携を強化し情報を共有すること
▽事故の発生を想定した保育士などへの研修や訓練を行うこと
などを提言しています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240322/k10014399811000.html
報告書本文を読みたかったのですが、姶良市ウェブサイトで見つけられませんでした。こうした報告書は同種事故の再発を防止する効果もあります。関係者の同意を前提の上、ネットでの公開を願いたいです。
報告書は遺族の了承が得られた後に公開されるそうです。
上記ニュースによると、「リンゴが窒息の原因となった可能性が高い」とされています。当時の事実関係から、これ以外の原因は考えにくいです。
また、保育士や調理担当者が国のガイドラインを熟知していなかったのは驚き、いや呆れてしまいました。
保育に関する専門知識や経験を期待した上で、保護者や児童は保育所等を利用しています。全てが完璧でないとしても、少なくとも児童の生命に関わる分野の知識等は徹底して欲しいです。
「当たり前の事を当たり前に行う」のが一番の再発防止策ではないでしょうか。それができない時に事故が起こり得ます。
(6/8追記)
亡くなった女児の気道から7~8ミリの固形物が取り出されていました。
鹿児島県姶良市の私立認可保育園「興教寺保育園」ですりおろしたリンゴを食べた生後7カ月の女児が死亡した問題で、女児の気道より大きい食べ物が詰まっていたことが7日、関係者への取材で分かった。県警は保育園側に過失の可能性があったとみて、対応に問題がなかったか捜査している。
関係者によると、気道に詰まっていた食べ物は直径7~8ミリ程度だった。一般的な生後7カ月の乳児の気道は直径6~7ミリ前後。司法解剖で女児の死因は多臓器不全と判明しており、誤嚥による窒息が原因となった可能性が高い。女児が詰まらせた後、医師が取り除いていた。食べ物がリンゴだったかどうかは不明。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1052c79adfa39f4a5077bf84a88c729f56c70c19” rel=”noopener” target=”_blank”>https://373news.com/_news/storyid/176481/
7~8ミリの固形物は、おろし器に空いた穴の大きさと一致します。おろし器ですったリンゴが穴とすり抜け、女児の気道から発見されたとしても矛盾はありません。
乳児の気道は本当に細いのですね。まだしっかりと噛める段階ではないので、固形物を与えるのは怖いです。ましてや生のリンゴとは考えもつきません。
同園では過去にヒヤリハット事例が起きていなかったのでしょうか。同じおろし器で同じ様にリンゴをすっていたら、過去に窒息しそうになった園児がいても何ら不思議ではありません。
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(6/7追記)
女児は5月28日に死亡しました。死因は多臓器不全でした。窒息による低酸素脳症が発生していました。また、リンゴをすったおろし器は直径7~8ミリ程度の穴がありました。
姶良市の認可保育所「興教寺保育園」で4月、6カ月の女児がおやつ後に急変、意識不明の重体となり約40日後に死亡した事案で6日、女児の保護者が代理人弁護士を通じ、司法解剖によると死因は多臓器不全だったと公表した。食物誤嚥(ごえん)による窒息の疑いにより、低酸素脳症を引き起こしていた。
代理人によると、誤嚥の原因となった食物は明らかになっていない。
上原信園長は5月24日、南日本新聞の取材に対し、おやつに出したリンゴをすったおろし器は直径10~12センチの円形で、直径7、8ミリの穴が30個ほど開いていたと説明。「固形の物が残る可能性はゼロではない」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61b9096951513c16bce63dab2b8a68fb83b94398
直径7~8ミリの穴は大きいです。指で1cm幅を作ってみて下さい。これより若干小さい程度です。相当の大きさのリンゴ片が通り抜けてしまいます。一言で言うと「あり得ない」です。
また、同園で提供したリンゴは加熱していませんでした。生で冷たいままです。6カ月は歯や歯茎ですりつぶすのが難しい時期です。そのまま飲み込んだ可能性は否定できません。
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保育所にてリンゴを食べて窒息する事故が続いています。新たに鹿児島県姶良市(あいらし)の興教寺保育園でも発生していたことが明らかになりました
鹿児島県姶良市西餅田の興教寺保育園(上原信園長)で4月、当時生後6カ月の女児がすりおろしたリンゴなどのおやつを食べた直後に体調が急変、窒息し意識不明の重体となっていることが24日、分かった。保育園は「保育中にあってはならないことが起こり申し訳ない」としている。
同保育園などによると、女児は4月18日朝に登園。午後3時20分ごろ保育士が、おやつとしてすりおろしたリンゴと麦茶を与えた。約10分後に食べ終わり、服を着替えさせようとあおむけに寝かせたところ、様子が急変したという。顔色が悪いことに気づいた別の職員が119番し、鹿児島市内の病院に搬送された。
当日は保育士が生のリンゴをおろし器ですり、離乳食用のスプーンで少しずつ与えていた。麦茶はあまり飲まなかったという。すったリンゴはこれまでもおやつとして出していた。部屋には普段、0歳児4人、1歳児12人がおり、保育士4人で対応している。(以下省略)
事故が起きた興教寺保育園は、鹿児島県姶良市西餅田3397−5にあります。
4月18日に生後6か月の女児がすり下ろしたリンゴを食べたところ、窒息して意識不明の重体に陥りました。
つい先日に愛媛県で発生した事故との共通点は非常に多いです。
キーワードは「入所直後」「0歳児クラス」「リンゴ」です。
当サイトでは何度も繰り返していますが、入所直後は事故が多い時期です。親から離れ、普段とは異なる環境で過ごすストレスが非常に強いとされています。4月18日は慣らし保育が終わり、保育所での生活に馴染み始めた頃でしょう。しかし、それでも十二分な注意が必要な時期に違いはありません。
生後6か月というのにも驚きました。逆算すると、前年の9月下旬から10月上旬頃に産まれた計算となります。
実は姶良市での保育所等入所要件は「生後3か月から」とされています。
入所要件や対象の子ども
(1)入所要件
申し込みをする子どもの保護者が働いているまたは病気・介護などのために、日中に子どもの保育ができないと認められ、かつ市内に在住している子どもが対象となります。
(2)対象の子ども
保育を必要とする生後3か月から小学校就学前の子どもhttp://www.city.aira.lg.jp/kosodate/kurashi/ikuji/hoikuen/5nyuusyomousikomi.html
大阪市は「原則として生後6か月以降」としているのと比べると、相当早い段階から保育所等へ入所できます。女性を取り巻く就業形態等の違いから、こうした制度設計になっているのでしょうか。
生後6か月はまだ赤ちゃんそのものです。我が家では「リンゴなんてとんでもない、すり下ろしても食べさせない」という段階でした。育児日記を読み返しても、ひたすら母乳とミルクばかりの毎日でした。
そして「リンゴ」です。同園では保育士が生のリンゴをおろし器ですり下ろしていたそうです。調理師等ではありません。しかもおろし器を使っていました。調理師が専門の道具(ミキサー等)ですり下ろすのと比べると、どうしてもすり残りが出やすいでしょう。
手の力で完全にすり下ろすのには十分な時間と力が必要です。事故直後に鼻からすりリンゴの様な物が出てきたので、十分にすり下ろせていなかった可能性があります
また、事故はおやつの時間では無く、その直後に発生しました。
午後3時20分ごろ園の保育士がおやつの時間に生後6カ月の女の子にすりリンゴを食べさせた後、あおむけに寝かせました。
その後、保育士は同じ部屋のロッカーにある女の子の着替えを取りにその場を離れました。離れた時間は数秒だということですが保育士が戻ってくると女の子の顔色が悪くなり意識もうろうの状態になっていたといいます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/828586ce74afea14d7cd0d7f0a758b11b1f2a640
あおむけにする前に、口内等にリンゴが残っていなかったか確認しなかったのでしょうか?
あくまで推測となりますが、リンゴ片が口内等に残っていた→あおむけに寝かせた→弾みでリンゴ片を喉に詰まらせた→数秒ほど離れた→女の子の異変に気付くのが遅れた、という流れも考えられます。
松江認定こども園では豆を食べた直後の園児が鬼から逃れようとする激しい運動をし、豆を喉に詰まらせて死亡したと考えられています。「激しい運動」というのは乳児のあおむけ寝も同じです。
教訓として考えられるのは、「0歳児にリンゴは早過ぎる」という認識です。0歳児のリンゴ窒息事故が続いた以上、これまでの考えや常識を改める必要があります。